
ジョギングを始めたときに「いつから効果が出る?」「毎日続けないと意味がない?」「朝と夜ではどっちいい?」といった疑問が生じたことはありませんか? やり過ぎて過剰な負担をかけると、膝や腰を痛めるリスクもあります。
本記事では、ジョギングに期待できる主な効果や、継続するための工夫をまとめました。無理なく始めたい方に向けて、スロージョギングの方法についても紹介します。
取り入れることでの効果
ジョギングは、ウォーキングよりも強度が高く*1、ランニングよりは体への負荷が少ない「いいとこ取り」の有酸素運動です。心地いいペースで走ることにより、心と体にポジティブな変化をもたらしてくれます。
ジョギングには以下のような効果が期待されています。
- ダイエット効果
- スタミナアップにつながる心肺機能の向上
- 脳内物質の分泌によるストレスの軽減
- 睡眠の質の改善(寝つきがよくなる)*2
さまざまな効果が期待できるにもかかわらず、ジョギングには特別なスキルや道具が必要ありません。動きやすい服装とシューズがあれば、今日からでも手軽に始められます。
効果が出るまでの期間

ジョギングの効果は一度に表れるわけではなく、続けるうちに心身が徐々に変わってきます。基本的には数カ月単位のトレーニングになるため「いつになったら効果を実感できるのか?」と不安に思う人もいるでしょう。
ここでは、ジョギングの効果が出るまでの目安と、年代別のメリットについて解説します。
効果が出る期間の目安
ジョギングの効果は「1週間」「1カ月」「3カ月」のように段階的に表れます。
最初に表れるのは、精神的な変化です。走り終えた後の爽快さや、頭がスッキリとする感覚は、一度のジョギングでも感じられるかもしれません。
また、運動によって自律神経が整うと、心地よい疲労感が自然な眠りを誘うことも*3。ジョギングを1週間ほど続けると、ストレスの軽減や寝つきの改善を実感する人もいます。
週に2〜3回のペースで1カ月続けると、体力面にも明らかな変化が表れます。以前よりも息が上がりにくくなったり、階段の上り下りが楽になったりと、心肺機能の向上を実感できるでしょう。また、むくみが取れてフェイスラインがすっきりし、体重に変化の兆しが見え始めるのもこの時期です。
ジョギングを3カ月間ほど続けると、健康診断の数値が改善される人もいます。血圧・血糖値が改善されることに加え、体脂肪率も低下してくるため、見た目にも変化が表れるでしょう。具体的には、おなか周りが引き締まったり、脚のラインがシャープになったりする変化が期待できます。
この段階まで来れば、ジョギングはもはや「義務」ではなく、生活に欠かせない「習慣」となっているはずです。
ジョギングがもたらす年代別のメリット
ジョギングがもたらすメリットは、年代によって以下のように意味合いが変わります。
20~30代のメリット
体力も回復力も高い20〜30代にとって、ジョギングは基礎体力を維持できるアプローチです。また、適切な筋トレとの組み合わせにより、余分な脂肪をそぎ落とす「ボディメイク」の効果も期待できます。将来に向けた健康投資にもつながるため、若いうちからのジョギングを検討してみましょう。
40~50代のメリット
40~50代は基礎代謝が低下し始め、体重の増加や健康診断の数値が気になり出す年代です。この年代がジョギングを始めると、生活習慣病の対策につなげられます。
定期的な有酸素運動には、高血圧・脂質異常症・糖尿病などのリスクを低減させる効果があるといわれています*4。また、長く続けることで代謝もアップするため、ジョギングは賢明なアンチエイジング戦略にもなるでしょう。
60代以上のメリット
60代以上の人のジョギングは、筋力や体力の維持はもちろん、QOL(生活の質)の向上にも直結します。
例えば、ジョギングをすると全身の血流が促進されるため、冷え性の改善*5や認知機能の維持・向上*6に効果があるとされています。また、下半身の筋力やバランス感覚を養うことは、ケガや転倒の防止につながるでしょう。
シニア層にとっても、ジョギングは健康寿命を延ばすためのアプローチになります。
効果を高める実践プラン

