認知症は「早期発見」が重要な疾患です。
リスクが気になる年齢になってきて「私も対策しておくべきかな……」と考え始めている方や、親が高齢になってきて「近いうちに発症する可能性があるのでは」と不安を覚え始めた方もいらっしゃるかもしれません。
認知症は、早めに気付くことで進行を遅らせたり、症状を改善したりすることが可能な場合もあります。そこで本記事では、認知症を早期発見するメリットや気付くためのチェック項目を紹介します。早期発見のためのポイントを理解し、対策を素早く取れるようにしておきましょう。
目次
こんな人におすすめ
- 認知症になるのを避けたいと思い、自分で対応策を調べている人
- 自分の親の認知症が心配で、対応策を調べている人
- 認知症の早期発見に必要な検査について知りたい人
- 認知症を早期発見するためにチェックすべき項目が知りたい人
- なぜ早期発見が必要なのか、認知症に早く気づくことの重要性やメリットについて知りたい人
認知症を早期発見するメリットは?
現在、日本では65歳以上の約16%が認知症であると推計されています*1。さらに、厚生労働省の認知症施策資料に「2025年には高齢者の5人に1人が認知症になっている可能性がある」と記載がある通り*2、認知症にかかることは、もはや珍しいことではないのです。
つまり、40、50代から予防を意識しても早過ぎることはないと言えるでしょう。対策を始める時期の目安については、こちらの記事も参考にしてください。
👉認知症の予防は何歳からやるべき? 発症リスクを高める要因と効果的な対策を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
とはいえ、過度に不安に思う必要はありません。早めの対策を講じておくことで、症状の進行を遅らせたり、改善したりすることが可能な場合がある疾患だからです。まずは対策を講じるメリットについて、詳しく見ていきましょう。
進行を遅らせたり、症状を改善したりできる可能性がある
認知症は、早めに医療機関を受診することが大変重要な疾患と言えます。なぜなら、「軽度認知障害=MCI(Mild Cognitive Impairment)」という、認知症の前段階で把握することで、進行を遅らせたり、症状を改善したりできる可能性があるためです。
また、「せん妄」や「うつ病」など、認知症に類似した症状を示す、異なる疾患のケースもあります。こういった疾患の場合は、それぞれに適した治療を受けるのが望ましいでしょう。
今後の対策を講じておくことができる
認知症を早期発見できると、本人や家族が疾患と向き合い、理解を深める時間を確保できます。例えば、今後の生活の場をどうするか検討したり、介護サービス利用の手続きを進めたり、家族のサポート体制を決めたりなど、症状が進行した際に起き得る、生活上の支障を見越した行動も早い段階から可能です。
また、認知症は患者本人の心のケアを意識しつつ、対策を講じることが重要な疾患です。本人が前向きにならなければ、対策に取り組むこと自体が難しくなってしまうためです。細やかなケアを心がけつつ、今後の医療や介護サービスに向けた準備ができるのは、大きな利点と言えるでしょう。
早期発見のためのチェック項目
ここまでの通り、早期発見のためには、何よりもまず医療機関を受診し、診断を受けることが重要です。しかし、なかなか時間が取れなかったり、患者本人が受診に前向きでなかったりするケースもあることでしょう。
そういった時に便利なのが、公益財団法人 認知症の人と家族の会が作成した『家族がつくった「認知症」早期発見のめやす』。初期症状に関するポイントが分かりやすくまとまっているので、活用してみてください。
もしかして認知症?と思ったら、まずは検査を
前述したチェックポイントにいくつか当てはまる項目がある場合、なるべく早期に医療機関を受診し、検査を受けることをおすすめします。
受診できる診療科は、脳神経内科、老年内科、精神科、脳神経外科など。お住まいの地域に認知症疾患医療センターや、もの忘れ外来を開設している医療機関があればベストです。診察にかかる金額としては、検査の項目や種類によって変動しますが、1〜3万円程度の見込みです。必要な検査も病状によって異なりますので、安ければよいというわけでもありません。検査の代表例としては、下記のようなものがあります。
- MMSE(ミニメンタルステート検査)
- 改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
MMSE(ミニメンタルステート検査)
時間や場所を認識するための能力である「見当識」や、注意力などに関する11項目で構成されています。30点満点の検査で、21点以下の場合「どちらかというと認知症の疑いが強い」と評価されます。検査時間は10〜15分ほどです。
