ふくらはぎの筋トレ 正しい鍛え方やメリット、効果が出る時期を解説

ふくらはぎの筋トレ 正しい鍛え方やメリット、効果が出る時期を解説

ふくらはぎの筋トレ、意味がないと思っていませんか? 実は正しく鍛えると、全身の血流や代謝の促進に加えて、むくみの解消や美脚効果、ダイエット効果などを期待できます。スポーツパフォーマンスの向上を目指す場合も、非常に重要です。

本記事では、ふくらはぎの重要性や、ダンベルなどを使った目的別の鍛え方、日常に取り入れやすいトレーニングメニューなどを紹介します。

ケガを防ぐポイントや、栄養・休養の考え方もまとめているので、安全かつ効率的に鍛えたい方はぜひ参考にしてください。

(執筆者)中島正雄

合同会社ユイロード 代表社員
2020年10月より、大阪府茨木市にてパーソナルトレーニングジムを運営。2025年6月まで、延べ100名以上の利用者に筋トレやダイエットを指導。2023年には健康経営アドバイザー資格を取得。自身のダイエット経験や、コーチングやNLPを学んだ経験を活かした「クライアントに寄り添った」指導が特徴。

ふくらはぎは「第二の心臓」

ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれます*1。その理由は、下半身の血流に深く関わっているためです。

ふくらはぎの筋肉は、かかとを上げ下げしたり歩いたりするたびに、収縮と弛緩を繰り返します。その影響で、下半身の血管がポンプのように圧迫されるため(筋ポンプ作用)、静脈を流れる血液が力強く心臓に押し戻されます。

下半身の筋ポンプ作用が衰えると、血行不良による冷えやむくみ、さらにはエコノミークラス症候群のような健康被害を引き起こしかねません。健康維持のためにも、ふくらはぎのトレーニングは重要なアプローチになります。

鍛えるべき理由

ここからは、ふくらはぎを鍛える効果やメリットについて解説します。

ふくらはぎの筋肉構造

大きく分類すると、ふくらはぎの筋肉は「腓腹筋(ひふくきん)」と「ヒラメ筋」に分けられます。

ふくらはぎの筋肉構造

ふくらはぎの表層にある腓腹筋*2は、膝を伸ばした状態でかかとを上げるとき(つま先立ちする)に動く筋肉です。瞬発的な力を発揮する「速筋*3」の割合が多く、ジャンプやダッシュといったパワフルな動きに影響します。

一方で、腓腹筋の深層にあるヒラメ筋は、アキレス腱へとつながる平たい筋肉です。主に、膝を曲げた状態でかかとを上げる際に働きます。

ヒラメ筋は「遅筋*4」の割合が多いため、姿勢の維持や長時間立ち続けるなどの持久力に影響します。また、前述の筋ポンプ作用においても、ヒラメ筋は中心的な役割を担う筋肉です。

鍛えるメリット

ふくらはぎを鍛えるメリットは、以下のとおりです。

  • 血流が促進され、むくみ防止や冷え性改善につながる
  • 日々の消費カロリーが増えて、痩せ体質に近づける
  • 姿勢が改善され、身体のふらつきが減る
  • 足首がキュっと引き締まり、美しく力強い下半身になる

ふくらはぎを鍛えると、筋ポンプ作用の活性化による健康増進のほか、日々の運動も楽になることが期待できます。特に「姿勢筋」とも呼ばれることもあるヒラメ筋のトレーニングは、転倒予防のアプローチとしても有効です。

また、適度に鍛えられた腓腹筋は、美しく力強いシルエットを作り出します。脚全体を長く見せる効果も期待できるため「鍛えると脚が太くなりそう……」などと過度に不安視する必要はありません。

目的別のトレーニングプログラム

目的別のトレーニングプログラム

ふくらはぎの筋トレは、目的に合わせてトレーニングのメニューを選ぶことが大切です。

美脚・むくみ解消向け

美脚やむくみ解消を目指す方は、筋肉を過度に大きくせず、しなやかに引き締めることを意識しましょう。ヒラメ筋への刺激を意識し、低負荷・高回数のトレーニングを繰り返すアプローチが有効です。

