室内での有酸素運動は、自宅で気軽にできるトレーニング方法です。
ダンスやスクワットなどメニューを工夫することで、部屋が狭いなどのスペース問題や運動に伴う騒音も気にすることなくトレーニングできます。
本記事では、器具がなくても取り組める室内での有酸素運動や、目的別のおすすめメニューをまとめました。自宅でのトレーニングが不安な方に向けて、楽しくメニューをこなす工夫や、集合住宅などの防音・静音対策についても紹介します。
目次
室内でできる有酸素運動のメリット
有酸素運動とは、体内に十分な酸素を取り込むことでたくさんのエネルギーを生み出し、体脂肪を効率的に燃焼させる運動です。軽〜中程度の負荷をかけることが多く、例としてはウォーキングやジョギングが挙げられます。短時間でも効果が期待できるため、こまめに身体を動かすことと、継続することが大切です。従来は「脂肪燃焼効果を高めるには20分以上の継続が必要」といわれていましたが、近年の研究では「合計時間分の脂肪燃焼効果が得られる」ことが明らかになってきています。
例えば、5分間のメニューを1日に複数回行うような「分割法」でも、健康的な身体作りに役立つと考えられます*1。
有酸素運動を続けたい方こそ、自宅などの室内での運動がおすすめです。室内は天候の影響を受けないため、猛暑日や極寒日、雨が降っている日などでも、計画的にトレーニングを始められます。ジムでのトレーニングとは違い、ウェアなどの準備や通う手間もかかりません。
好きな動画や音楽を流しながら行えば、トレーニングを「楽しい時間」にすることも可能です。運動量は工夫によってカバーできるため、室内の有酸素運動を前向きに取り入れてみましょう。
おすすめは? 目的別のメニュー例
効率的に成果を出すには、目的に応じた有酸素運動を取り入れることが大切です。ここでは「ダイエット」「ストレス解消」「体力維持」の3つに分けて、目的別のおすすめメニューを紹介します。ダイエット・脂肪燃焼におすすめのメニュー5選
ダイエットが目的の方は、短時間で脂肪燃焼スイッチをオンにできるメニューを選びましょう。以下のように、消費カロリーと強度が少し高いメニューを選ぶと、余分な脂肪が燃焼しやすくなります。踏み台昇降
高さ10〜20cm程度の台を、リズミカルに昇り降りする運動です。5〜10分程度の短い時間でも、汗ばむほどの運動効果を得られます。単調ですが着実に心拍数が上がり、下半身の引き締め効果も期待できます。マウンテンクライマー

腕立て伏せの姿勢から、両膝を交互に胸に引き寄せる運動です。全身の筋肉をダイナミックに使うことで、短時間で心拍数を急上昇させるとともに、代謝アップの効果も期待できます。
エア縄跳び
その場で縄跳びをするように、軽やかにジャンプする運動です。道具を用意しなくても、実際の縄跳びに匹敵する高い消費カロリーが期待できます。HIIT系バーピー
全身運動の王道ともいわれるバーピーを、HIIT(高強度インターバルトレーニング)形式で行います。1セットを「全力で20秒動く→10秒休憩」として、全8セット(約4分)をこなしましょう。激しい運動なので、トレーニング後にも脂肪燃焼の継続が期待できます。ダンスエクササイズ
動画配信サイトなどで流行している、リズミカルな曲に合わせてダンスをする運動です。高強度な有酸素運動ですが、楽しみながら取り組むことで続けやすくなります。体力に自信のある方は、複数のメニューを組み合わせてみてください。
ストレス解消・気分転換に効くメニュー3選
日々のストレスを解消したい方には、音楽や呼吸法と組み合わせたリズミカルな運動がおすすめです。以下では、気分転換につながる3つのメニューを紹介します。有酸素ヨガ
深い呼吸と連動させながら、流れるように連続してポーズを取る運動です。深い呼吸によって自律神経を整え、心拍数を穏やかに上げる効果が期待できます。終わった後には心地よい爽快感が得られるため、心身の緊張がほぐされます。リズムダンス
