
体脂肪率の減らし方は、ダイエット中の人にとって気になるポイントでしょう。健康的で引き締まった体を目指したいなら、体重だけでなく体脂肪についても考える必要があります。
本記事では、減らし方や目安に加え、年代別や男女別のアプローチを解説します。筋トレと有酸素運動の組み合わせ方などを理解し、無理なく減らすことを目指しましょう。
目次
体脂肪率とは?
まずは体脂肪率の基礎知識として、計算方法や体重との違い、男女別の目安について解説します。定義と計算方法
体脂肪率とは、全体重に占める体脂肪の割合をパーセンテージで表したものです。一般的には、以下の式で計算されます。体脂肪率(%) = 体脂肪の重さ(kg) ÷ 体重(kg) × 100
しかし測定する機器や体の状態によって、体脂肪率には多少の誤差が生じるため、正しい測り方を理解しておくことが大切です。
体重と体脂肪率の違い
体重とは、体を構成する全要素の重さを合計した値です。具体的には脂肪のほか、筋肉や骨、内臓、血液、体液などが含まれます。その中で、脂肪だけの重さが占める割合を表したものが体脂肪率です。この違いを理解しないと、せっかく運動をしても「見た目が変わらない」と感じる原因につながります。例えば極端な食事制限などで体重を減らすと、体内の水分量や筋肉量が減る一方で、体脂肪率は変わらないことがあります。
脂肪に比べると筋肉は密度が高く、同じ重さでも体積が小さい傾向にあります。そのため、筋肉が減って脂肪が増えると、体重は変わらなくても体がたるんで見えてしまいます。
理想的な体脂肪率の目安(男女別)
一般的な成人を基準にすると、理想的な体脂肪率はおおよそ以下のとおりです。| 性別 | やせ | 標準 | やや高め | 高い(改善が望ましい) |
|---|---|---|---|---|
| 男性 | 10%未満 | 10~20%未満 | 20~25%未満 | 25%以上 |
| 女性 | 20%未満 | 20~30%未満 | 28~35%未満 | 35%以上 |
※日本赤十字社・長浜赤十字病院のサイトを参考に作成。一般的な目安であり、年齢や骨格、体質によって変動します。
体脂肪率は体作りの目安になりますが、低いほど望ましいわけではありません。男性の場合、体脂肪率が10%を下回るとアスリートレベルになりますが、低過ぎると免疫力低下などのリスクにつながります。
女性についても、体脂肪率が20%程度を下回ると痩せ型となり、ホルモンバランスの乱れ(月経不順など)を引き起こす場合があるので注意してください。
理想的な減少スピードと目標設定

ここでは、無理なく体脂肪率を減らす現実的なペースと、挫折しない目標設定のコツを紹介します。
1カ月でどれくらい減らすのが理想?
