
下半身を中心とした筋トレは、基礎代謝の強化や痩せやすい体作りに役立ちます。足トレなどで脚の引き締めや美しい姿勢の維持にもつながるため「太ももやお尻のたるみが気になる」といった悩みを解消できるかもしれません。
本記事では、初心者から始められる下半身の筋トレや、目的、年代別、自宅・ジムなどの場所別、女性向けおすすめのメニューをまとめました。また、ケガを防ぐための正しいフォームや、効果を最大化するケアについても解説しています。
美容やダイエット、健康寿命の延伸、パフォーマンスの向上などを目指している方は、ぜひ参考にしてください。
目的別に選ぶトレーニング

一口に下半身トレーニングといっても、目指すゴールによって最適なアプローチは異なります。ここでは、おすすめのメニューを目的別に紹介します。
ダイエット・脂肪燃焼を目指す場合
ダイエットを目的にしている方は、大きな筋肉を同時に使う「コンパウンド種目」を取り入れましょう。例えば、スクワットやランジでさまざまな筋肉を鍛えると、効率的に基礎代謝を高められます。
さらに効果を高めたい方には、スクワットジャンプやバーピーといったジャンプ系の動作がおすすめです。「高強度インターバルトレーニング(HIIT)」の形式で、短時間の全力運動と短い休憩を繰り返すと、継続的な脂肪燃焼効果も期待できます。
ヒップアップ・美脚を目指す場合
キュッと上がったヒップラインや、引き締まった脚を目指している方は、ターゲットとなる筋肉をピンポイントで鍛えましょう。例えば、以下のような種目に取り組むと、お尻の最も大きな筋肉である「大臀筋(だいでんきん)」を鍛えられます。
- ブルガリアンスクワット(股関節を深く曲げ伸ばしする)
- ヒップリフト(お尻の収縮を感じながら鍛える)
太もものたるみが気になる方には「内転筋(ないてんきん)」を刺激する足の筋トレメニューがおすすめです。例としては、ワイドスタンスでのスクワットやサイドランジがあります。
これらの種目では、正しいフォームに加えて「筋肉に効いている」という感覚(マインドマッスルコネクション)を意識することが大切です。適度な負荷で鍛えることにより、しなやかで美しい下半身のシルエットに近づけます。
スポーツパフォーマンスの向上を目指す場合
ジャンプ力や瞬発力を高めたい方は、筋肉をすばやく伸長・収縮する「プライオメトリクストレーニング」を取り入れましょう。例えば、ボックスジャンプやスクワットジャンプなどの種目は、神経系の反応速度を高めて、爆発的なパワーを生み出す能力を養います。
また、不安定な姿勢で体を支えたり、方向転換をしたりする場面が多いスポーツでは、片脚ずつを強化する「ユニラテラル種目」がおすすめです。左右の筋力バランスを整えることで、動作の安定性を高める効果が期待できます。代表的なメニューには、ランジやブルガリアンスクワット、片足デッドリフトがあります。
健康維持・ロコモ予防を目指す場合
健康的な生活を送る上でも、下半身の筋力維持は欠かせません。特に高齢の方は、移動能力が衰える「ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ、運動器症候群*1)」への対策が重要です。
実際の予防策としては、日本整形外科学会が推奨する「ロコトレ*2」があります。例えば、座った状態から立ち上がる椅子スクワットは、転倒のリスクがなく、安全に太ももを鍛えられるトレーニングです。
また、ふくらはぎを鍛えるカーフレイズは、歩行時の安定性や血流改善に役立ちます。片足立ちなどのバランストレーニングとも組み合わせながら、将来の転倒リスクを抑えましょう。
年代別・女性向けのトレーニング

