ダイエット停滞期はいつ来る?抜ける方法や期間中の過ごし方

ダイエット停滞期はいつ来る?抜ける方法や期間中の過ごし方

ダイエットには「停滞期」と呼ばれる、食事制限や運動をしているにもかかわらず、結果につながらない時期がよくあります。

突然「体重が減らなくなった……」と不安になるかもしれませんが、これは決して努力不足を表すものではなく、むしろ体が新しい状態に適応しようとしている証です。

本記事では、停滞期の原因や抜けるための正しい過ごし方、チートデイの取り入れ方などについて解説します。正しい知識をつけて、脱出するヒントを探りましょう。

(執筆者)中島正雄

合同会社ユイロード 代表社員
2020年10月より、大阪府茨木市にてパーソナルトレーニングジムを運営。2025年6月まで、延べ100名以上の利用者に筋トレやダイエットを指導。2023年には健康経営アドバイザー資格を取得。自身のダイエット経験や、コーチングやNLPを学んだ経験を活かした「クライアントに寄り添った」指導が特徴。

なぜ起こるのか?

一般的にはダイエット開始から1カ月ほど、または体重の5%が減少したころに起こることが多いといわれる停滞期ですが、正常な反応なので不安になる必要はありません。ここでは、停滞期が起こる理由やメカニズムについて解説します。

停滞期は「失敗」ではなく「体の防衛反応」

ダイエットの停滞期は失敗ではなく、体が生命を維持しようとする正常な防衛反応です。体重が減ると、体は「食料が少ない危険な状態だ」と判断し、「ホメオスタシス(恒常性)」と呼ばれる機能が作動します*1

簡単にいうと省エネモードに切り替わり、日常のエネルギー消費が抑えられます。基礎代謝が下がるとともに、栄養の吸収率が高まるため、体重が減りにくい体になるのです。

体の変化に適応する健全なプロセスなので、ダイエットの停滞期を不安視する必要はありません。

どんなダイエットでも避けられない“壁”の理由

ダイエットの停滞期は、どのようなアプローチを選んでも避けられません。糖質制限やカロリー制限はもちろん、運動中心のメニューでも停滞期に悩まされることがあります。

主な原因は、体重の減少がホルモンバランスや代謝システムに影響すること。停滞期に差しかかると、食欲を増進させるホルモンが増加し、代謝を司る甲状腺ホルモンの働きが鈍くなるなど、体重減少にブレーキをかける変化が起こりやすくなります。

多くの人がここで焦り、さらなる食事制限や激しい運動を取り入れがちです。このようなアプローチを選ぶと、筋肉量や基礎代謝の低下につながるため、かえって逆効果になるリスクがあります。

心理的な変化とメンタル対策

心理的な変化とメンタル対策

ここでは、心が折れそうになる停滞期を乗り越え、モチベーションを維持するための対策を紹介します。

体重が落ちない時に起こる“焦りと諦め”の心理

停滞期における最大の敵は、体重が減らないことによる「焦り」と「諦め」です。「こんなに頑張っているのに結果が出ない……」という無力感は、次第に「もうやめてしまおう」という気持ちにつながります。

ダイエットの停滞期は、体が新しい体重に慣れ、次のステップに進むための準備期間です。停滞期を乗り越えれば、再び体重が減り始めます。諦めてしまうのは、トンネルの出口まであと一歩のところで引き返すようなものです。

停滞期の仕組みをきちんと理解して、心理的な壁を乗り越えましょう。

停滞期を乗り越える3つの思考法

停滞期を乗り越えたい方は、思考を転換して心の負担を和らげましょう。

まずは「過程を信じる」という視点が必要です。体重の停滞は正常な反応なので、失敗ではないことを理解しましょう。

次に「長期的な体の変化」に着目します。日々のわずかな増減に一喜一憂せず、週単位や月単位での平均体重の推移を確認しましょう。長期的には減少傾向であることを把握できれば、安心感を得られます。

