ランニングに筋トレを生かす ダイエットやマラソンなどに効果的な順番やメニュー

ランニングに筋トレを生かす ダイエットやマラソンなどに効果的な順番やメニュー

ランニングと筋トレは、戦略的に組み合わせることで、フォームの安定やケガの予防、持久力の向上といった、多くのメリットを得られる場合があります。

本記事では、ダイエットやマラソン・長距離完走などの目的に合わせた筋トレ方法や、効果的な順番、プランの立て方について解説します。

さらに年代や性別ごとの工夫や栄養面のポイント、習慣化のコツもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。

(執筆者)中島正雄

合同会社ユイロード 代表社員
2020年10月より、大阪府茨木市にてパーソナルトレーニングジムを運営。2025年6月まで、延べ100名以上の利用者に筋トレやダイエットを指導。2023年には健康経営アドバイザー資格を取得。自身のダイエット経験や、コーチングやNLPを学んだ経験を活かした「クライアントに寄り添った」指導が特徴。

ランニングと筋トレの関係

ランニングと筋トレの関係

筋トレは、ランニングという運動の土台を強固にし、効率と安全性を高めてくれます。ここでは、筋トレがランニングに与えてくれる3つの効果について解説します。

フォーム安定

筋トレには、体の中心軸を安定させる効果があります。中でも腹筋や背筋などの「体幹」と、お尻や太ももといった「下半身」の筋肉は、ブレが少ない効率的な走りに欠かせません。

筋力の少ない方が長距離を走ると、次第に腕の振りが乱れ、着地も不安定になりがちです。この現象は、体を支える筋力が疲労によって低下することで起こります。

同じ力でもより楽に、より長くランニングを続けたい方は、筋トレでフォームを安定させることが大切です。

持久力向上

「持久力=心肺機能」と考えがちですが、筋力もランニングの持久力に影響します。

例えば、一歩一歩の着地衝撃をしっかりと受け止め、力強く蹴り出すためには足の筋力が欠かせません。下半身を鍛えると、個々の筋肉にかかる負担が減少し、疲労が溜まりにくくなります。

また、筋トレには筋肉内のエネルギー貯蔵庫(グリコーゲンタンク)を増やす効果も期待できます。エネルギー切れ(いわゆるガス欠)を防ぐ意味でも、筋トレはランニングに欠かせません。

ケガ予防

筋トレには、膝や腰のケガを防ぐ効果もあるといわれています。

基本的にランニング時のケガは、着地の衝撃を筋肉が吸収しきれず、関節や腱に過剰な負担がかかることで発生します。特に膝周りやお尻の筋力が不足すると、着地のたびに膝が内側に入る「ニーイン」の状態になることも。

関節や腱への負担を和らげるには「天然のサポーター」になる筋肉が欠かせません。筋トレでフォームや関節を安定させる能力が高まれば、膝痛や腰痛、脛(すね)の内側に痛みが生じる「シンスプリント」などのケガを防げます。

目的別・タイプ別アプローチ

筋トレのメニューは、目的に合わせて取り入れることが大切です。ここでは、ランニングの目的やタイプを複数のパターンに分けて、おすすめの筋トレメニューを紹介します。

目的別のおすすめメニュー

まずは、目的別のおすすめメニューから見ていきましょう。

初心者や健康維持が目的の人:自重トレーニングで基礎作り
ケガを防ぐために、自重トレーニングで体の基礎を作ります。スクワットやランジ、プランク、ヒップリフトを取り入れて、ランニングに必要な体幹を鍛えましょう。正しいフォームで続けると、下半身の基礎筋力を安全に養えます。

ダイエット目的の人:全身の大筋群を生かすサーキット系筋トレ
全身の大きな筋肉を使う筋トレで、基礎代謝のアップを目指します。実際の種目としては、スクワットや腕立て伏せ、プランク、バーピーを取り入れましょう。「45秒運動→15秒休憩」のように、短いインターバルで連続して行うサーキットトレーニングがおすすめです。