体脂肪率を減らす理想的なペースは「1カ月に1〜2%」の範囲です。これ以上の急激な減少は、かえって逆効果になる可能性があります。無理に体脂肪率を減らすと、体は飢餓状態と判断し、筋肉を分解してエネルギーを確保しようとします。結果として基礎代謝が低下するため、脂肪が燃えにくくリバウンドしやすい体になってしまいます。
成人が体脂肪1kgを燃焼させるには、約7,200kcalの消費が必要です*1。毎日240kcal(おにぎり約1.5個分)の消費を積み重ねて、ようやく1カ月で1kgの脂肪が減る計算になるため、地道な努力が欠かせません。
健康的な体作りのためには、体重の数字ではなく、あくまで体脂肪率の着実な減少を目指すことが大切です。
短期目標+長期目標を設定する方法
ダイエットや体作りを成功させるには、最終的なゴールである長期目標と、そこに至るまでの短期目標を組み合わせることが大切です。まずは、半年後や1年後の姿をイメージして「体脂肪率を〇〇%にする」といった長期目標を立てましょう。これだけでは挫折しやすくなるため、次は1カ月単位の短期目標を設定します。例えば「体脂肪率を1%ずつ減らす」と決めて、短期目標を一つずつクリアする計画を立てると、モチベーションを維持しやすくなります。
数値目標に加えて、体調や見た目の変化に目を向けることもポイントです。「体が軽くなった」「階段が楽になった」「好きな服が似合うようになった」などの変化もチェックし、達成感を味わえるタイミングを増やしましょう。
体脂肪率を正確に測るコツ
体脂肪率を正しく把握するポイントは、毎日同じ条件下で測定することです。体脂肪率は体内の水分量に影響されるため、測定のタイミング(時間帯)が変わると数値が変動しやすくなります。食後や運動直後の測定は避けて、例えば「起床後にトイレを済ませ、朝食を食べる前」に測定すると、安定したデータを得やすくなります。
また、体組成計などの数値には誤差があるため、日々のわずかな増減に一喜一憂しないことも心がけましょう。週単位での平均値を計算し、その変化の傾向を見ることで、これまでの成果や体の変化を冷静に判断できます。
性別・年代・体型タイプ別に異なる「減らし方のコツ」
体脂肪率を減らす最適なアプローチは、その人の体質によって変わります。ここでは性別・年齢・体型タイプに分けて、減らし方のコツを紹介します。男性と女性では脂肪の付き方が違う
ホルモンの影響により、男性と女性では脂肪の付きやすい部位に違いがあります。一般的な男性は、内臓脂肪が多い傾向にあるため、運動によるアプローチが有効です。生活習慣の見直しも大切ですが、まずは筋トレと有酸素運動をうまく組み合わせることを考えましょう。
一方で、女性は皮下脂肪が多い傾向にあります。皮下脂肪は一度つくと落ちにくい性質があるため、食事改善を基本としつつ、下半身をターゲットにした筋トレを取り入れましょう。例えばスクワットを根気強く続けると、引き締めの効果が期待できます。
性別による体質の違いを踏まえて、目的に合ったアプローチを考えてみてください。
有酸素運動と筋トレの組み合わせ方、下半身のトレーニングについては、以下の記事でそれぞれ詳しく紹介しています。
有酸素運動と筋トレの順番はどちらが先?初心者・中高年・忙しい人のライフスタイル別メニュー - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
下半身の筋トレメニュー21選で痩せやすい体に ジム・自宅で初心者にも効果 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
年代別・代謝変化に合わせたアプローチ
体脂肪を減らすアプローチは、基礎代謝の変化に合わせて調整することも大切です。一般的に、20~30代は基礎代謝が高いため、運動量を増やせば比較的早く効果を実感できるでしょう。
一方で、40〜50代になると基礎代謝が低下するため、筋トレや食事管理の重要性が増します。筋肉量を維持するために、日ごろからタンパク質の摂取を意識しましょう。
60代以上の方には「健康寿命の延命」を目的にする方法がおすすめです。安全を最優先して、動ける体を維持するための筋トレを取り入れてみてください。
体型タイプ別のアプローチ
お腹周りに脂肪が付きやすい「リンゴ型(内臓脂肪型)」の方は、運動する習慣をつけましょう。食事制限よりも、ウォーキングなどを無理なく続けることが大切です。一方で、お尻や太ももに脂肪がつきやすい「洋ナシ型(皮下脂肪型)」の方には、部位の引き締めを狙ったトレーニングがおすすめ。スクワットなど、下半身を中心とした筋トレを取り入れてみてください。