自身が心から楽しめる曲をかけて、そのリズムに合わせながら自由に身体を動かします。幸福感をもたらすエンドルフィンの分泌を促す効果が期待できるため、気分を高めたい方におすすめです。ボクササイズ(シャドーボクシング)
エクササイズにボクシングの動きを取り入れて、全身を使った有酸素運動を行います。溜まったストレスを拳に乗せて、日々の悩みや鬱憤(うっぷん)を発散しましょう。ヨガやダンスなどの軽い運動でも、身体を動かすとストレス発散につながります。気分を高めるために、トレーニングをする環境にもこだわりましょう。
体力維持・高齢者向けの易しいメニュー
年齢が高いなど体力に自信のない方などは、無理なく安全に続けられるメニューを選びましょう。転倒のリスクが低く、膝や腰への負担も少ないメニューがおすすめです。
椅子スクワット
安定した椅子の前に立ち、お尻をゆっくりと椅子に近づけるように腰を落とす運動です。立ち座りに必要な下肢の筋力を、無理のない範囲で鍛えられます。下記の記事でも詳しく紹介しています。
スクワットの効果。1日5回でもOK? 効果的なやり方のヒント - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
足踏み
背筋を伸ばし、腕を軽く振りながら足踏みをする運動です。転倒のリスクが低く、テレビを見ながらでも手軽に始められます。「1分間の足踏み→1分休憩」を5セット行うなど、短い運動を繰り返しましょう。ラジオ体操
ラジオ体操は、全身の関節や筋肉をバランスよく動かすために考えられたプログラムです。中でも第一体操は、高齢の方でも無理なく行える強度で構成されています。無理をすると大きなケガにつながるため、ご自身の体調と相談しながらメニューを選びましょう。
継続するためのサポート術

実際に始めてみると、騒音によるご近所迷惑が気になったり、モチベーションが低下したりしてしまうことで、数日しか運動が続かない方も多いです。どんなに優れた運動を取り入れても、長く続かないと意味がありません。
ここでは、運動に集中するための静音対策や、モチベーションを維持する工夫を紹介します。
集合住宅(マンション・アパート)の防音・静音対策
集合住宅で運動をする方は、厚手のヨガマットやトレーニングマットを床に敷きましょう。厚さ1cm以上のマットを選ぶと、着地時の衝撃や振動がしっかりと吸収されます。踏み台昇降を行う場合は、踏み台の下に古いバスタオルを数枚重ねて敷き、防音効果を高めてください。
集合住宅では、メニューも工夫する必要があります。エア縄跳びやバーピーなどのジャンプを伴う運動は避け、足が床から離れないメニューを選びましょう。例えば、スクワットやマウンテンクライマー、ヨガなどが該当します。
このような小さな配慮により、近隣の方とのトラブルを防止するだけでなく、トレーニングの集中力を高めることにつながります。
初心者が続けやすい運動の選び方
運動習慣がない方には、短時間から始める方法がおすすめです。「1日5分だけ」のような短い目標でも、運動の心理的なハードルが下がります。成果のためには続けることが前提になるので、最初は「物足りない」と感じる程度でも問題ありません。
また「ながら運動」を取り入れる方法もあります。例えば、テレビを見ている間に足踏みをする、歯磨き中にかかとの上げ下げをするなど、日常の動作とセットで身体を動かしましょう。
毎日の運動を当たり前のことにすれば、初心者の方でも無理なく継続できます。
モチベーション維持のコツ
モチベーションを維持したい方は、テクノロジーや心理学的なテクニックを活用しましょう。例えば、運動ログアプリで毎日の運動時間や内容を記録すれば、努力が可視化され、達成感も得やすくなります。運動をする度にカレンダーにシールを貼るなど、アナログな方法でも構いません。
また、運動中に好きなBGMをかける方法も効果的です。お気に入りのプレイリストを用意すれば、運動の時間が待ち遠しくなるかもしれません。ウェアを新調したり、SNSで仲間と進捗を報告し合ったりすることでも、気分を変えることができ、マンネリを防げます。
1畳でもOK! 狭い部屋でも効果を高めるアイデア