スクワットやプランクのやり方については、下記の記事で詳しく解説しています。
スクワットの効果。1日5回でもOK? 効果的なやり方のヒント - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

プランクの効果的なやり方とは。正しい姿勢で何秒耐えたらOK?個人のレベル別にトレーナーが解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

タイム短縮が目的の人:爆発的パワーを養うプライオメトリクス
ランニングのスピードアップには、瞬発的な力を生み出す筋力が欠かせません。種目としては、スクワットジャンプやボックスジャンプといった、筋肉をすばやく伸長・収縮する「プライオメトリクス」系のトレーニングがおすすめです。筋肉のバネを鍛えて、力強いストライドを実現しましょう。

マラソン完走を目指す人:ぶれない体幹&粘る下半身強化
レース後半でも正しいフォームで走るには、強靭な体幹と下半身が必要です。プランクやサイドプランク、ランジ、カーフレイズを取り入れて、全身の筋肉をバランスよく鍛えましょう。

ランナータイプ別のおすすめメニュー

ランナータイプ別のおすすめメニュー

次に、ランナータイプ別のおすすめメニューを紹介します。

初心者ランナー:少ない回数・セット数から挑戦する
週1~2回を目安として、ランニングとは別の日に筋トレを行いましょう。負担がかかり過ぎないように、スクワットやプランク、カーフレイズを「各10回×2セット」から始める方法がおすすめです。慣れてきたら、徐々に回数やセット数を増やしてみてください。

市民ランナー:ランニングを中心に筋トレで補強
基本的にはランニングを中心に、パフォーマンスの補強として週2回の筋トレを追加します。下半身はレッグプレスやレッグカール、体幹はケーブルマシンで効率よく鍛えましょう。

ランニング上級者:負荷をかけて全身の筋肉を鍛える
高重量のウェイトトレーニングがおすすめです。バーベルを使ったデッドリフトやスクワットで、全身の筋肉を鍛えましょう。ただし、高強度のランニングと高負荷の筋トレが重ならないように、トレーニングの日程を調整してください。

両立させるためのスケジュール設計

ランニング×筋トレのスケジュール設計

ランニングと筋トレを両立させる上で「順番」と「スケジュール」は悩みやすいポイントです。ここからは、スケジュールの考え方や効果を高めるコツについて解説します。

効果的な順番

ランニングと筋トレの効果的な順番は、運動の目的によって変わります。以下では3つのパターンに分けて、順番の決め方について解説します。

基礎体力の向上重視(初心者):取り組みやすい順番で
トレーニングの初心者は、継続することが何よりも重要です。どちらを先にしても大差はないため「取り組みやすい」と感じる順番で始めましょう。例えば、軽い筋トレで体を温めてから、ゆっくりとランニングを始めるような方法があります。

ダイエット重視:ランニング後に筋トレ
有酸素運動であるランニングを先に行うと、体脂肪がエネルギーとして使われやすい状態になります。そのあとに筋トレをこなすことで、脂肪燃焼と全身の引き締め効果を狙えます。

パフォーマンス向上や筋力強化重視:筋トレ後にランニング
筋トレの質を上げるには、高い集中力とエネルギー(糖質)が必要です。まずは身体がフレッシュな状態で筋トレをこなし、各メニューの質を高めましょう。ランニングはクールダウンの役割になるため、軽めのジョグ程度に抑えます。

週単位のモデル例

1週間のスケジュールを立てると、計画通りにトレーニングを進めやすくなります。ここでは「初心者」と「マラソン練習期」の2パターンに分けて、週単位のモデル例をまとめました。

初心者用のモデル例

  • 月曜:休養
  • 火曜:ランニング(30分)
  • 水曜:筋トレ(自重中心の全身トレーニング)
  • 木曜:ランニング(30分)
  • 金曜:休養
  • 土曜:ランニング(20分)+軽い筋トレ
  • 日曜:少し長めのランニング or ウォーキング