スクワットの効果的なやり方については、以下の記事もご覧ください。
スクワットの効果。1日5回でもOK? 効果的なやり方のヒント - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
また、標準体重で体脂肪率が高い「隠れ肥満型」の方は、筋肉量が不足している証拠です。基礎代謝を上げるための筋トレを続けることが、根本的な解決策になります。
「食事・運動・休息」を整える1日のモデルルーティン

体脂肪を効率的に減らすには、生活習慣を意識することも重要です。ここでは、朝・昼・夜の時間帯で意識したいポイントや、1日のモデルルーティンを紹介します。
朝|代謝を上げるスタート習慣
朝の過ごし方は、1日の代謝を左右します。睡眠中に低下した代謝を上げるために、以下の習慣を取り入れましょう。- 起床後にコップ1杯の白湯を飲む(内臓を優しく温める)
- 軽いストレッチをする(血流を促進する)
- 朝食で豊富なタンパク質を摂取する(卵やヨーグルトなど)
- 朝の散歩を取り入れる、通勤時に一駅分の距離を歩く(交感神経を活性化させる)
午前中からエネルギーを消費しやすい状態にすると、1日全体の脂肪燃焼効率アップが期待できます。
昼|脂肪を溜めにくくする食べ方
昼食の食べ方を工夫すると、血糖値の急上昇を抑えることにつながり、脂肪が溜まりづらくなります。メニューについては、炭水化物を完全には抜かず、玄米や雑穀米、全粒粉パンといったGI値の低い主食を選びましょう。
食事の際は、野菜や海藻類などの食物繊維から先に食べる「ベジファースト」を実践すると、血糖値の上昇を緩やかにできます。昼食後には10分程度の軽いウォーキングを取り入れて、食後の血糖値スパイクを抑制してみてください。
上記のポイントを意識すると、無理な食事制限をしなくても痩せやすい体に近づけます。
夜|リセットタイムで脂肪燃焼をサポート
夜の時間は、日中に疲労した体を回復させ、脂肪燃焼を促すためのリセットタイムです。質の高い休息が、翌日の体調とダイエットの成果を左右します。まずは胃腸に負担をかけないように、就寝の3時間前までに夕食を済ませましょう。メニューについては、脂質を抑えた魚や豆腐、鶏むね肉などの高タンパクな食品を取り入れるのがおすすめです。
夕食後には心身をリラックスさせて、副交感神経が優位になるように切り替えます。ぬるめのお湯に入浴したり、軽いストレッチを取り入れたりしましょう。
夜の過ごし方を見直すと睡眠の質が高まり、成長ホルモンの分泌が促されます。
睡眠の質を上げるヒントについては、以下の記事も参考にしてください。
眠れない時の対処法は?タイプ別の不眠対策、どうしても眠れない夜の過ごし方も - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
体脂肪率を下げる「筋トレ+有酸素」の黄金バランス
筋トレと有酸素運動は、どのように組み合わせるとよいでしょうか。ここでは、効果を最大化するための順番やメニュー、頻度について解説します。「筋トレ→有酸素運動」の順が効果的な理由
体脂肪を減らしたい場合は、「筋トレ→有酸素運動」の順番が効果的です。先に筋トレを行うと、脂肪燃焼や筋肉の修復を促す成長ホルモンが分泌されます。また、体脂肪が「遊離脂肪酸」に分解される*2ことで、エネルギーとして消費されやすくなる効果も期待できます。
ただし、これは絶対的なルールではありません。運動習慣がない初心者や体力に自信がない方は、運動を続けることから目指しましょう。また、体が冷えている朝や関節に不安がある場合は、先に有酸素運動を行った方が安全なこともあります。
トレーニングの順番については、下記の記事でも分かりやすく解説しています。
有酸素運動と筋トレの順番はどちらが先?初心者・中高年・忙しい人のライフスタイル別メニュー - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
部位別おすすめ筋トレメニュー
体脂肪を減らすアプローチとしては、大きな筋肉群をターゲットにした筋トレが有効です。体積が大きい筋肉を鍛えると、トレーニング中の消費カロリーが増えることに加え、日常生活でのエネルギー消費(基礎代謝の向上)にもつながります。
脚や背中、胸などの大筋群に目を向けて、スクワット(脚・お尻)、腕立て伏せ(胸・腕)、懸垂(背中・腕)などを取り入れましょう。これらの種目を週に2〜3回バランスよく行うことで、全身の筋肉量を効率的に増やせます。
有酸素運動の適正時間と頻度
