
ランニング初心者は「どんなシューズを選べばいいの?」「どのくらいの距離を走ればいいの?」「正しいフォームやペースは?」など、さまざまな疑問を抱えがち。またせっかく健康のために走り出しても、無理をすると続かないこともあります。
本記事では、基本の装備やフォーム、目的別・年代別・季節別の工夫まで、何から始めるべきかのヒントを分かりやすく解説します。今日からあなたの“走る習慣”を始めてみませんか。
目次
初心者が知っておきたい基本
シューズ選びとウェアの基本
ランニングを始める際に最も大切なのは「シューズ選び」です。普段履いているスニーカーではなく、必ずランニング専用のシューズを選びましょう。ランニングシューズは、衝撃を吸収するクッション性や、足をしっかり支えるフィット感を重視して設計されています。自分の足型や走り方に合わない靴を履いてしまうと、膝や腰を痛める原因になりかねません。専門店で試し履きをして、スタッフに相談しながら選ぶのがおすすめです。
また、ウェアも重要なポイントです。ランニングは発汗量が多いため、綿素材のTシャツだと汗が乾きにくく、不快感や体の冷えを招きます。吸汗速乾性に優れたスポーツ用ウェアを選べば、快適に走りやすく、モチベーションも上がるはず。
さらに、季節によっては通気性や防寒性を考えた重ね着も工夫しましょう。
正しいフォームの基本
ランニングを長く続けるためには、ケガを防ぎつつ効率的に走れるフォームを身につけることが大切です。
基本は「背筋を伸ばす」「目線を少し前方に置く」ことを意識しましょう。猫背にならないよう意識し、肩や腕はリラックスさせながら自然に振るのが理想です。
着地に関しては、かかとから強く地面に打ち付けるのではなく、土踏まずから前足部にかけてやわらかく接地することを意識しましょう。こうすることで衝撃が分散され、膝や腰への負担が軽減されます。
最初はぎこちなく感じても、意識して続けるうちに自然と身についていきます。
無理しない頻度と距離の目安
ランニング初心者にありがちなのが「最初から頑張り過ぎて続かない」ことです。理想的なスタートは、週2~3回、1回あたり20〜30分程度の軽めのラン。距離にこだわらず、時間を目安にすることでプレッシャーが少なく、習慣化しやすくなります。
「今日は少し短めにして歩きも入れてみよう」といった柔軟な気持ちで取り組むことが長続きのコツです。ランニングを生活習慣に溶け込ませることを最優先に考えましょう。
ウォームアップ・クールダウンの重要性
ランニング初心者は、走る前後のケアを軽視してはいけません。ランニング前には、軽いストレッチや足首・股関節を回す動きなど、ウォームアップで体を温めてから走り出すことが重要です。これにより筋肉や関節がスムーズに動き、ケガのリスクを減らせます。
走り終わった後は、ゆっくりとした静的ストレッチを行いましょう。ふくらはぎや太もも、腰回りの筋肉をじっくり伸ばすことで、疲労の蓄積や筋肉痛を和らげます。
ウォームアップとクールダウンを習慣にするだけで、ランニングライフが格段に快適になります。
目的別のプラン
健康維持・体力アップを目指す場合
ランニングを健康習慣として取り入れたい場合は、無理のないペースで取り組むのが大前提です。週2~3回、20~30分ほどの軽めのジョギングから始めると続けやすく、体力の基盤作りにも役立ちます。走っている最中に「少し息が弾むけれど会話できる程度」の強度が目安です。
最初から速さや距離にこだわる必要はなく「習慣化」を最優先に考えると自然と体力がついてきます。毎日の生活にリズムを取り戻し、疲れにくい体を作りたい方におすすめのスタイルです。
ダイエット・ボディメイク向け
脂肪燃焼を目的とする場合は、ランニングの時間帯やペースが重要になります。一般的には朝食前の軽いランニングや、夕食前のタイミングが効率的といわれています。ペースは息がやや上がる程度の「スロージョグ」がおすすめ。5分、10分の細切れだとしても、継続することで脂肪燃焼効果が期待できます。
空腹時の有酸素運動については、下記の記事もご覧ください。
空腹時の有酸素運動で脂肪が燃える?効果やタイミングを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
さらに、軽い筋トレを組み合わせることで基礎代謝が上がりやすくなります。
