有酸素運動と筋トレの順番はどちらが先?初心者・中高年・忙しい人のライフスタイル別メニュー

有酸素運動と筋トレの順番はどちらが先?初心者・中高年・忙しい人のライフスタイル別メニュー

有酸素運動と筋トレ(筋力トレーニング)とで得られる効果は異なるため「どちらを先にやるべき?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。結論からいうとやり方の正解は一つではなく、目的や体力、ライフスタイルなどで効果的な順番は変わります。

本記事では、運動初心者や30代以上の女性、中高年層などに向けて、自身に合ったメニューの考え方と、無理なく続ける始め方をまとめました。仕事などで忙しい方に向けて、短時間で効果を出すポイントも解説します。

(執筆者)中島正雄

合同会社ユイロード 代表社員
2020年10月より、大阪府茨木市にてパーソナルトレーニングジムを運営。2025年6月まで、延べ100名以上の利用者に筋トレやダイエットを指導。2023年には健康経営アドバイザー資格を取得。自身のダイエット経験や、コーチングやNLPを学んだ経験を活かした「クライアントに寄り添った」指導が特徴。

運動初心者向け:無理をしないお試しメニュー

無理なく運動を続けるには、自身のレベルや目的に合ったメニューを考えることが大切です。ここでは「何から始めるべきか分からない」とお悩みの方に向けて、運動の基本である有酸素運動と筋トレの違いや、初心者でも無理なく始められるメニューを紹介します。

有酸素運動と筋トレの違いとは?

有酸素運動と筋トレの違いは、身体を鍛える目的にあります。

有酸素運動とは、主に脂肪燃焼や心肺機能の向上、持久力アップを目的として、体内に酸素を取り込みながら継続して行う運動です。筋トレに比べると運動強度が低く、適度な心拍数を保ちながら身体を動かします。

一方で、筋トレの主な目的は筋肉量の増加や筋力アップ、基礎代謝の向上です。筋肉に負荷をかけるために、道具(ダンベルやマシンなど)や自分の体重を利用してトレーニングをすることもあります。

比較項目 有酸素運動 筋力トレーニング
主な目的 ・脂肪燃焼
・心肺機能の向上
・持久力アップ
・筋肉量の増加
・筋力アップ
・基礎代謝の向上
運動の特徴 体内に酸素を取り込みながら、継続して行う 道具などを用いて、筋肉に負荷をかける
運動強度 比較的低い 比較的高い
具体例 ウォーキング、ジョギング、水泳など スクワットや腕立て伏せなど

有酸素運動と筋トレは、いずれも健康維持や体力向上に欠かせない運動です。上記の違いを理解した上で、自身の目的に合った運動を選びましょう。

1日5分から挑戦! 初心者向けのメニュー

運動の習慣がない初心者は、「1日5分」で取り組める簡単なメニューから始めてみましょう。短時間でも効果を実感しつつ、「自分にもできた」という達成感を積み重ねることが大切です。

ここでは、初心者でも継続しやすい2種類のメニューを紹介します。

【メニュー①】「その場足踏み(2分)」 →「ゆっくりスクワット(3分)」

ウォーミングアップの「その場足踏み(有酸素運動)」で身体を温めてから「ゆっくりスクワット(筋トレ)」で下半身の大きな筋肉を刺激するメニューです。

その場足踏みでは背筋を伸ばし、お腹に軽く力を入れて、膝を曲げて交互にもも上げしながらリズミカルに足踏みをします。効果を高めたい方は、腕を大きく振ることを意識しましょう。

一方でゆっくりスクワットは、両足を肩幅に開いて腰を落とす運動です。つま先を少し外に向けた状態で、椅子に座るようにお尻を後ろに引きながら腰を落とします。3秒を数えながら太ももと床が平行になるまで腰を下ろし、再び3秒かけて元の体勢に戻ると効果的です。

【メニュー②】椅子に座りながらのもも上げ運動(5分)