また「他人と比べず、自分のペースを守る」ことも意識します。SNSなどで目にする他人の成功例は、あなた自身の進捗とは関係ありません。

あくまで自身の体と向き合い、無理のないペースで取り組むことに集中すれば、メンタル面の安定につながります。

心を立て直す“メンタルリセット習慣”

停滞期にストレスを感じたら、行動習慣を変えてメンタルをリセットしましょう。

例えば、体重測定の頻度を毎日から「週1回」のように減らしてみます。日々のわずかな変化から意識をそらすと、精神的な負担を抑えられるかもしれません。

体重の変化ではなく「今日はウォーキングを30分できた」といった成果を記録する方法もおすすめです。努力を可視化することで、自己肯定感を高める効果が期待できます。

また、運動後や健康的な食事を取った後には、心の中で自分自身を褒めましょう。こうした小さな成功体験の積み重ねが、数字には表れない充実感を生み、停滞期を乗り越えるための原動力になります。

停滞期をチャンスに変える「自分への声かけ」例

自分にかける言葉を変えると、心構えや気分まで変えられる可能性があります。ネガティブな言葉が思い浮かんだら、以下のようなポジティブな言葉に置き換えてみましょう。

  • 「体重が減らない」を「進化の途中」に変える
  • 「もう痩せない」を「体が新しい自分に慣れるための準備期間」に変える
  • 「努力が無駄になっている」を「健康的な習慣作りができている」に変える
  • 「停滞期はつらい」を「体の内側では本当の変化が起きている」に変える

ポジティブな言葉を声に出すことで、前向きな心を保ちやすくなります。

タイプ別・原因別の突破法

ダイエットの停滞期が起こる原因は、人それぞれです。ここでは、自身がどのタイプに当てはまるかを把握する方法や、対策の考え方について解説します。

まずは自分の停滞タイプを知ろう(セルフ診断)

まずは以下のセルフ診断を活用して、自身の停滞タイプを把握しましょう。

  • 食事制限型:食べる量を減らすことばかり考えている
  • 運動不足型:当初の計画より、運動の頻度や強度が落ちている
  • ストレス・睡眠不足型:イライラすることが多い。仕事が忙しく、よく眠れない

停滞期からの生活を思い返し、どのタイプに該当するのかを分析してみてください。

【食事制限型】摂取カロリーが低過ぎて代謝ダウン

極端な食事制限は、停滞期を招く原因になり得ます。摂取カロリーが基礎代謝を下回る状態が続くと、体は「深刻な飢餓状態」と判断し、基礎代謝を下げてエネルギー消費を節約しようとします。

この状態から抜け出すには、一時的に摂取カロリーを増やす方法が有効です。代謝の維持に必要な炭水化物を中心に、1〜2日間だけ摂取カロリーを増やしてみましょう。
体に「飢餓は終わった」と伝えることで、再び代謝のスイッチを切り替えられる可能性があります。

食事は減らすべき敵ではなく、体を燃やすためのエネルギーです。バランスの取れた食事を心がければ、代謝の正常化につながります。

【運動不足型】筋肉量低下による代謝停滞

運動不足型の場合は、体への「新しい刺激」が必要です。同じ運動を続けると体が刺激に慣れて、消費エネルギーが徐々に減少してしまうことがあります。

例えば「ウォーキングのペースを上げる」「コースに坂道を取り入れる」といった形で、運動の強度を少し上げてみましょう。スクワットを始めるなど、新しい筋トレメニューを取り入れる方法もおすすめです。

新しい刺激を加えると、筋肉に「変化する必要がある」という信号が送られるため、停滞していた代謝が再活性化されやすくなります。

【ストレス・睡眠不足型】ホルモンバランスの乱れ

ストレス・睡眠不足型の方は、運動や食事の量を調整するよりも「休むこと」を優先すべきです。

慢性的なストレスや睡眠不足は、食欲を増進させ、脂肪の蓄積を促すストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を増加させます*2。また、自律神経のバランスが乱れ、代謝活動全体が非効率になってしまいます。