例えば、ランニング前後にスクワットやプランクなど自重トレーニングを取り入れると有効です。単なる体重減少ではなく「引き締まった体」を目指すなら、ランニング+筋トレのセットをおすすめします。
有酸素運動と筋トレの組み合わせについては、下記の記事でも詳しく解説しています。
有酸素運動と筋トレの順番はどちらが先?初心者・中高年・忙しい人のライフスタイル別メニュー - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
ストレス解消・メンタルケア向け
運動には、精神を安定させるセロトニン、集中力を高めるノルアドレナリンなどを増加させる働きがあります*1。例えば朝のランニングは一日のスタートを軽やかにして集中力を高める効果が、夜のランニングは一日の疲れをリセットし、睡眠の質を整える効果が期待できるでしょう。気分に合わせて「朝ラン」「夜ラン」を使い分けるのがおすすめです。
また、好きな音楽を聴きながら走る「音楽ラン」ならモチベーションも上がるはず。公園や川沿いなど景色の良い場所を選ぶと、走ること自体が楽しみに変わり、メンタルケアの習慣としても長続きしやすくなるでしょう。
マラソン挑戦を視野に入れたい人向け
いつかフルマラソンに挑戦したいという目標がある方は、段階的なステップアップが欠かせません。まずは「5kmを無理なく完走できる」ことを目指し、その後10km、ハーフマラソン(21.0975km)へと距離を伸ばしていきます。ポイントは一気に距離を増やさず、1カ月の走行距離を少しずつ増やしていくことです。例えば、最初の月は月間30km、次の月は50km、その次は70kmといったロードマップを意識すると、無理なく体が順応していきます。
走力と体力を段階的に積み上げることで、フルマラソン完走という大きな目標にも近づけます。
年代・ライフスタイル別のアドバイス

20代:楽しみながら習慣化
20代は体力も高く、新しいことに挑戦しやすい年代。ランニングを「義務」ではなく「楽しみ」として取り入れることが、長く続ける秘訣(ひけつ)です。例えば、友人と一緒に走ったり、SNSで走った記録を共有したりすると、自然とモチベーションが高まります。アプリで距離やタイムを計測して仲間と競い合うのも効果的です。
習慣化の早い段階で「走ること=ポジティブな体験」と紐づけると、その後も続けやすくなります。
30〜40代:仕事・家庭と両立
30〜40代は仕事や家庭の責任が重く、ランニングのためのまとまった時間を確保しにくいのが現実です。そのため「隙間時間を活用する工夫」が大切です。例えば出勤前に10分だけ走る「朝ラン」や、昼休みに軽く走る「隙間ラン」でも、十分に効果があります。短時間の運動は積み重なることで体力維持につながり、ストレス発散にも役立ちます。
また、家族と散歩に出かけ、その中で少し走る時間を取り入れるのもおすすめ。家庭との時間を大切にしながらランニングを習慣化できる方法です。
「完璧にやる」よりも「小さく積み重ねる」意識が、継続のカギになります。
50代以上:健康管理と安全重視
50代以降は健康の維持や生活習慣病の予防を目的にランニングを始める方が増えますが、心肺機能や関節への負担を考慮する必要があります。いきなり長距離を走るのではなく、まずはウォーキングと軽いジョギングを組み合わせた「ウォーク&ラン」から始めましょう。自分の体調に合わせて強度を調整できるため、安全に取り組めます。
また、定期的に健康診断を受け、体調の変化を確認しながら続けることも大切です。特に血圧や心疾患のリスクがある場合は、医師に相談しながら進めると安心です。
楽しむ気持ちと安全意識を両立させることで、健康寿命を延ばす方法としてランニングを活用できます。
ケガなどのトラブル予防とセルフケア
初心者に多いケガと原因
ランニングは誰でも手軽に始められる反面、体に負担をかけやすいスポーツでもあります。初心者が特に注意したいのは、膝や足首まわりのトラブルです。代表的なものとして「膝痛」や「ランナー膝(腸脛靭帯炎)*2」があります。
また「シンスプリント*3」と呼ばれるすねの痛みもよく見られます。ランニングやジャンプを繰り返すことで、脛骨に付着する筋肉や骨膜に負担がかかり、炎症を起こすのが原因です。
さらに、足首周りに痛みが出るケースも少なくありません。