椅子に座りながらトレーニングをしたい方には、軽い有酸素運動と筋トレを組み合わせた「もも上げ運動」がおすすめです。

まずは浅めに椅子に座った状態で、背筋を伸ばします。その姿勢を保ったまま、片足または両足のももをそろえて胸にゆっくりと引き寄せましょう。上げ下げの幅を小さくして連続で行うことにより、軽い有酸素運動の効果も期待できます。

上記のメニューに慣れてきたら、時間を少しずつ延ばしたり回数を増やしたりして、運動強度を上げてみてください。

注意:無理な運動はケガにつながることも

初心者が運動を習慣化するには「無理をしないこと」が鉄則です。

「早く効果を出したい」という気持ちが強いと、日ごろからジョギングさえしない方が数kmのランニングを始めるなど、高強度や長時間のメニューを選んでしまうことがあります。そのように身体に負荷をかけ過ぎると、強い筋肉痛に見舞われたり、肉離れや関節を痛めたりといったケガにつながりかねません。

運動の習慣がない方は「少し物足りないかな?」「今日は楽にできた」と感じる程度のメニューで構いません。安全かつ楽しく運動を続けるためにも、無理をせずに着実なステップアップを目指しましょう。

【30~40代女性向け】筋肉キープと脂肪燃焼の両立メニュー

筋肉キープと脂肪燃焼の両立メニュー

年齢を重ねるにつれて、体型の変化や落ちづらくなった体重が気になってくる女性も多いでしょう。筋肉量をキープしながら脂肪を燃焼させるには、どのようなメニューや順番が望ましいでしょうか。

ここからは30~40代の女性に向けて、体型維持を目指す運動に欠かせない基礎知識や、忙しい方でも取り入れやすいメニューを紹介します。

有酸素運動だけ・筋トレだけでは不十分?

「以前より体型が戻りにくい」と感じている場合は、有酸素運動と筋トレの組み合わせが効果的です。筋トレで筋肉量や基礎代謝を上げながら、脂肪燃焼につながる有酸素運動を取り入れることで、30~40代の女性でも体型を維持・改善しやすくなるでしょう。

有酸素運動だけで体重を落とそうとすると、脂肪だけではなく筋肉まで落ちてしまい、基礎代謝が下がる悪循環に陥ることもあります。また、筋トレだけを続ける方法では、脂肪の燃焼効率を高めることが難しいかもしれません。

30~40代になると筋肉量が自然と減少するため*1、基礎代謝の低下により体型が戻りづらくなります。特に引き締まったボディラインを目指している方は、有酸素運動と筋トレをうまく組み合わせて「筋肉量の維持(基礎代謝の向上)」と「脂肪燃焼」のバランスを取りましょう。

筋肉量と脂肪燃焼のバランスを取る運動順序

筋肉量を維持しながら脂肪燃焼を目指す方には、先に筋トレを行うメニューがおすすめです。

筋トレには「成長ホルモン」の分泌を活発化させる効果があります*2。成長ホルモンには脂肪分解を促進する作用があり、筋トレによって十分に分泌された状態で有酸素運動に移ると、体脂肪がエネルギーとして消費されやすくなります。

具体的な目安として、まずは10〜15分程度の筋トレを行い、それから20〜30分程度の有酸素運動に移りましょう(週2回以上)。運動後30分以内を目安にプロテインなどでタンパク質を補給すると、筋肉の修復が促されます。入浴後にはストレッチを行い、疲労回復をしながら身体の柔軟性をアップさせましょう。

忙しい方向け:朝5分、夜10分のメニュー

まとまった時間を取ることが難しい方には、朝晩のスキマ時間を活用した運動がおすすめです。朝に5分程度・夜に10分程度のメニューなら、運動の習慣がなく「平日はデスクワークで忙しい」「家事や育児で自分の時間がない」といった方でも、無理なく続けることができます。