せっかくジョギングを始めるなら、効果的かつ安全に行うことが大切です。ここでは、初心者からでも無理なくステップアップできるプランや、生活リズムに合わせた工夫を紹介します。
初心者のステップアッププラン
運動習慣のない人が高い目標を掲げると、三日坊主で終わってしまう可能性が高まります。ジョギングは長く走るよりも「続けること」が重要になるため、物足りなさを感じる程度の時間から始めましょう。
初心者の方には、以下のようなステップアッププランがおすすめです。
- 最初の2週間
- まずは週2回を目安にして、10分程度のウォーキングから始めましょう。いきなり走ろうとはせず、体を動かす習慣づけを第一目標にします。
 
- 次の2週間
- ウォーキングの時間を20分に伸ばします。慣れてきたら「1分だけ走って2分歩く」といったように、少しだけジョギングをはさみましょう。
 
- 1カ月後~
- 「週2〜3回(合計20〜30分)」を目安に、走る時間の割合を増やしていきます。「今週は3回できた」「先週より1分長く走れた」といった小さな成功体験を積み重ねて、モチベーションを維持しましょう。
 
走ることが苦手な方や、体への負担が心配な方には、「スロージョギング(ニコニコペース)*7」と呼ばれる方法がおすすめです。スロージョギングでは、隣の人と会話ができるくらいのペースでゆっくりと走ります。
通常のジョギングよりも着地衝撃が少ないため、運動不足の人や高齢者でも安全に続けられます。
時間帯は朝と夜のどっちがいい?
ジョギングで期待できる効果は、実は時間帯によっても変わります。
例えば、朝の光を浴びながらのジョギングは体内時計をリセットし、自律神経を整える効果が期待できます*8。交感神経が活性化し、体と脳がスムーズに活動モードに切り替わるため、仕事や勉強の集中力もアップするでしょう。
一方で夜のジョギングは、日中のストレスや疲れを発散させたい方におすすめです。また、運動によって上昇した深部体温(体の内側の温度)が下がる過程で、自然で深い眠りが誘発されるため、睡眠の改善にも効果があるとされています。
ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経を高ぶらせてしまうため、就寝の2〜3時間前にはジョギングをやめましょう。
季節・天候別の工夫
ジョギングを習慣化するには、季節や天候に合わせた工夫も必要です。
例えば、夏場は熱中症のリスクが高まるため、日中のジョギングは望ましくありません。比較的涼しい早朝や日没後に行い、こまめな水分補給・塩分補給を意識することが大切です。気温と湿度が高い日には、吸湿速乾性に優れたウェアも着用しましょう。
一方で、冬場は体が温まりにくく、ケガをしやすい季節です。関節や筋肉を柔らかくするために、トレーニング前のウォームアップは入念に行いましょう。保温性の高いウェアを重ね着すると、寒い日でも快適にジョギングできます。
雨で外を走れない日は、無理をせずに休養がおすすめです。運動習慣を途切れさせたくない場合は、室内でできる代替運動を取り入れましょう。踏み台昇降やエア縄跳び、ダンスエクササイズなどが選択肢になります。
生活習慣も意識してジョギング効果をアップ