自宅に広いスペースがない方でも、運動を諦める必要はありません。ヨガマット1枚分のスペースがあれば、工夫次第で自宅が立派なジムに変わります。タオルストレッチ+有酸素運動
タオルを両手で左右に引っ張りながら、上半身をひねる運動です。肩甲骨周りをほぐしながら、体幹と背中を同時に鍛えられます。チェアマーチ
安定した椅子に座ったまま、リズミカルに足踏みをする運動です。膝に負担をかけずに心拍数を上げられるため、高齢の方やリハビリ中の方でも安心して取り組めます。自宅に階段がある方は、1段目を使った踏み台昇降にも挑戦してみましょう。高価なステップ台などを買わなくても、身の回りのものを賢く使うだけでトレーニングの幅は広がります。
運動効果を高める食事・睡眠のポイント
運動以外の生活習慣も、有酸素運動の効果に影響します。運動の30分ほど前には、消化がよくエネルギーに変わりやすい軽食(バナナや小さなおにぎりなど)を取りましょう。運動中は汗で水分が失われるため、運動前後にはコップ1杯程度の水分補給も行います。
また、疲労回復と脂肪燃焼を促進する成長ホルモンを分泌させるには、質の高い睡眠が必要不可欠です。夜に運動をした場合は、呼吸を意識したストレッチ系の軽い運動で心身をリラックスさせると、スムーズな入眠につながります。
特に空腹の状態は、エネルギー不足で力が出ないばかりか、筋肉が分解されるリスクもあるので注意してください。
トレーニング中の食事メニューや睡眠のヒントについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
筋トレは食事が命?タイミングや目的別の食事メニューを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
眠れない時の対処法は?タイプ別の不眠対策、どうしても眠れない夜の過ごし方も - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
季節やライフスタイルに合わせた運動メニュー

運動を楽しく続けるには、ご自身の環境に合わせたメニュー選びも大切です。ここでは、季節やライフスタイルに合わせたメニューの考え方をご紹介します。
雨の日・猛暑・寒い冬におすすめの室内運動
天候が崩れた日でも、メニューを工夫すれば高い運動効果を得られます。以下では、雨の日・猛暑・寒い冬におすすめの有酸素運動をまとめました。踏み台昇降
自宅の階段やステップ台を使った踏み台昇降は、天候に左右されることなく脂肪を燃焼できます。5~10分の短時間でも、習慣化すると効果を期待できます。エア縄跳び
縄を使わずに、その場で小さなジャンプを続ける運動です。天候はもちろんスペースの制約もないため、洗面所や玄関先でも取り組めます。ボクササイズ(シャドーボクシング)
狭いスペースでも、上半身を中心に全身をダイナミックに動かせます。すぐに身体が温まるので、寒い冬におすすめの運動です。上記のメニューを組み合わせて、天候が崩れた日にも効果的な運動を取り入れましょう。
「すきま時間」や「ながら運動」におすすめのメニュー
すきま時間を有効活用すれば、忙しい毎日でも運動効果を着実に積み重ねられます。例えば在宅ワークの合間に短時間集中型の運動をすると、全身の血流が改善し、脳に新鮮な酸素を送り届けられます。午後の眠気が解消されることに加え、集中力がアップする効果も期待できます。
また、料理の待ち時間や、洗濯機を回している間なども、短い運動を始めるチャンスです。日常生活の中に運動習慣を散りばめると、大きな変化につながります。
ここでは、家事や仕事の合間、テレビを観ながらでも手軽に取り組めるおすすめの有酸素運動を紹介します。
その場足踏み(マーチ)
洗い物をしているときや、テレビのCM中にも取り組める運動です。シンプルな運動ですが、座りっぱなしを防ぎつつ、血行を促進する効果が期待できます。キッチンスクワット
お湯を沸かしている間や、電子レンジを使っている時間を使って、5~10回のスクワットをこなします。わずかな待ち時間でも、日々の習慣にすると運動効果が期待できます。タオルストレッチ+ひねり運動