下半身の筋トレは、それぞれの体質によっても最適なアプローチが変わります。ここでは年代別に分けて、下半身を鍛えるメニューの考え方を紹介します。
20〜30代:スタイルアップ+基礎代謝強化
体力・回復力が高い20~30代は、トレーニングの効果が出やすい年代です。高重量のスクワットやデッドリフトに取り組み、基礎筋力を高めましょう。
加えて、HIITなどで効率よく脂肪を燃焼させると、理想の体質やスタイルに近づけます。将来の健康貯金にもつながるため、若いうちから下半身のトレーニングを積み重ねましょう。
40〜50代:生活習慣病対策・疲れにくい体作り
40~50代になると基礎代謝が低下し始め、体力の衰えを感じやすくなります。高重量を追い求めるとケガにつながるため、無理のないメニューを心がけましょう。
この年代は、正しいフォームで継続することが重要になるため、体力に応じた低〜中負荷のメニューがおすすめです。例えば、週2~3回のペースでスクワットやランジを行い、ウォーキングやスロージョギングなどの有酸素運動も組み合わせましょう。
有酸素運動について知りたい方には、以下の記事もおすすめです。
有酸素運動は毎日やる?ダイエットなどの効果が出る頻度とやり方 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
60代以上:転倒予防・健康寿命の延伸
60代以上のトレーニングは、安全第一です。自重または軽い負荷のトレーニングを中心にして、筋力とバランス能力の維持を目指してみてください。
メニューとしては、前述の椅子スクワットやカーフレイズのほか、壁に手をついて行う片足立ちトレーニングもおすすめです。バランス能力を養うことで、日常での動作が少しずつ楽になり、転倒予防にもつながります。
女性向け:むくみ・冷え対策+下半身の引き締め
男性に比べると、女性は血行不良による「むくみ」や「冷え」に悩みやすい傾向にあります。そのため、ふくらはぎのポンプ機能を活性化させるカーフレイズや、股関節周りの血流を促すワイドスクワットを取り入れましょう。
また、ターゲットを絞ったトレーニング(ヒップリフトなど)を組み合わせれば、機能性と美しさを両立した下半身に近づけます。女性は筋肉量が少ないため、軽めの負荷でも構いません。
時間・場所に合わせたメニュー

下半身の筋トレメニューは、自分のライフスタイルに合わせることも重要です。ここでは、時間別・場所別のおすすめメニューや、効果を高めるポイントを紹介します。
時間別のおすすめメニュー
時間別のメニューを覚えておくと、家事の合間や通勤前などのすきま時間を活用できます。以下では「5分・10分・20分以上」に分けて、おすすめのメニューをまとめました。
- 5分
- 5分で下半身を鍛えたい方は、「スクワット20回+カーフレイズ30回」を2セットこなしましょう。正しいフォームで取り組めば、短いトレーニングでも効果が期待できます。
 
- 10分
- 「スクワット・ランジ・ヒップリフト・プランク」の順で、全身を効率よく鍛える方法がおすすめです。余裕がある方は、「45秒運動→15秒休憩」のサーキット形式で2周こなしましょう。
 
- 20分以上
- 本格的な筋肥大を目指す方には、スクワットやレッグプレスを15分こなすメニューがおすすめです。トレーニングの前後には、それぞれ5分のウォームアップとクールダウンを挟みましょう。
 
1日のスケジュールを確認して、続けやすいメニューを選んでみてください。
場所別のおすすめメニュー
下半身の筋トレは、自宅以外の場所でも取り組めます。ここでは「自宅・オフィス・ジム」の場所別に、おすすめのメニューやポイントをまとめました。
- 自宅
- 専用の器具がない自宅では、スクワットやランジといった自重トレーニングが基本です。負荷を高めたい方は、ダンベルやトレーニングチューブを用意しましょう。
 
- オフィス
- デスクワークの合間に、座りっぱなしを防ぐ運動を意識します。例えば、座ったまま膝を伸ばすレッグエクステンションや、かかとを上げる運動、立ち上がる椅子スクワットなどがおすすめです。
 
- ジム
- 一般的なジムでは、レッグプレスやレッグカール、レッグエクステンションなどのマシンが用意されています。特定の筋肉をピンポイントで鍛えられるため、積極的に活用しましょう。
 