改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
- 自身の年齢
- 現在の日にちなどの時間が把握できるか
- ここはどこか理解できるか
- 計算能力
など、9つの質問から構成されており、検査は10分程度で完結します*3。
この検査は30点満点となっており、20点以下の場合、認知症の可能性が高いといわれています。
ここまで、認知症かも? と思ったときに受ける検査を紹介してきましたが、認知症の診断は、脳の画像検査(CT・MRIや核医学検査)や血液検査などから、「せん妄」や「うつ病」、脳に関連するその他の病気を除外した上で、総合的に行われるものです。検査を受けるだけなく、併せて脳神経内科や精神科などで診察をしてもらうのがよいでしょう。
認知症の検査について、詳しくは下記の記事もあわせてご覧ください。
👉認知症の検査にはどんなものがある? 種類や流れについて解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
認知症を予防するためにできること
まだ認知症の気配はないけれど、将来が心配……という方は、普段の生活習慣の改善に取り組んでみるのも1つの手です。その代表例について、簡単にご紹介します。
生活に運動の時間を取り入れる
一般社団法人 日本神経学会の『認知症疾患診療ガイドライン2017』[PDF]では、運動がアルツハイマー型認知症の発症率低下と関連があると記載されており、運動を積極的に取り入れることを推奨しています。
例えば、30分程度の有酸素運動を、週3〜4回行うことを意識するとよいでしょう。スーパーなどでの買い出しに向かうときに、ほどよく息が上がるように早歩きしたり、スーパーが近所の場合はちょっとだけ遠回りのルートを選んだりするよう心がければ、思いのほか簡単に達成できます。さらに、運動しながらしりとりや計算をする「コグニサイズ」を取り入れるのもよいでしょう*4。生活に運動の時間を上手に取り入れて、認知症の予防につなげていきましょう。
さらに、詳しい対策方法を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
👉認知症はトレーニングで予防。今日から始める運動習慣で認知症のリスクを軽減しよう - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
睡眠の質を向上させる
さらに、睡眠も重要なトピックの1つです。神戸大学医学部附属病院 認知症センターの『今からできる認知症予防』の中でも示されているように、日中の活動で生じた脳の老廃物排出には睡眠が不可欠。老廃物(アミロイドβ)が蓄積されることがアルツハイマー型認知症発症の一因となっているため、睡眠の質向上も認知症予防に関連すると言えます*5。
夜の睡眠時間確保のハードルが高い……といった場合は、昼食後に30分ほど昼寝をするだけで、夜間の睡眠の質が向上する可能性があるといわれています。試してみるのもよいでしょう。
さらに、詳しい対策方法を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
👉認知症対策は何をすればいい? 日常生活でできる予防法を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
さまざまなヒントを足がかりに、認知症の早期発見に努めよう
ここまで解説してきた通り、認知症を早期発見することで、自分と、その家族にもさまざまな恩恵があります。先に挙げたチェック項目を活用するのはもちろん、少しでも不安があるなら、早めに病院を受診するよう、心がけておきましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
認知症は生活習慣を改善することでも、予防効果が期待できる疾患です。先々の認知症の疾病リスクを予測し、発症前に生活習慣改善を講じたいなら、フォーネスビジュアスの活用もおすすめです。
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認知症のリスク、調べてみませんか?
*1:参考:認知症と共に暮らせる社会をつくる|地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所
*2:参考:認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の概要 [pdf]
*3:【出典】加藤仲司ほか: 老年精神医学雑誌 1991; 2: 1339.