洗濯物をたたむ前や掃除の合間には、タオルを使って上半身を左右にひねりましょう。肩甲骨周りをほぐすことができ、気分転換にもなります。日々の生活を思い返して、上記のメニューに取り組める時間を探してみてください。
家族や子どもと一緒にできる有酸素運動
家族と一緒にできるメニューを選ぶと、家庭内のコミュニケーションにもつながります。楽しく運動を続けるために、以下のようなメニューも取り入れてみましょう。音楽に合わせたダンス
子どもが好きなアニメの曲や、流行りのポップスなどに合わせて自由にダンスをします。楽しみながらでも自然と運動量が高まるので、長く続けたい方におすすめです。風船バレー
風船を床に落とさないように、親子でパスをし合う運動です。激しいメニューではありませんが、夢中になって回数をこなすうちに運動量を増やせます。リズム体操・ラジオ体操
朝の決まった時間に運動したい方は、リズム体操やラジオ体操を取り入れましょう。「毎日続ける」といった家族全体の目標を作ると、飽きずに継続しやすくなります。楽しめる要素があれば、周りの家族にも協力してもらえるはずです。上記を参考にしながら、家族全員が楽しめるメニューを選びましょう。
初心者向けの1週間プラン例(5〜20分×7日間)
これから室内での有酸素運動を始める方に向けて、以下では飽きずに続けられるプランをまとめました。初心者の方は、まずは1週間から挑戦してみましょう。- 月曜日:踏み台昇降10分(1週間の始まりは、リズミカルな動きで気分を上げる)
- 火曜日:ボクササイズ10分(日々のストレスをパンチで発散)
- 水曜日:ヨガストレッチ10分(週の半ばは、深い呼吸で心と体をリラックス)
- 木曜日:休養 or 足踏み5分(無理をせず、身体を休めることもポイント)
- 金曜日:HIIT10分(短時間集中型の運動で、週末に向けて達成感を得る)
- 土曜日:ダンス15分(好きな音楽を流しながら、楽しく汗を流す)
- 日曜日:家族と体操(コミュニケーションを兼ねて、軽めに身体を動かす)
1週間のメニューをこなしたら、自分好みにアレンジする方法がおすすめです。
短い時間でもOK。とにかく続けてみよう
室内での有酸素運動は、手軽で習慣化しやすい運動です。1日5分程度の時間でも、決めたメニューを毎日コツコツと続けることで、心身にポジティブな変化をもたらします。大切なポイントは、生活リズムやその日の体調に合ったメニューを柔軟に選び、楽しみながら続けることです。本記事を参考にしながら、あなただけの快適なトレーニング環境を整えて、今日から新しい一歩を踏み出しましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA
イラスト:caco
有酸素運動をはじめとした運動習慣をつけることは、健康な生活を送る上で大切なポイントです。
近年では、健康状態を見える化して分析できるサービスが登場しました。ご自身の運動習慣を把握し、生活や健康面を改善していくために、こうしたテクノロジーを取り入れてみるのもひとつの方法です。
👉フォーネスビジュアス|病気になる前にわかる(NECグループ発)フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、従来とは異なるアプローチで健康状態を把握できるサービスです。体力を可視化する「心肺持久力」や、食事量と運動量の手がかりになる「安静時代謝量」などを参考にしながら、ご自身の身体と向き合えます。
さらに、将来の疾病リスクを可視化し、専門資格を持つコンシェルジュから生活習慣に関するアドバイスも受けられます。フォーネスビジュアスをぜひ活用し、ご自身に合った運動メニューや食事、睡眠習慣などを把握しましょう。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
*1:参考:「休息を挟みながら行う有酸素運動の脂質代謝や体組成からみた効果」[PDF]