【朝のメニュー(5分程度)】

まずは、10回のスクワットで大きな筋肉を刺激し、代謝アップのスイッチを入れます。その後、3分の足踏みで全身の血行を促進し、活動的な1日をスタートさせましょう。

【夜のメニュー(10分程度)】

腹筋やヒップリフト(仰向けでお尻を持ち上げてお尻や太もも裏を鍛える筋トレ)など軽めの筋トレを行い、筋トレで硬くなった筋肉をほぐしながら成長ホルモンの分泌を促します。筋トレ後にストレッチを取り入れると、心身のリラックス効果を高めながら、睡眠の質を向上させることにもつながります。

頻度については週3~4回が目安で、毎日完璧にこなす必要はありません。自身の身体とも相談しながら、無理のないペースで続けましょう。

【中高年向け】健康寿命と安全に配慮したメニュー

健康を維持し、いつまでも活動的な生活を送るには適度な運動が欠かせません。また、若いうちから筋肉量をアップさせて、年齢を重ねても動ける「筋肉貯金」を蓄えておくことも大切です。

ここからは中高年の方に向けて、血圧や血糖値にアプローチするための順番や、安全に始められる運動メニュー、健康寿命を延ばすポイントについて解説します。

中高年は有酸素運動が先? 筋トレが先?

体調面が気になる中高年の方は、健康状態や筋肉量に合わせて運動メニューを考えましょう。適度な運動は身体によい影響をもたらしますが、メニューによっては急激な血圧上昇や血糖値の変動、関節への負担といったリスクを伴います。

【健康状態が不安な方】

高血圧や血糖値が気になる方には、先にウォーキングなどの軽めの有酸素運動を行うのがおすすめです。血圧の急上昇を抑えつつ数分~数十分ほど身体を慣らしてから、自重トレーニング(ダンベルやマシンなどの器具を使わず、自分の体重を負荷として使って行う筋力トレーニング)などの軽い筋トレに切り替えると、比較的安全に運動を続けられます。

習慣化のコツについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。
体力をつける方法とは?疲れにくい体を作る、年代・ライフスタイル別の実践ガイド - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

【足腰が不安な方】

足腰の筋力低下が気になる場合は、数分程度の簡単な筋トレから始める方法が安全です。例としては、椅子に座って行うスクワットや、壁に手をついたカーフレイズ(かかとの上げ下げ)があります。安定した体勢で行えるトレーニングで筋肉を刺激してから、有酸素運動に移りましょう。

いずれのメニューも、負荷のかけ過ぎには注意が必要です。特に通院されている方は医師に相談をした上で、無理のないメニューに調整してください。

安全に運動を続けるポイント

中高年からの運動は、安全面に配慮することが大切です。加齢とともに体力や柔軟性、バランス能力は変化するため、若いころと同じ感覚で身体を動かすと、思わぬケガにつながりかねません。

まずは軽いストレッチや足踏みで体を温めて、運動後には整理体操や深呼吸をして心拍数を徐々に落ち着かせましょう。発熱や関節の痛みがあるなど、少しでも体調が優れない日には休むことも必要です。

トレーニング中には滑りにくい靴を履き、動きやすい服装を心がけます。身体のバランスに不安を抱えている方は、椅子や壁などを支えとして活用して安全性を高めましょう。

もし痛みを感じたらすぐに運動を中止し、必要に応じて専門医への受診を検討してください。

健康寿命を延ばす「筋肉貯金」という考え方

筋肉貯金とは、若いころから積極的に筋トレを行い、筋肉の減少スピードを緩やかにする考え方です。できるだけ多くの筋肉量を維持すると、健康寿命を延ばしつつ活動的な暮らしを実現しやすくなります。

早いうちから筋肉貯金を始めたい方は、週に2~3回程度のスクワットや階段昇降(上り下り)、軽いダンベル体操などを日常に取り入れましょう。無理のないペースで筋トレを続けると、加齢による筋肉量の減少を抑えることができます。

コツコツと続けた筋肉貯金は、将来の転倒リスクや生活習慣病の対策にもつながります。

【忙しい人向け】1日5~20分で続けられる時短メニュー

十分な時間を確保できない方でも、運動の習慣化を諦める必要はありません。ここからは「忙しくて暇がない」と悩んでいる方に向けて、20分で完了するメニューや、5分でも効果があるインターバルトレーニング、無理なく習慣化できるコツを解説します。