おすすめの種目は以下のとおりです。

自重カーフレイズ
壁などに手をつき、かかとをゆっくりと上げ下げします。下ろすときに3秒かけるなど、ネガティブ動作を意識すると効果が高まります。

シーテッド・カーフレイズ
椅子に座り、膝の上に重り(辞書や水の入ったペットボトルなど)を乗せた状態でかかとを上げ下げします。膝を曲げることで、ヒラメ筋を集中的に鍛えられます。

つま先歩き
背筋を伸ばし、かかとをできるだけ高く上げた状態で歩き回ります。場所を選ばないため、自宅での「ながら運動」に向いています。

トレーニングの回数については「15~20回×3セット」「週3~5回」を目安にしましょう。体力に余裕がある場合は、毎日取り組んでも問題ありません。

ポイントは、呼吸を止めずにリズミカルに行うことです。効果を高めたい方は可動域全体を使い、かかとを最大限に上げて、床につくギリギリまでゆっくりと下ろしましょう。

筋肥大・アスリート向け

たくましい脚や、スポーツのパフォーマンス向上を目指す場合は、腓腹筋に負荷をかけるアプローチが必要です。高負荷・低回数のトレーニングで、筋肉に成長のシグナルを送り込みます。

実際の種目については、以下を参考にしてみましょう。

ダンベル・カーフレイズ
両手にダンベルを持ち、立った状態でカーフレイズを行います。台などの段差につま先を乗せると可動域が広がり、より強い刺激を与えられます。

ジャンプスクワット
スクワットのボトムポジションから、爆発的にジャンプする種目です。着地からすばやく次のジャンプに移り、腓腹筋の瞬発力を鍛えます。

マシン・カーフレイズ
スタンディング・カーフレイズやレッグプレスマシンなど、専用マシンを使ったカーフレイズもおすすめです。高重量を安全に扱えるため、効率的に筋肥大を狙えます。

トレーニングの回数は「8〜12回×3~4セット」を目安にし、週2〜3回の頻度で続けましょう。徐々に重量や回数を増やすと、効率的にふくらはぎを鍛えられます。

健康維持・シニア向け

健康維持を目的とする場合は、安全性への意識が重要です。基本的には身体が安定する種目を選び、血流改善とバランス能力の強化に焦点を当てましょう。

実際の種目については、以下のメニューがおすすめです。

椅子カーフレイズ
椅子の背もたれや壁にしっかりと手をつき、身体を安定させます。そのままの体勢から、かかとの上げ下げを繰り返しましょう。

かかとの上げ下げ運動(トゥレイズ&カーフレイズ)
椅子に座ったまま、「つま先を上げる」「かかとを上げる」という動作を交互に繰り返します。すねの筋肉(前脛骨筋)とふくらはぎを同時に鍛えられ、転倒予防にも効果的です。

トレーニング回数は「10〜15回×2セット」から始めて、慣れてきたら徐々に増やしましょう。体調が良ければ、毎日取り組んでも構いません。

意識したいポイントは、椅子や壁などの安定した支えを使い、転倒のリスクを完全になくすことです。焦らずに、ご自身のペースでゆっくりと行いましょう。

日常生活でできる、ふくらはぎ筋トレ

トレーニングの時間が確保できない方に向けて、ここからは手軽に取り組めるふくらはぎの筋トレを紹介します。

通勤・通学中に

通勤・通学途中でふくらはぎを鍛えたい方は、エスカレーターやエレベーターを避け、階段を積極的に使いましょう。例えば「つま先を意識する」「一段飛ばしで上る」などの工夫をすると、カーフレイズと同様の効果が期待できます。

また、電車やバスを待つわずかな時間に、かかとを少しだけ浮かせてキープしたり、ゆっくりと上げ下げしたりするだけでも、効果的なトレーニングになります。

オフィスワーク中に

デスクワークが中心のオフィスワーカーは、長時間座りっぱなしになるため、血行不良を招きかねません。筋ポンプ作用を促すために、1時間ごとに足首を上下に30回ほど動かしてみましょう。座ったままの運動でも、むくみやだるさを予防できます。