食事と栄養でトレーニング効果をサポート
下半身のような大きな筋肉を鍛えるには、栄養補給にもこだわる必要があります。
トレーニングが終わったら、プロテインシェイクや鶏むね肉、卵などで速やかにタンパク質を補給しましょう。また、エネルギーの代謝を助けるビタミンB群や、血液の材料となる鉄分なども、パフォーマンスの維持・向上につながります。
摂取のタイミングは「トレーニング後2時間以内」を目安にしてください。筋トレの効率を上げたい方には、食事面や睡眠について解説している以下の記事もおすすめです。
筋トレは食事が命?タイミングや目的別の食事メニューを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
眠れない時の対処法は?タイプ別の不眠対策、どうしても眠れない夜の過ごし方も - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
筋トレ後の回復・ケア
トレーニングで酷使した下半身の筋肉は、その日のうちにケアしましょう。早めに筋肉をほぐすと、翌日の筋肉痛を和らげることができ、ケガの防止にもつながります。
実際のケアとしては、使った筋肉を30秒ほどかけてゆっくりと伸ばす静的ストレッチがおすすめ。また、フォームローラーやマッサージガンで硬くなった筋肉をほぐすと、血行促進の効果によって回復を早められます。
筋肉痛が改善されない場合は、以下の記事も参考にしてみてください。痛み別の対処法や、回復を早めるポイントを解説しています。
筋肉痛のとき筋トレしてもいい?痛みの程度別の対処法と回復法を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
正しいフォームと失敗例
間違ったフォームでのトレーニングは効果が薄れるばかりか、ケガの原因になることもあります。ここでは、代表的な種目の正しいフォームや、よくある失敗例を紹介します。
スクワットの基本フォーム
スクワットの基本フォームは以下のとおりです。
- 足を肩幅程度に開き、つま先はやや外側に向けます。
- 背筋をまっすぐに保ち、目線は正面に向けます。
- 椅子に座るようなイメージで、お尻を後ろに引きながらゆっくりと腰を落とします。
- 太ももが床と平行になるまでしゃがんだら、かかとで地面を押すようにして、元の姿勢に戻ります。

よくある失敗例としては、3つのケースが挙げられます。
- 失敗例1. 背中が丸まってしまう
- 腰痛につながりかねません。胸はしっかりと張るようにして、おなかには常に力を入れましょう。
 
- 失敗例2. 膝が内側に入ってしまう
- 「ニーイン」とも呼ばれる、膝の靱帯を痛める危険なフォームです。常につま先の向きを意識して、同じ方向に膝を曲げるようにしてください。
 
- 失敗例3. かかとが浮いてしまう
- 重心が前に寄り過ぎているため、お尻を後ろに引く意識を強めましょう。
 
スクワットの正しいフォームについては、以下の記事で分かりやすく解説しています。
スクワットの効果。1日5回でもOK? 効果的なやり方のヒント - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
ランジ系トレーニング
ランジとは、片脚を前に踏み出して行う下半身強化のトレーニングです。お尻や太ももを鍛えられますが、正しいフォームで取り組まないとケガにつながります。
実際のトレーニングでは、以下の手順を参考にしましょう。
- 足を前後に大きく開きます。
- 背筋を伸ばしたまま、真下に腰を落としていきます。両足の膝を曲げたときに、それぞれ90度になることが理想です。
- 前足のかかとで地面を押し、元の姿勢に戻ります。
前足の膝がつま先より前に出ると、膝関節に過度な負担がかかります。歩幅を広く取り、真下に沈む意識を持ちましょう。
ヒップリフト・レッグカール