20分で完了! 時短と効果を両立する有酸素運動×筋トレ

20分程度の運動メニューでも、内容を凝縮して集中すれば十分な運動効果が得られます。

例えば、最初の10分間は筋トレに集中し、複数の大きな筋肉群に刺激を与えます。脂肪燃焼や持久力アップも目指している方は、残りの10分間を負荷が高い有酸素運動に切り替えましょう。以下では、具体的なメニューの例を紹介します。

  • 筋トレ(最初の10分間)
    • 体幹を鍛えるプランク
    • 下半身全体の筋肉を使うスクワット
    • 腕立て伏せ など
  • 有酸素運動(残りの10分間)
    • ジョギング
    • エアロバイク など

1日20分程度なら、出勤前や家事のスキマ時間、帰宅後のリフレッシュタイムなどを活用できます。まずは週2~3回を目標に、上記のメニューを実践してみましょう。

1日5分だけ! インターバルトレーニングの例

インターバルトレーニングとは、高強度の運動と短い休息を交互に繰り返す運動です。短時間でも心拍数を高められるので、数十分のメニューに取り組むことが難しい方でも、効率的なトレーニングが可能になります。

代表的なものに「HIIT(高強度インターバルトレーニング)」がありますが、必ずしも限界まで追い込む必要はありません。「少しきつい」と感じる程度のメニューと、息を整える軽い運動を組み合わせるだけでも効果は期待できます。

例えば「1分間のもも上げダッシュ」と「30秒の足踏み」を1セットとして、小休憩を挟みながら3セット繰り返すと、約5分の運動メニューになります。

週2回でもOK! 運動を習慣化するポイント

運動を習慣化するには、「1日10分」「週2~3回」などの現実的な目標設定が必要です。無理のない計画を立てることで、生活の一部に運動が定着しやすくなります。

また「月曜日と金曜日だけ」「出勤前の時間帯」のように、運動タイムをカレンダーに組み込む方法もあるでしょう。起きたらトレーニングウェアに着替えるなど、運動モードに切り替えるためのルーティーンも有効です。

週2回のメニューでも、無理なく継続すれば運動効果は見込めます。小さな工夫を積み重ねて、運動を特別なアクションから「当たり前の習慣」に変えていきましょう。

習慣化のコツについては、下記の記事でも詳しく紹介しています。
体力をつける方法とは?疲れにくい体を作る、年代・ライフスタイル別の実践ガイド - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

運動を楽しみながら続けるには?

運動を楽しみながら続けるには?

運動は始めること以上に、無理なく続けることが重要です。自身に合ったメニューを考えるには、どのような心構えが必要になるでしょうか。最後に、運動を楽しみながら継続するヒントや、効果を実感するためのコツを紹介します。

まずは継続できるメニューを考えよう

どれほど効果的なトレーニングでも、三日坊主で終わると効果は期待できません。まずはコツコツと長く続けるために、自身のレベルや生活習慣に合ったメニューを優先しましょう。

仮に1日休んだとしても、翌日に5分だけでも身体を動かすことができれば、それは間違いなく前進です。継続できなかったからといって、自己嫌悪に陥る必要はありません。完璧を目指すのはハードルが高いため、まずは「少しでも動けた」と自分を褒めてあげましょう。

効果の高いメニューや順番を考えることより、焦らずに自身のペースで続けることを優先してください。

自分に合った運動方法で、効果を実感

「これなら続けられそう」と思えるメニューを見つけると、継続によって効果を実感しやすくなります。自身の体調やライフスタイルを踏まえて、無理なく生活に組み込めるパターンを探しましょう。

メニュー自体は同じでも、時間帯や頻度などを調整するだけで負担は変わります。例えば、朝型なら早朝のウォーキング、夜型なら寝る前の軽い筋トレやストレッチがよいかもしれません。また、友人などと一緒に頑張りたい人もいれば、一人でのトレーニングが向いている人もいます。

さまざまなパターンを試行錯誤しながら、マイベストな運動習慣を築き上げてください。

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA


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