
ランニングと筋トレは、戦略的に組み合わせることで、フォームの安定やケガの予防、持久力の向上といった、多くのメリットを得られる場合があります。
本記事では、ダイエットやマラソン・長距離完走などの目的に合わせた筋トレ方法や、効果的な順番、プランの立て方について解説します。
さらに年代や性別ごとの工夫や栄養面のポイント、習慣化のコツもまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ランニングと筋トレの関係

筋トレは、ランニングという運動の土台を強固にし、効率と安全性を高めてくれます。ここでは、筋トレがランニングに与えてくれる3つの効果について解説します。
フォーム安定
筋トレには、体の中心軸を安定させる効果があります。中でも腹筋や背筋などの「体幹」と、お尻や太ももといった「下半身」の筋肉は、ブレが少ない効率的な走りに欠かせません。筋力の少ない方が長距離を走ると、次第に腕の振りが乱れ、着地も不安定になりがちです。この現象は、体を支える筋力が疲労によって低下することで起こります。
同じ力でもより楽に、より長くランニングを続けたい方は、筋トレでフォームを安定させることが大切です。
持久力向上
「持久力=心肺機能」と考えがちですが、筋力もランニングの持久力に影響します。例えば、一歩一歩の着地衝撃をしっかりと受け止め、力強く蹴り出すためには足の筋力が欠かせません。下半身を鍛えると、個々の筋肉にかかる負担が減少し、疲労が溜まりにくくなります。
また、筋トレには筋肉内のエネルギー貯蔵庫(グリコーゲンタンク)を増やす効果も期待できます。エネルギー切れ(いわゆるガス欠)を防ぐ意味でも、筋トレはランニングに欠かせません。
ケガ予防
筋トレには、膝や腰のケガを防ぐ効果もあるといわれています。基本的にランニング時のケガは、着地の衝撃を筋肉が吸収しきれず、関節や腱に過剰な負担がかかることで発生します。特に膝周りやお尻の筋力が不足すると、着地のたびに膝が内側に入る「ニーイン」の状態になることも。
関節や腱への負担を和らげるには「天然のサポーター」になる筋肉が欠かせません。筋トレでフォームや関節を安定させる能力が高まれば、膝痛や腰痛、脛(すね)の内側に痛みが生じる「シンスプリント」などのケガを防げます。
目的別・タイプ別アプローチ
筋トレのメニューは、目的に合わせて取り入れることが大切です。ここでは、ランニングの目的やタイプを複数のパターンに分けて、おすすめの筋トレメニューを紹介します。
目的別のおすすめメニュー
まずは、目的別のおすすめメニューから見ていきましょう。初心者や健康維持が目的の人:自重トレーニングで基礎作り
ケガを防ぐために、自重トレーニングで体の基礎を作ります。スクワットやランジ、プランク、ヒップリフトを取り入れて、ランニングに必要な体幹を鍛えましょう。正しいフォームで続けると、下半身の基礎筋力を安全に養えます。ダイエット目的の人:全身の大筋群を生かすサーキット系筋トレ
全身の大きな筋肉を使う筋トレで、基礎代謝のアップを目指します。実際の種目としては、スクワットや腕立て伏せ、プランク、バーピーを取り入れましょう。「45秒運動→15秒休憩」のように、短いインターバルで連続して行うサーキットトレーニングがおすすめです。スクワットやプランクのやり方については、下記の記事で詳しく解説しています。
スクワットの効果。1日5回でもOK? 効果的なやり方のヒント - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
プランクの効果的なやり方とは。正しい姿勢で何秒耐えたらOK?個人のレベル別にトレーナーが解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
タイム短縮が目的の人:爆発的パワーを養うプライオメトリクス
ランニングのスピードアップには、瞬発的な力を生み出す筋力が欠かせません。種目としては、スクワットジャンプやボックスジャンプといった、筋肉をすばやく伸長・収縮する「プライオメトリクス」系のトレーニングがおすすめです。筋肉のバネを鍛えて、力強いストライドを実現しましょう。マラソン完走を目指す人:ぶれない体幹&粘る下半身強化
レース後半でも正しいフォームで走るには、強靭な体幹と下半身が必要です。プランクやサイドプランク、ランジ、カーフレイズを取り入れて、全身の筋肉をバランスよく鍛えましょう。ランナータイプ別のおすすめメニュー

次に、ランナータイプ別のおすすめメニューを紹介します。
初心者ランナー:少ない回数・セット数から挑戦する
週1~2回を目安として、ランニングとは別の日に筋トレを行いましょう。負担がかかり過ぎないように、スクワットやプランク、カーフレイズを「各10回×2セット」から始める方法がおすすめです。慣れてきたら、徐々に回数やセット数を増やしてみてください。市民ランナー:ランニングを中心に筋トレで補強