ヒップリフトは、仰向けで膝を曲げた姿勢からお尻を持ち上げる種目です。具体的な方法は以下のとおりです。
- かかとで地面を押し、肩から膝までが一直線になるまでお尻を持ち上げます。
- トップポジションでお尻を締め、筋肉の収縮を意識します。
腰だけで体を反らせると、腰痛の原因になります。お尻の力で持ち上げる感覚をつかみ、腰への負担を和らげましょう。
一方で、レッグカールは太ももの裏側を鍛えるトレーニングです。マシンを使う方法もありますが、以下では自宅でできる方法を紹介します。
- 柱やドアノブなどに、トレーニング用のチューブを固定します。
- うつ伏せになり、チューブの端を足首に引っ掛けます。
- お尻が浮かないように意識しながら、かかとをお尻にゆっくりと引き寄せます。
- ターゲットの筋肉(太ももの裏側)が強く収縮したら、その位置で1秒ほど静止し、ゆっくりと元の位置に戻します。
反動を使ってすばやく動かすのは、よくある失敗例です。腰に負担がかかってしまうため、常に太ももの裏を意識し、ゆっくりとした動作を心がけましょう。
ケガを防ぐポイント
息を止めると血圧が急上昇し、体に大きな負担がかかります。いずれの種目でも、「力を入れるときに息を吐く」「力を抜くときに息を吸う」という呼吸の基本を守りましょう。
また、最初から重過ぎる負荷(過負荷)でトレーニングを行うと、腰や膝を痛めかねません。正しいフォームを最優先し、コントロールできる適切な重量を心がけてください。
進捗管理とモチベーションの維持法
下半身の筋トレは、数日で大きな効果が出ることはありません。痩せやすい体や美しいボディラインを作るには、自分が考えたメニューを続けることが必要です。
ここでは、トレーニングを続けるための進捗管理や、モチベーション維持のポイントを解説します。
成長を「見える化」する方法
日々の成長を見える化すると、データとしての管理が可能になり、進歩を実感しやすくなります。以下の方法を参考にしながら、成長の記録をつけてみましょう。
- 同じ場所・同じ服装で写真を撮って比較する(月1回)
- 同じ時間帯に、体組成計で体重や体脂肪率を測る(週1回)
- 太ももやヒップのサイズをメジャーで計測する(週1回)
上記のほか、専用のアプリで重量や回数を記録する方法もあります。自分に合った方法を選び、小さな進歩を実感しながらトレーニングに励みましょう。
目標設定の工夫
「3カ月で5kg痩せる」のように体重を目標にすると、停滞時に挫折しやすくなります。進歩を実感できた方が長続きしやすいため、以下のような行動を目標にしましょう。
- 椅子スクワットを「20回×3セット」できるようになる
- 週3回のトレーニングを継続する
- 来月までにランジをふらつかずにこなす
行動を軸にした目標は、達成感を味わいやすい特徴があります。また、体調を見ながらコントロールできるため、ケガを防ぐ効果も期待できるでしょう。
習慣化のコツ
下半身の筋トレを続けるには、日常の習慣にする工夫が必要です。例えば「朝起きたらすぐ」「就寝前に10分だけ」のように時間を決めると、生活リズムに組み込みやすくなります。
まとまった時間の確保が難しい方は、トレーニングを小分けにする方法も考えましょう。前述の時短メニューを取り入れると「朝に5分・昼に5分・夜に10分」といったメニューを組むことができます。
継続を助ける工夫
トレーニングの継続が難しい場合は、家族や友人に「今日から下半身を鍛える」と宣言し、進捗を報告する方法がおすすめです。特に同じような目標があると、励まし合いによってモチベーションを保ちやすくなります。
また、「1カ月続いたらウェアを買う」のように、ご褒美の設定も有効なテクニックでしょう。楽しくトレーニングを続けるために、自分に合った方法を試してみてください。
下半身の強化は、将来の健康につながる
下半身の筋トレは、将来の健康につながる自己投資です。ダイエットや引き締めのほか、健康寿命の延伸、スポーツパフォーマンスの向上など、さまざまな効果が期待できます。
効果を最大化するポイントは、正しいフォームで安全に長く続けること。年代や性別、ライフスタイルなどを踏まえて、まずは目的に合ったメニューを選びましょう。
本記事を参考にしながら、下半身の強化からケアまでをトータルで考えて、小さな一歩から踏み出してみてください。
編集:はてな編集部
イラスト:caco
編集協力:株式会社YOSCA
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さらに詳しい筋トレの情報は、下記のページからもどうぞ。
筋トレ カテゴリーの記事一覧 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
下半身の筋トレなどで運動習慣をつけることは、日々の生活習慣を見直し、健康な生活を送る上で重要なポイントです 。
近年、自分の健康状態を見える化できるサービスが登場しています。自身の現在の運動習慣について把握し改善をしていく上では、こうしたテクノロジーを取り入れてみるのも一つの方法です。
👉フォーネスビジュアス|病気になる前にわかる(NECグループ発)フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、体力を可視化する「心肺持久力」や食事量と運動量の手がかりになる「安静時代謝量」など、従来とは異なる形で体の状態を把握することができるサービスです。
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※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
*1:厚生労働省「健康日本21アクション支援システム Webサイト」
*2:日本整形外科学会「ロコモティブシンドローム(ロコモ)とは」