これらのケガの多くは、正しくないフォームで走ることや、急に距離やペースを上げ過ぎる「オーバーペース」などが要因です。
予防ストレッチ&ケア
ケガを防ぐためには、走る前後のケアが欠かせません。ランニング前には、関節を大きく動かす「動的ストレッチ」を取り入れ、体を温めてから走り出すことが重要です。腕回しや股関節の回旋、軽いジャンプなどで筋肉を動かし、血流を促しましょう。走り終わった後は、ふくらはぎや太ももをゆっくり伸ばす「静的ストレッチ」でクールダウンします。筋肉をリラックスさせることで疲労を和らげ、ケガ予防につながります。
さらに、フォームローラーやマッサージを活用するのも効果的です。特にふくらはぎや太ももの外側をほぐすと、筋肉の張りを軽減し、次のランニングが快適になります。日常的なセルフケアを取り入れることで、体への負担を最小限に抑えられます。
フォームローラーやマッサージによるケアについては下記の記事でも紹介しています。
筋肉痛のとき筋トレしてもいい?痛みの程度別の対処法と回復法を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
疲労回復のための食事と睡眠
ランニングは筋肉やエネルギーを大きく消耗するため、疲労回復を意識した食事と睡眠も大切です。走った後は2時間以内に、タンパク質と糖質をバランスよく摂るのが理想的です。タンパク質は筋肉の修復を助け、糖質は消費したエネルギーを補給します。例えば、バナナとプロテイン、またはおにぎりとゆで卵といった簡単な組み合わせで十分効果があります。
加えて、質の高い睡眠は翌日の体の回復を支える最も重要な要素です。寝る前にスマホを長時間見ない、寝室を暗く静かに保つなど、睡眠環境を整える工夫を取り入れましょう。
十分な休養と栄養補給を意識することで、ランニングはより安全に、そして楽しく続けられるようになります。
運動と食事や睡眠の関係については、下記の記事でも紹介しています。
筋トレは食事が命?タイミングや目的別の食事メニューを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
眠れない時の対処法は?タイプ別の不眠対策、どうしても眠れない夜の過ごし方も - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
季節・天候別の工夫

夏のランニング
夏はランニングに最も注意が必要な季節です。特に熱中症のリスクが高いため、走る時間帯を工夫しましょう。日中の炎天下は避け、朝や夕方の涼しい時間を選ぶのが基本です。
また、走る前から水分を摂り、途中も定期的に水分補給をします。スポーツドリンクなどで塩分も補えるとより安心です。
さらには帽子やサングラスを活用し、直射日光から体を守る工夫も取り入れましょう。
冬のランニング
冬は冷えによって筋肉や関節が硬直しすいため、ケガのリスクが高まります。走る前にしっかりとウォームアップを行い、体を温めてからスタートしましょう。服装は「重ね着」が基本。インナーに吸汗速乾性のあるシャツを着て、その上から防寒用のアウターを羽織ると快適です。ただし、走り出すと体温が上がって暑くなるため、脱ぎやすいジャケットやジップタイプのトップスを選ぶと調整しやすくなります。
手袋やネックウォーマーもあると寒さ対策に役立ちます。
雨・花粉・梅雨シーズン
雨の日や花粉が気になる時期は、無理に屋外で走る必要はありません。ジムのトレッドミルや室内用ランニングマシンを活用すれば、天候に左右されずに習慣を継続できます。梅雨の長雨や花粉シーズンでも、室内トレーニングに切り替えることでモチベーションを保ちやすくなります。どうしても屋外を走る場合は、防水性のあるキャップやウインドブレーカー、花粉対策用マスクやメガネなどを取り入れると安心です。
室内でできる有酸素運動については、下記の記事で詳しく紹介しています。
室内のおすすめ有酸素運動14種。自宅で静かに器具なしでできる全身運動を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
ランニングの楽しみ方提案
音楽・ポッドキャストを聞きながら走る