マラソン練習期のモデル例

  • 月曜:休養
  • 火曜:スピード練習(インターバル走など)
  • 水曜:補強の筋トレ(体幹・下半身中心)
  • 木曜:軽いジョグ
  • 金曜:休養
  • 土曜:ロング走
  • 日曜:軽いジョグ or 休養

マラソン練習期のモデル例は、市民ランナーを想定したプランです。高強度のトレーニングはできるだけ分散して、体への負担を抑えましょう。

休養と超回復の考え方

筋肉は、トレーニングで受けたダメージを修復する過程で成長します。この「超回復」と呼ばれる現象には、一般的に48時間程度の休養が必要とされています。

そのため、高強度な筋トレをこなした翌日は完全な休養日にするか、軽いジョグ程度に留めましょう。筋肉痛がひどいときに走り込むと、回復を妨げるだけではなく、ケガのリスクも高まります。

筋肉痛があるときのトレーニングや超回復については、以下の記事でも分かりやすく解説しています。タイプ別の回復法もまとめているので、筋肉痛で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
筋肉痛のとき筋トレしてもいい?痛みの程度別の対処法と回復法を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

年代・性別ごとの工夫

トレーニングの効果を高めるには、体質に合わせたメニュー選びも欠かせません。以下では、年代・性別ごとに意識したいポイントを解説します。

20~30代ランナー

20~30代は体力と回復力が高いため、高強度のトレーニングがおすすめです。週2〜3回の筋トレを積極的に取り入れて、自己記録の更新を目指しましょう。瞬発力をアップしたい方には、プライオメトリクス系のトレーニングが向いています。

40~50代ランナー

40~50代は回復力が緩やかになり、関節への負担も考慮すべき年代です。高重量のトレーニングは避けて、自重やゴムバンドを使うメニューに切り替えましょう。走るフォームを安定させるために、お尻や体幹の筋肉を重点的に鍛える方法がおすすめです。

60代以上のランナー

安全第一で、転倒予防や姿勢維持を目的にした筋トレを取り入れましょう。椅子を使ったスクワットや、壁に手をついて行うカーフレイズ、片足立ちなどのバランストレーニングがおすすめです。

女性ランナー

女性ランナーは、骨盤周りを鍛えるとランニングフォームが安定しやすくなります。膝の痛みも予防できるため、お尻や内ももの筋肉を重点的に鍛えましょう。また、月経周期によるホルモンバランスの変化や、貧血のリスクも考慮することがポイント。体調が優れない日は無理をせず、柔軟に強度を調整するようにしてください。

トレーニング効果を高める食事・栄養のポイント

筋トレとランニングの効果を高めるには、筋肉を修復するための栄養補給が欠かせません。

トレーニングの1~2時間前には、エネルギー源となる糖質を中心に、消化されやすい食品を取ることが理想です。手軽に済ませたい方は、バナナやおにぎりなどを選びましょう。

運動後2時間以内には、タンパク質と糖質をセットで補給します。十分な栄養を摂取し、ダメージを受けた筋肉の回復を促しましょう。プロテインシェイクとバナナの組み合わせがおすすめです。

日々の食事についても、エネルギー源とタンパク質を意識する必要があります。以下では3パターンのモデル例をまとめたので、選び方の参考にしてください。

  • 朝ラン派の食事モデル例
    • トレーニング前:バナナ(半分)
    • トレーニング後:卵、納豆、焼き魚、ご飯
  • 夜ラン派の食事モデル例
    • 夕食(ランニングの2時間前):軽めに済ませる
    • トレーニング後:プロテインやヨーグルトで速やかに栄養摂取
  • コンビニで購入する場合
    • サラダチキンやゆで卵、ギリシャヨーグルト、おにぎり、オレンジジュースなどがおすすめ

長時間のランニングや高強度のトレーニングを行う場合は、ミネラル補給のためにスポーツドリンクを活用しましょう。また、手軽にタンパク質を補給できるプロテインパウダーや、筋分解を防ぐBCAAなどのサプリメントも、必要に応じて取り入れてみてください。