具体的な対策としては「毎日十分な睡眠時間を確保する」「就寝前のスマートフォンをやめる」などがあります。休日には自然の中を散歩するなど、心身をリラックスさせる方法を考えましょう。

データ・可視化によるセルフ分析法

データ・可視化によるセルフ分析法

データを活用する方法でも、停滞期のセルフ分析ができます。体重がなかなか変わらない方は、以下のアプローチも実践してみましょう。

週平均体重の推移(グラフ化)

停滞期を正しく判断するために有効なのが、週平均体重のグラフ化です。日々の体重は水分量などで簡単に変動しますが、週単位の平均値はその影響を平準化し、本質的な体重の傾向を示してくれます。

まずは毎朝の体重を記録し、1週間ごとの平均値をグラフにしてみましょう。停滞しているように感じても、グラフがわずかに右肩下がりを続けているなら、それは「緩やかな減少期」です。

グラフが完全に横ばいになるまでは、今の努力を信じて運動を続けてみましょう。

摂取カロリーと活動量の差

体重の増減は「摂取カロリーと消費カロリーの差」で決まります。食事の記録アプリやスマートウォッチを活用し、普段どれだけ食べて、どれだけ動いているのかをデータで把握しましょう。

日々の食事と運動を分析すると「意外と消費カロリーが少なかった」「ヘルシーだと思っていた食事が高カロリーだった」のように、感覚のズレが明らかになります。問題点が見つかったら、生活習慣や運動メニューを見直してみてください。

睡眠時間・歩数・ストレススコアの相関

体重に影響を与えるのは、カロリーだけではありません。日々の睡眠や活動量、ストレスも、ホルモンバランスを通じて代謝に影響します。

スマートウォッチなどを持っている方は、これらのデータと体重の推移を比較してみましょう。「睡眠時間が短い週は体重の減りが悪い」「歩数が少ない日は、翌日の体重が増えがち」のように、自分だけの相関関係が見つかるかもしれません。

質の良い睡眠やウォーキングの取り入れ方のヒントについては、以下の記事も参考にしてください。
眠れない時の対処法は?タイプ別の不眠対策、どうしても眠れない夜の過ごし方も - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

毎日30分の有酸素運動で効果!室内や生活に合せた32種の運動を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

食事や運動以外の生活習慣が、停滞期の根本的な原因になっていることもあります。多角的なデータで生活全体を分析し、隠れている原因を見つけてみてください。

停滞期後のリスタート計画

停滞期を抜けた直後は、リバウンドの危険性が高い時期です。体が省エネモードから完全に脱しきれておらず、食欲も増えやすいため、油断しないように気を付けましょう。

停滞期後には短期的な成果を追わず、1週間は「回復と安定」を優先する方法がおすすめです。食事面では糖質や脂質を急に増やさず、軽めの運動も取り入れて徐々に体を慣らしましょう。朝食を抜かず、同じ時間に寝るといった生活リズムを整えることも重要です。

この安定期間を経て、体が新しい状態に慣れたことを確認してから、本格的なダイエットを再開します。「安定」から「再開」への2段階のリズムを意識して、効率的な戦略を立ててみてください。

目的別に見る停滞期対策

ダイエットの最終目標を意識して、自身に合った対策を考えることも大切です。以下では6つの目的に分けて、最適なアプローチの考え方を紹介します。

【健康維持・生活改善目的】

健康的な生活習慣を目指している場合、停滞期に焦る必要はありません。体重の増減よりも、食事と睡眠のリズムを安定させることに意識を向けましょう。バランスの取れた食事や適度な運動習慣を続けること自体が、大きな成果になります。

改善した生活習慣を継続すると、いずれ体の変化も期待できるようになります。

【見た目・美容目的】

見た目・美容目的の方にとって、停滞期は体重以外の指標に目を向けるチャンスです。特に筋トレを続けている場合は、体脂肪が減り筋肉量が増えるため、体は引き締まっている可能性があります。