有酸素運動は、無理のない強度で習慣化しましょう。目安としては「1回30分程度を週3〜5回」がおすすめです。長時間の高強度な運動は、ストレスホルモンの分泌を促し、筋肉の分解や過度な疲労を招くリスクがあります。大切なポイントは「楽しい」と感じて続けられる種目を見つけること。「会話ができるくらいのペース」で十分な効果が期待できるため、ウォーキングやジョギング、自転車、水泳などの取り組みやすい運動から始めましょう。
時間にこだわり過ぎて三日坊主になるよりも、「週3回・20分から走ってみる」のように続けやすい計画を立ててみてください。
以下の記事では、日常に取り入れやすい有酸素運動について、医師が解説しています。
有酸素運動で脂肪燃焼するには?医師が効果的なやり方や負荷、時間を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
リバウンドしない習慣の作り方
ここではリバウンドを防ぎ、健康的な体を保つための工夫を紹介します。「体脂肪率が下がり続ける人」の共通点
リバウンドせずに健康的な体型を維持できる人には、いくつかの共通点があります。最も大きな特徴は、ダイエットを「短期集中のイベント」ではなく「生活の一部」として捉えている点です。体作りに成功する人は無理な目標を立てず、食事や運動を日々のルーティンに自然と組み込んでいます。
また、日々の成果を「見える化」している人も多い傾向にあります。体重や体脂肪率のわずかな変化を把握し、小さな成功体験を積み重ねると、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。
また、睡眠やストレス管理を含む生活習慣全体を見直し、心身のコンディションを整えることも参考にしたいポイントです。
継続のコツは「やる気」より「仕組み」
やる気やモチベーションといった感情面に頼ると、運動の継続は難しくなります。無理なく続けられるように、以下のような「仕組み作り」にも取り組みましょう。- 「毎週水曜日の夜はジムに行く」など、スケジュールを固定する
- 起床後に体重を測るなど、日々の行動をパターン化する
- アプリを活用して、体重や食事、運動の記録をつける
上記のほか、家族や友人に目標を宣言したり、SNSで進捗を共有したりする方法もおすすめです。周りに伝えることで適度な強制力が生まれ、モチベーションを維持しやすくなります。
定期メンテナンスのすすめ
目標を達成しても、体脂肪率や体型を維持できるとは限りません。リバウンドを防ぐには、定期的なセルフチェックとメンテナンスにも取り組む必要があります。週に1回は体脂肪率をチェックし、体の変化を把握する習慣をつけましょう。また、月に一度は生活を振り返り、プランを見直すようにします。もし体重や体脂肪率が増加していたら、停滞期のサインかもしれません。
停滞期の兆候が出始めたら、焦らずに計画を立てることが大切です。「食事内容を見直す」「運動の刺激を変える」といったアプローチで、体に新しい変化を促しましょう。
最短ルートは「無理せず、継続できる生活リズム」
体脂肪率を減らす最短ルートは、短期的な努力ではなく、小さな運動習慣の積み重ねです。ご自身の年齢や性別、ライフスタイルを踏まえて、生活の一部に運動を組み込みましょう。続けることが最大の成功要因であり、リバウンドのリスクがない体作りにつながります。数値を追いかけるだけでなく、「体が軽くなった」「疲れにくくなった」といった変化を目指す方法もおすすめです。運動を楽しみながら、健康的な生活リズムを築き上げましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA
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さらに詳しい運動の情報は、下記のページからもどうぞ。
運動習慣 カテゴリーの記事一覧 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
体脂肪率を減らすことは、日々の生活習慣を見直し、健康な生活を送る上で重要なポイントです。
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*1:参考:国立障害者リハビリテーションセンター「「在宅生活ハンドブック No.20」肥満予防のための食事内容[PDF]」
*2:参考:横浜市スポーツ医科学センター「肥満と減量(理論編) 知っておきたい肥満と減量の基礎知識【理論3】減量に筋力トレーニングが必要な理由」