ランニング中に音楽やポッドキャストなどを聞くと、時間があっという間に過ぎ、気分も高まります。アップテンポの曲を集めたプレイリストはペースを保ちやすく、落ち着いた音楽ならリラックス効果も期待できます。最近ではランニング専用のプレイリストを配信している音楽アプリも多く、初心者でも手軽に取り入れられます。
ランニングを学びの時間に変えたい場合はポッドキャストもおすすめです。ただし、外で走る際は音量を抑え、周囲の車や人の動きに注意を払い安全面には十分配慮してください。
景色や観光を楽しむ「ご褒美ラン」
ランニングは単なる運動ではなく「走りながら観光を楽しむアクティビティ」にもなります。休日には普段と違うコースを開拓してみると、新しい景色や街の魅力に出会えるでしょう。川沿いや公園、歴史的な建物があるエリアなど、目的地を設定するだけで気分が変わります。
景色を楽しむこと自体が「ご褒美」になり、ランニングのモチベーション維持につながります。
仲間と一緒に走る
ひとりで走るのも良いですが、仲間と一緒に走ることで楽しさは倍増します。グループランや地域のランニングイベントに参加すれば、同じ目標を持つ仲間と出会える機会が増えます。仲間がいると「次も頑張ろう」という気持ちが生まれ、継続しやすくなるのが大きなメリットです。
また、SNSやランニングアプリを使えば、距離やタイムを共有して励まし合うこともできます。コミュニティーの力を活用することで、ランニングは単なる運動から「人とのつながりを楽しむ場」へと広がっていきます。
自分に合ったペースで「走る楽しさ」を見つけよう
ランニングは、目的や年代、季節に合わせて工夫することで、誰でも無理なく続けられるスポーツです。健康維持やダイエット、ストレス解消など、目標に応じてペースを調整すれば、体にも心にも心地よい習慣になります。
季節ごとの注意点や楽しみ方を取り入れながら「自分に合った走り方」を見つけることが大切です。
大切なのは速さや距離ではなく、走る時間を楽しむこと。小さな一歩からでも、ランニングはきっとあなたの毎日を豊かにしてくれるはずです。
編集:はてな編集部
イラスト:caco
編集協力:株式会社YOSCA
下記の記事でも、有酸素運動のヒントを紹介しています。
👉室内のおすすめ有酸素運動14種。自宅で静かに器具なしでできる全身運動を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
室内の限られたスペースでも手軽にできる有酸素運動をまとめました。気になる集合住宅などの防音・静音対策もあわせて紹介しています。
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有酸素運動を毎日やってもいい? 毎日行うメリットとデメリットを整理しながら、ダイエットや健康維持、筋肉作りなど目的別の最適な頻度を解説しています。
👉毎日30分の有酸素運動で効果!室内や生活に合せた32種の運動を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
あなたに合ったちょうどいい「30分の有酸素運動習慣」を見つけるヒントを、目的別・年代別・生活スタイル別の実践法をもとに紹介しています。
ランニングをはじめとした運動習慣をつけることは、日々の生活習慣を見直し、健康な生活を送る上で重要なポイントです。
近年、自分の健康状態を見える化できるサービスが登場しています。自身の現在の運動習慣について把握し改善をしていく上では、こうしたテクノロジーを取り入れてみるのも一つの方法です。
👉フォーネスライフ株式会社 - フォーネスライフ株式会社フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、体力を可視化する「心肺持久力」や食事量と運動量の手がかりになる「安静時代謝量」など、従来とは異なる形で体の状態を把握することができるサービスです。
さらには将来の疾病リスクを可視化し、専門資格を持つコンシェルジュから生活習慣に関するアドバイスが受けられます。運動をはじめ、自分に合った食事や睡眠習慣などについても、専門的な視点から知ることができます。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
*1:参考:栃木県上三川町「感じていませんか『運動不足』…」[PDF]
*2:参考:公益社団法人 東京都鍼灸師会「ハーフマラソンで発症した腸脛靭帯炎」[PDF]