トレーニング用のゴムバンドを足先に引っ掛けて、手前に引く運動も、周囲に気付かれずに行える手軽なトレーニングです。

立ち仕事中に

立ち仕事が中心の人は、立ち止まったときにカーフレイズを行いましょう。1セットあたり数回でも、コツコツ積み重ねると大きな差になることがあります。

また、休憩時間にはアキレス腱を伸ばすなど、緊張しがちなふくらはぎをリラックスさせましょう。

習慣化のコツ

日常に取り入れたトレーニングも、継続しなければ意味がありません。無理なく習慣化できるように、以下のような工夫も取り入れてみてください。

  • スマートフォンのタイマーやリマインダー機能を使う
  • カレンダーやノートに、トレーニングした日を記録する
  • 専用アプリでトレーニングの記録をつける

行動のきっかけを作り、日々の努力が見える化されると、筋トレのモチベーションを維持しやすくなります。

ケガ予防と正しいやり方

ケガ予防と正しいやり方

ふくらはぎの筋トレは、肉離れなどのケガにつながる可能性もあります。安全なトレーニングのために、よくあるトラブルや予防法も押さえておきましょう。

よくあるトラブル

ふくらはぎの筋トレでは、次のようなトラブルが起こりがちです

ふくらはぎがつる
筋肉の疲労や冷え、水分・ミネラル不足などが主な原因です。

筋肉痛が強い
普段使わない筋肉を刺激した後や、高強度のトレーニング後には自然な反応です。ただし、日常生活に支障が出るほどの痛みは、オーバートレーニングのサインかもしれません。

アキレス腱炎・肉離れ
ウォーミングアップ不足や過度な負荷、間違ったフォームなどが主な原因です。

上記のトラブルが起こると、質の高いトレーニングを続けることが難しくなります。

ケガを防ぐためのポイント

ふくらはぎのケガを防ぐには、運動前後のウォームアップやクールダウン、正しいフォームを意識することが重要です。ここでは、ケガを防ぐ3つのポイントを紹介します。

運動前のウォームアップ
トレーニングの前には足首を回したり、アキレス腱を軽く伸ばしたりして、筋肉と関節を温めましょう。その場足踏みや軽いジョギングも、有効なウォームアップです。

運動後のクールダウンとストレッチ
トレーニングが終わったら、使った筋肉を静的ストレッチでほぐしましょう。30秒ほどかけてゆっくり伸ばすと、筋肉の緊張がほぐれて回復が促進されます。

正しいフォームを守る
「膝をピンと伸ばしきらない」「反動を使わない」「可動域全体をゆっくりと使う」など、基本姿勢を守ることが大切です。各種目で正しいフォームを習得し、関節や腱への過剰な負担を防ぎましょう。

セルフチェックリスト

筋トレの安全性と効果を高めるには、ほかにも意識したいポイントがあります。以下では、トレーニング中のチェックリストをまとめました。

  • かかとを最大限まで上げ、床につくギリギリまで下ろせているか?
  • 動作中に、体が前後にブレていないか?(体幹が安定しているか)
  • ふくらはぎ以外の部分(足の裏や膝など)に、痛みや違和感はないか?

一人でフォームを確認する場合は、スマートフォンの撮影機能や鏡を活用しましょう。

効果を最大化する栄養・休養

ふくらはぎの筋トレ効果は、食事や休養の取り方によっても変わります。

栄養

トレーニング後の筋肉を成長させるには、十分な栄養補給が欠かせません。最も重要な栄養素は、筋肉の材料になるタンパク質です。トレーニングが終わったら、肉や魚、大豆製品、乳製品などを意識して摂りましょう。

また、エネルギー生成を助けるマグネシウム*5を摂取すると、疲労回復の効果が期待できます。特に筋肉が痙攣しやすい人は、ナッツ類や海藻、玄米などを食事に取り入れてみてください。

下半身がむくみやすい人には、余分な塩分(ナトリウム)の排出を助けるカリウムがおすすめです。例えば、バナナやアボカド、ほうれん草、海藻類を積極的に摂ると、むくみを改善しやすくなります。