トレーニング中の食事については、以下の記事でも解説しています。ランニングと筋トレの効果を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
筋トレは食事が命?タイミングや目的別の食事メニューを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

習慣化・モチベーション維持の工夫

ランニングや筋トレの成果を実感するには、数カ月単位で続けることが必要です。ここでは、習慣化やモチベーション維持につながる工夫を紹介します。

習慣化のコツ

トレーニングを習慣化するコツは、取り組むハードルを下げることです。最初から完璧を目指さず「1日10分だけ」のように無理なく続けられる目標を設定しましょう。

また、日常の行動とセットで取り組む「ついで習慣化」も、トレーニングを続けるアイデアです。まずは「ウェアに着替えるついでにスクワットを10回」「ストレッチのついでにプランクを30秒」のように、ランニング前後の筋トレから始めてみてください。

成長を可視化したい方には、アプリを使った自己管理がおすすめです。トレーニング内容を記録すると、日々の成長がモチベーションにつながります。

モチベーション維持の工夫

高いモチベーションを維持したい方は、小さな達成感を積み重ねましょう。過去の記録と比較すると「先週より1回多くスクワットができた」「プランクのタイムが5秒伸びた」のように、日々の成長を実感しやすくなります。

一人でのモチベーション維持が難しい場合は、仲間やSNSに頼ることも検討してみてください。トレーニングの目標や記録を共有することで、励まし合える環境を作れる可能性があります。

楽しくこなせる環境を整えよう

ランニングと筋トレは、互いの効果を高め合うトレーニングです。日々の生活習慣を見直し、ご自身に合ったメニューを組み合わせることで、目的を達成できる可能性が高まります。

「なかなか習慣化できない……」と悩んでいる方は、現実的な目標を設定することから始めましょう。本記事を参考にしながら、ランニングと筋トレを楽しくこなせる環境を整えてみてください。

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA


下記の記事でも、筋トレや有酸素運動のヒントを紹介しています。

👉有酸素運動と筋トレの順番はどちらが先?初心者・中高年・忙しい人のライフスタイル別メニュー - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
運動初心者や30代以上の女性、中高年層などに向けて、自身に合った「有酸素運動と筋トレ」メニューの考え方と無理なく続ける始め方をまとめています。

👉室内のおすすめ有酸素運動14種。自宅で静かに器具なしでできる全身運動を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
室内の限られたスペースでも手軽にできる有酸素運動をまとめました。気になる集合住宅などの防音・静音対策もあわせて紹介しています。

👉筋トレのジムメニュー、初心者でも続けられる週1〜3日のトレーニング内容。全身を効率よく鍛えよう - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
ジムに「週3日」通うことを前提とした初心者でも運動を続けるコツや、1週間のおすすめメニューをまとめています。忙しい方のために「週1〜2日」通う場合のポイントも。

さらに詳しい筋トレや有酸素運動の情報は、下記のページからもどうぞ。
筋トレ カテゴリーの記事一覧 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
有酸素運動 カテゴリーの記事一覧 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

ランニングや筋トレなどの運動習慣をつけることは、日々の生活習慣を見直し、健康な生活を送る上で重要なポイントです

近年、自分の健康状態を見える化できるサービスが登場しています。自身の現在の運動習慣について把握し改善をしていく上では、こうしたテクノロジーを取り入れてみるのも一つの方法です。

👉フォーネスビジュアス|病気になる前にわかる(NECグループ発)

フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、体力を可視化する「心肺持久力」や食事量と運動量の手がかりになる「安静時代謝量」など、従来とは異なる形で体の状態を把握することができるサービスです。

さらには将来の疾病リスクを可視化し、専門資格を持つコンシェルジュから生活習慣に関するアドバイスが受けられます。運動をはじめ、自分に合った食事や睡眠習慣などについても、専門的な視点から知ることができます。

※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。