ジョギングの効果は、走っている時間だけで決まるわけではありません。食事や睡眠などの生活習慣も、体作りには大きく関係してきます。
ここからは、ジョギングと生活習慣の関係を見ていきましょう。
食事・栄養との組み合わせ
ジョギングは多くのエネルギーを消費するため、適切な栄養補給が必須です。空腹状態で走ると、エネルギー不足で力が出ないばかりか、場合によっては筋肉が分解されるリスクもあります。運動の30分〜1時間前には、消化がよくエネルギーに変わりやすい軽食(バナナやおにぎりなど)を取りましょう。
運動後には、ダメージを受けた筋肉を修復するための栄養も必要です。運動後2時間以内を目安に、十分なタンパク質を補給しましょう。プロテインドリンクや牛乳、ヨーグルトなどがおすすめです。
また、ジョギングでは多くの汗をかくため、水分・電解質の補給も欠かせません。こまめに水分とミネラルを補給し、パフォーマンスの低下や熱中症を防ぐようにしてください。
体作りの食事メニューについては、以下の記事でも詳しくご紹介しています。食事のタイミングやメニューで迷っている方は、ぜひ参考にしてみましょう。
筋トレは食事が命?タイミングや目的別の食事メニューを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
睡眠との関係
ジョギングと睡眠は、互いに良い影響を与え合う関係にあります。
適度なジョギングは心地よい疲労感を生み出し、寝つきを改善し、睡眠の質を高めてくれます。特に不眠で悩んでいる方には、自然な眠気を誘発できる夜のジョギングがおすすめです。
また、質の高い睡眠は体を回復させるとともに、成長ホルモンの分泌を促します。十分な睡眠時間を確保し、トレーニングの質を徐々に高めていきましょう。
「なかなか眠れない」などの悩みを抱えている方には、以下の記事もおすすめです。タイプ別の不眠対策をまとめているので、ぜひ参考にしてください。
眠れない時の対処法は?タイプ別の不眠対策、どうしても眠れない夜の過ごし方も - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
うまくいかないときの対策
ジョギングを続けていると、誰もが一度は壁にぶつかります。ここでは、ジョギングがうまくいかないときの対策をご紹介します。
「痩せない」原因と改善策
ジョギングは健康作りに役立ちますが、消費カロリーを過大評価してはいけません。消費カロリーを見誤ると「一向に体重が減らない……」といった悩みを抱えやすくなります。
例えば、体重60kgの人が30分ほどジョギングした場合の消費カロリーは、250kcal程度です。おにぎり1.5個分にも満たないため、間食でケーキやスナック菓子を食べると、カロリー収支はプラスになってしまいます。ダイエットを目的にしている場合は、食事バランスを見直しましょう。
また、体が同じペースに慣れると、ジョギングの消費カロリーも下がります。「ペースを上げてみる」「坂道をコースに取り入れる」など、強度や頻度に変化をつけることにも挑戦してみてください。
ケガ・疲労のリスクと予防
ジョギングで最も多いケガが、膝痛(ランナー膝)や、すねの内側が痛む「シンスプリント」です。原因の多くは、間違ったフォームによる過剰な負担や、走り過ぎによる疲労の蓄積にあります。
正しいフォームを習得するために、ジョギング中には以下のポイントを意識しましょう。
- 背筋を真っ直ぐに伸ばす
- 目線を遠くにする
- 足裏全体で優しく着地するイメージをもつ
また、自分に合った適切なシューズ選びも、ケガや疲労の防止につながります。専門店のスタッフに相談し、足の形や走り方に合った一足を見つけてください。
加えて、ジョギング前後のストレッチも欠かせません。走る前は動的ストレッチで体を温め、走った後は静的ストレッチで使った筋肉をクールダウンさせると、ケガなどのリスクを抑えられます。
モチベーションが続かないときの対策
ジョギングは同じ運動が続くため、飽きを感じてしまうこともあります。モチベーションを高く維持するには、楽しむための仕組み作りが必要です。
どのような方法があるのか、以下では一例をご紹介します。
- ランニングアプリで記録する
- 専用のアプリを使い、走った距離や時間を記録する方法です。これまでの努力が可視化されるため、日々の達成感を得やすくなり、次の目標設定にもつながります。
 
- 仲間やSNSでシェアする
- 友人や家族と一緒に走ったり、SNSで「#ランニング記録」などと投稿したりする方法です。仲間からの応援やインプレッション(いいねなど)が励みになるため、適度な強制力が生まれます。
 
上記のほか、ジョギングを義務と考えずに「考え事をする時間」「好きな音楽を聴く時間」のように置き換える方法もおすすめです。ジョギングがポジティブな時間になるように、自分に合った方法を考えてみましょう。
週1回でも、着実に続けることが大切
ジョギングはシンプルでありながら、体にさまざまな恩恵をもたらしてくれます。体力向上などの身体的な効果はもちろん、気持ちを前向きにするといったメンタル面の効果も期待できます。
ただし、短期間でやめてしまうと期待している効果は得られません。たとえ週に1回でも、着実な努力をコツコツ続けることが大切です。本記事のモチベーション対策も参考にしながら、まずは第一歩を気軽に走り出してみましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA
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ジョギングなどの運動習慣をつけることは、日々の生活習慣を見直し、健康な生活を送る上で重要なポイントです。
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※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
*1:健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~「メッツ / METs」
*2:厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」
*3:厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」
*5:北海道教育庁教職員局福利課「健康かわら版No.70」
*6:国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」
*7:参考:一般社団法人 日本スロージョギング協会「スロージョギング®とは」
*8:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)」