筋トレ中の食事については、以下の記事でも分かりやすく解説しています。
筋トレは食事が命?タイミングや目的別の食事メニューを徹底解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

水分補給

体内の水分が不足すると、血液がドロドロになり、血流が悪化しかねません。筋ポンプ作用を助けるためにも、こまめな水分補給は非常に重要です。水分不足は、筋肉の痙攣(つること)の直接的な原因にもなります。

睡眠

筋肉の修復と成長を促す「成長ホルモン*6」は、深く眠っている最初の1.5〜2時間ごろに多く分泌されます。また、筋トレ期間中には体を休ませる必要があるため、最低でも7時間以上の睡眠を確保しましょう。

睡眠の悩みを抱えている方には、以下の記事がおすすめです。不眠タイプ別の対処法をチェックし、すっきりと眠れる環境を整えましょう。
眠れない時の対処法は?タイプ別の不眠対策、どうしても眠れない夜の過ごし方も - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

リカバリー

トレーニングで疲労した筋肉は、その日のうちにケアをすることが理想です。運動後のストレッチはもちろん、手で軽くマッサージをしたり、フォームローラーを使ってふくらはぎ全体をほぐしたりしましょう。

丁寧にケアをすると血流が改善し、翌日の筋肉痛が和らぎます。筋肉痛がなかなか解消されない方は、以下の記事を参考にしてみてください。
筋肉痛のとき筋トレしてもいい?痛みの程度別の対処法と回復法を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

よくあるQ&A

ここからは、ふくらはぎの筋トレに関してよくある質問に回答します。

Q1:ふくらはぎを鍛えると脚が太くなるって本当?

目的次第でコントロール可能です。例えば、筋肥大を目的とした高負荷・低回数のトレーニングを続けると、太くてたくましい脚に近づきます。

一方で低負荷・高回数のトレーニングは、余分な脂肪やむくみを解消する効果ができるため、スッキリと引き締まった脚を目指せます。

Q2:筋トレは毎日やってもいいの?

負荷によります。自重で行うカーフレイズや、ストレッチ系の軽い運動であれば、血行促進のために毎日行っても問題ありません。

しかし、ダンベルを持つなどの高負荷なトレーニングでは、筋肉を回復させる時間を設けましょう。基本的には、48〜72時間の休養をはさむ方法がおすすめです。

Q3:筋トレの効果が出るのはどれくらい?

効果の感じ方には個人差があります。早ければ1カ月程度で、「むくみが解消された」「疲れにくくなった」といった機能的な変化を実感できることもあります。

ただし、見た目の変化(脚のシルエットや太さなど)を目標にする場合は、最低でも3カ月以上の継続が必要になると考えておきましょう。

O脚やX脚でも大丈夫?

基本的なカーフレイズは問題ありませんが、フォームには注意が必要です。

O脚は脚の外側、X脚は内側に体重が乗りやすい傾向があるため、足裏全体で均等に地面を押す意識を持ちましょう。痛みが伴う場合は自己判断で行わず、医師やトレーナーなどの専門家に相談してください。

まずは小さなトレーニングから始めよう

ふくらはぎの筋力トレーニングは、地味な運動に見えるかもしれませんが、健康や美容、日々のパフォーマンスに恩恵をもたらしてくれます。重要なのは、自分の目的(美脚なのか、筋肥大なのか、健康維持なのか)を明確にし、それに合った正しい方法で、安全に「継続する」ことです。

この記事を参考に、日常生活の中に小さなトレーニングを取り入れ、適切な栄養と休養を組み合わせれば、着実に効果を実感できるはずです。まずは今日、歯磨きをしながらのかかと上げから、新しい一歩を始めてみませんか。

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA


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*1:参考:千葉県医師会「第二の心臓” 足に気配りを! ~下肢静脈瘤~」[PDF]

*2:参考:日本ストレッチング協会「腓腹筋(ひふくきん)の起始と停止と作用

*3:参考:野田市「遅筋と速筋

*4:参考:野田市「遅筋と速筋

*5:参考:厚生労働省eJIM「マグネシウム

*6:参考:島根県 りびえーる「『元気』のための基礎知識」[PDF]