基本的にはランニングを中心に、パフォーマンスの補強として週2回の筋トレを追加します。下半身はレッグプレスやレッグカール、体幹はケーブルマシンで効率よく鍛えましょう。ランニング上級者:負荷をかけて全身の筋肉を鍛える
高重量のウェイトトレーニングがおすすめです。バーベルを使ったデッドリフトやスクワットで、全身の筋肉を鍛えましょう。ただし、高強度のランニングと高負荷の筋トレが重ならないように、トレーニングの日程を調整してください。両立させるためのスケジュール設計

ランニングと筋トレを両立させる上で「順番」と「スケジュール」は悩みやすいポイントです。ここからは、スケジュールの考え方や効果を高めるコツについて解説します。
効果的な順番
ランニングと筋トレの効果的な順番は、運動の目的によって変わります。以下では3つのパターンに分けて、順番の決め方について解説します。基礎体力の向上重視(初心者):取り組みやすい順番で
トレーニングの初心者は、継続することが何よりも重要です。どちらを先にしても大差はないため「取り組みやすい」と感じる順番で始めましょう。例えば、軽い筋トレで体を温めてから、ゆっくりとランニングを始めるような方法があります。ダイエット重視:ランニング後に筋トレ
有酸素運動であるランニングを先に行うと、体脂肪がエネルギーとして使われやすい状態になります。そのあとに筋トレをこなすことで、脂肪燃焼と全身の引き締め効果を狙えます。パフォーマンス向上や筋力強化重視:筋トレ後にランニング
筋トレの質を上げるには、高い集中力とエネルギー(糖質)が必要です。まずは身体がフレッシュな状態で筋トレをこなし、各メニューの質を高めましょう。ランニングはクールダウンの役割になるため、軽めのジョグ程度に抑えます。週単位のモデル例
1週間のスケジュールを立てると、計画通りにトレーニングを進めやすくなります。ここでは「初心者」と「マラソン練習期」の2パターンに分けて、週単位のモデル例をまとめました。初心者用のモデル例
- 月曜:休養
- 火曜:ランニング(30分)
- 水曜:筋トレ(自重中心の全身トレーニング)
- 木曜:ランニング(30分)
- 金曜:休養
- 土曜:ランニング(20分)+軽い筋トレ
- 日曜:少し長めのランニング or ウォーキング
マラソン練習期のモデル例
- 月曜:休養
- 火曜:スピード練習(インターバル走など)
- 水曜:補強の筋トレ(体幹・下半身中心)
- 木曜:軽いジョグ
- 金曜:休養
- 土曜:ロング走
- 日曜:軽いジョグ or 休養
マラソン練習期のモデル例は、市民ランナーを想定したプランです。高強度のトレーニングはできるだけ分散して、体への負担を抑えましょう。
休養と超回復の考え方
筋肉は、トレーニングで受けたダメージを修復する過程で成長します。この「超回復」と呼ばれる現象には、一般的に48時間程度の休養が必要とされています。そのため、高強度な筋トレをこなした翌日は完全な休養日にするか、軽いジョグ程度に留めましょう。筋肉痛がひどいときに走り込むと、回復を妨げるだけではなく、ケガのリスクも高まります。
筋肉痛があるときのトレーニングや超回復については、以下の記事でも分かりやすく解説しています。タイプ別の回復法もまとめているので、筋肉痛で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
筋肉痛のとき筋トレしてもいい?痛みの程度別の対処法と回復法を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
年代・性別ごとの工夫
トレーニングの効果を高めるには、体質に合わせたメニュー選びも欠かせません。以下では、年代・性別ごとに意識したいポイントを解説します。20~30代ランナー
20~30代は体力と回復力が高いため、高強度のトレーニングがおすすめです。週2〜3回の筋トレを積極的に取り入れて、自己記録の更新を目指しましょう。瞬発力をアップしたい方には、プライオメトリクス系のトレーニングが向いています。40~50代ランナー
40~50代は回復力が緩やかになり、関節への負担も考慮すべき年代です。高重量のトレーニングは避けて、自重やゴムバンドを使うメニューに切り替えましょう。走るフォームを安定させるために、お尻や体幹の筋肉を重点的に鍛える方法がおすすめです。60代以上のランナー
安全第一で、転倒予防や姿勢維持を目的にした筋トレを取り入れましょう。椅子を使ったスクワットや、壁に手をついて行うカーフレイズ、片足立ちなどのバランストレーニングがおすすめです。女性ランナー