停滞期に差しかかったら、体重計ではなくメジャーと鏡を信じましょう。ウエストやヒップのサイズを測ったり、月に一度同じ服で写真を撮ったりして「見た目の変化」を客観的に判断する方法がおすすめです。

数字の呪縛から解放され、引き締まっていく自分を肯定することが、モチベーションの維持につながります。

【大会・イベント前の短期集中】

結婚式やスポーツの大会など、明確な期日がある短期集中のダイエットでは、停滞期を戦略的に突破する必要があります。

どうしても体重が減らない場合は「チートデイ」の導入という手段もあります。チートデイとは、一時的に多くのカロリー(特に炭水化物)を摂取し、体に「飢餓は終わった」と錯覚させるショック療法です。

ただし、やり方を間違えると、単なる暴食に終わってしまうリスクも伴います。あくまで最終手段として、専門家の指導のもとで「週に1回、高炭水化物・低脂質で」のように綿密な計画を立てる方法をおすすめします。

【更年期・中高年層】

更年期や中高年層の方は、ホルモンバランスの変化で基礎代謝が低下しやすい傾向にあります。そのため、停滞期に差しかかったら「代謝の底上げ」を優先に考えましょう。

食事制限だけでの対処は難しく、筋肉量の減少を加速させるリスクがあります。スクワットなどの下半身トレーニングに加え、背中などの大きな筋肉も鍛えるようにしてください。食事については、魚や鶏肉、大豆製品などのタンパク質を毎食取り入れる方法がおすすめです。

スクワットの正しいやり方、下半身の筋トレメニュー、背筋の鍛え方については、それぞれ以下の記事も参考にしてみてください。
スクワットの効果。1日5回でもOK? 効果的なやり方のヒント - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

下半身の筋トレメニュー21選で痩せやすい体に ジム・自宅で初心者にも効果 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

背筋の鍛え方、広背筋や僧帽筋の筋トレとは?背中の筋肉を鍛えるトレーニング - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

焦らずにじっくりと体質を改善することが、健康的なアプローチになります。

【アスリート・競技力向上目的】

アスリートの停滞期では「パフォーマンスの維持・向上」を優先して考えるべきです。

過度なカロリー制限は、筋力や持久力の低下を招きます。体重はそれほど重視せずに、練習でのタイムや挙上重量、体のキレといった「パフォーマンス指標」で状態を判断しましょう。

パフォーマンスが低下している場合は、エネルギー不足のサインかもしれません。場合によっては減量ペースを緩めて、トレーニング強度に合わせて炭水化物の摂取量を微調整することも必要です。

【糖質制限ダイエット実践者】

糖質制限中に停滞期が訪れたら、体が脂質をエネルギー源とするケトーシス状態に適応したか、もしくはタンパク質や総カロリーが不足している可能性が考えられます。特に脂質とタンパク質に目を向けて、糖質以外の栄養素を見直しましょう。

まずは、総摂取カロリーが「基礎代謝を大きく下回っていないか」を確認します。その上で、MCTオイルやアボカド、青魚といった良質な脂質を増やし、エネルギー不足を補うアプローチが有効です。

タンパク質については「体重1kgあたり1.6g以上」を目安にするのがおすすめです。食事面から体作りを見直すと、停滞期を脱却できる可能性が高まります。

停滞期は“止まっている”のではなく“進化中”

ダイエット中に訪れる停滞期は、決して後退や失敗のサインではありません。体がこれまでの努力に順応し、新しい生活に慣れようとしている「安定化」のプロセスです。次なる変化への準備期間にあたるため「進化中」の状態とも言い換えられます。

体重が変わらないことに焦るのではなく「生活習慣を見直すチャンス」と捉えてください。停滞期を味方につけて、リバウンドしない真のダイエットを成功させましょう。

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社YOSCA


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*1:参考:吉田医院「減量作戦・効果的な運動とリバウンドを知る

*2:参考:医療法人 澄心会 豊橋ハートセンター「Vol.10:「痩せられないワケ」Part III |