女性ランナーは、骨盤周りを鍛えるとランニングフォームが安定しやすくなります。膝の痛みも予防できるため、お尻や内ももの筋肉を重点的に鍛えましょう。また、月経周期によるホルモンバランスの変化や、貧血のリスクも考慮することがポイント。体調が優れない日は無理をせず、柔軟に強度を調整するようにしてください。トレーニング効果を高める食事・栄養のポイント
筋トレとランニングの効果を高めるには、筋肉を修復するための栄養補給が欠かせません。トレーニングの1~2時間前には、エネルギー源となる糖質を中心に、消化されやすい食品を取ることが理想です。手軽に済ませたい方は、バナナやおにぎりなどを選びましょう。
運動後2時間以内には、タンパク質と糖質をセットで補給します。十分な栄養を摂取し、ダメージを受けた筋肉の回復を促しましょう。プロテインシェイクとバナナの組み合わせがおすすめです。
日々の食事についても、エネルギー源とタンパク質を意識する必要があります。以下では3パターンのモデル例をまとめたので、選び方の参考にしてください。
- 朝ラン派の食事モデル例
- トレーニング前:バナナ(半分)
- トレーニング後:卵、納豆、焼き魚、ご飯
- 夜ラン派の食事モデル例
- 夕食(ランニングの2時間前):軽めに済ませる
- トレーニング後:プロテインやヨーグルトで速やかに栄養摂取
- コンビニで購入する場合
- サラダチキンやゆで卵、ギリシャヨーグルト、おにぎり、オレンジジュースなどがおすすめ
長時間のランニングや高強度のトレーニングを行う場合は、ミネラル補給のためにスポーツドリンクを活用しましょう。また、手軽にタンパク質を補給できるプロテインパウダーや、筋分解を防ぐBCAAなどのサプリメントも、必要に応じて取り入れてみてください。
トレーニング中の食事については、以下の記事でも解説しています。ランニングと筋トレの効果を高めたい方は、ぜひ参考にしてください。
筋トレは食事が命?タイミングや目的別の食事メニューを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
習慣化・モチベーション維持の工夫
ランニングや筋トレの成果を実感するには、数カ月単位で続けることが必要です。ここでは、習慣化やモチベーション維持につながる工夫を紹介します。習慣化のコツ
トレーニングを習慣化するコツは、取り組むハードルを下げることです。最初から完璧を目指さず「1日10分だけ」のように無理なく続けられる目標を設定しましょう。また、日常の行動とセットで取り組む「ついで習慣化」も、トレーニングを続けるアイデアです。まずは「ウェアに着替えるついでにスクワットを10回」「ストレッチのついでにプランクを30秒」のように、ランニング前後の筋トレから始めてみてください。
成長を可視化したい方には、アプリを使った自己管理がおすすめです。トレーニング内容を記録すると、日々の成長がモチベーションにつながります。
モチベーション維持の工夫
高いモチベーションを維持したい方は、小さな達成感を積み重ねましょう。過去の記録と比較すると「先週より1回多くスクワットができた」「プランクのタイムが5秒伸びた」のように、日々の成長を実感しやすくなります。一人でのモチベーション維持が難しい場合は、仲間やSNSに頼ることも検討してみてください。トレーニングの目標や記録を共有することで、励まし合える環境を作れる可能性があります。
楽しくこなせる環境を整えよう
ランニングと筋トレは、互いの効果を高め合うトレーニングです。日々の生活習慣を見直し、ご自身に合ったメニューを組み合わせることで、目的を達成できる可能性が高まります。
「なかなか習慣化できない……」と悩んでいる方は、現実的な目標を設定することから始めましょう。本記事を参考にしながら、ランニングと筋トレを楽しくこなせる環境を整えてみてください。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA
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筋トレ カテゴリーの記事一覧 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
有酸素運動 カテゴリーの記事一覧 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
ランニングや筋トレなどの運動習慣をつけることは、日々の生活習慣を見直し、健康な生活を送る上で重要なポイントです
近年、自分の健康状態を見える化できるサービスが登場しています。自身の現在の運動習慣について把握し改善をしていく上では、こうしたテクノロジーを取り入れてみるのも一つの方法です。
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