「最近疲れやすいからもっと体力をつけたい」と思うことはありませんか?
体力は、運動習慣がないままに放っておくと落ちていきますが、生活習慣の見直しによって向上が期待できます。
本記事では体力の基礎知識から測定方法、継続のコツまでを分かりやすく解説します。年代、男性または女性、ライフスタイル別の実践プランも紹介しますので、体力のなさにお悩みの方はぜひ参考にしてください。
目次
そもそも「体力」とは何か? 疲れにくさとどう関係している?
体力は、日常生活を快適に過ごすための基盤です。ここでは、体力とはどのようなものか、そして疲れにくさとの関連について詳しく見ていきましょう。
- 行動体力と防衛体力の違い
- 現代人に多い「隠れ体力不足」
- 体力をつけると得られること
行動体力と防衛体力の違い
体力は行動体力と防衛体力の2つに分けられ、どちらも疲れにくさと深く関係しています*1。行動体力とは「動くための力」のことで、筋力・持久力・柔軟性・瞬発力などが含まれます。これらは、日常生活や運動を行う上で直接的に必要とされる身体能力です。
一方、防衛体力は、体調を崩しにくい、病気にかかりにくいといった「体を守る力」です。免疫力や回復力、ストレスへの抵抗力などがこれにあたります。
どちらか一方が高くても、もう一方が低ければ疲れやすく、体調を崩しやすくなります。
行動体力は主に運動によって鍛えられるため、ウォーキングや筋トレなど、体に負荷をかけることで向上が期待できます。一方、防衛体力をつけるには十分な睡眠や栄養バランスの取れた食事、ストレスの解消などが重要です。
どちらも健康維持に不可欠で、体を動かす習慣と整える習慣の両方を意識することが大切です。
現代人に多い「隠れ体力不足」
一見元気に見えるけれど、実は体力が落ちている「隠れ体力不足」が増えているといわれています。長時間のデスクワークやスマホ漬けの生活、慢性的な睡眠不足が続くことで、筋力や持久力が知らず知らずのうちに低下しているのです。
階段を少し上がっただけで息切れする、しっかり寝ても疲れが取れないなどの症状は、体力不足の表れかもしれません。体力不足を解消するために、日常の小さな行動から見直すことが大切です。
体力をつけると得られること
体力がつくと、当然「疲れにくくなる」ことを実感できます。疲労感がなく元気に行動できると、1日の活動量が自然と増えていきます。加えて、血流や代謝が改善されることで脳の働きが活性化されるため、交感神経が適切に働くようになり、集中力や作業効率の向上も実感できるでしょう。
さらに、防衛体力が高まることで、病気や不調に強くなるメリットもあります。風邪をひきにくくなり、ひいたとしても回復が早くなっていることを感じられるでしょう。また、ストレスにも強くなりやすいです。
自分の体力を知るには? 簡単にできる測定&可視化の方法
まずは今の自分の体力を把握することが、体力作りのスタートラインです。特別な器具がなくてもできる簡単なチェックで測定し、アプリ・記録の活用で見える化しましょう。
- 自宅でできる3つの体力チェック
- アプリ・スマートウォッチの活用
- 記録することが継続の第一歩
自宅でできる3つの体力チェック
自宅でも簡単にできる体力チェックを行うことで、自分の弱点や伸ばすべきポイントが見えてきます。以下の3つのチェックがおすすめです。
- スクワット30秒チャレンジ(筋持久力)
- 30秒間に何回スクワットができるかをカウントします。30秒間で15回以下の場合は下半身の筋持久力が低下している可能性があります。20回以上できれば標準以上といえるでしょう。
- 階段昇降5分(心肺機能)
- 家の階段や段差を使って、5分間昇降を続けられるかを確認します。続けられない場合やひどく息切れする場合は、心肺機能の改善が必要です。
- 片足立ち(バランス・体幹)
- 目を閉じて片足でどれだけ立てるかを確認しましょう。10秒以下でふらつく場合、バランス力や体幹が衰えている可能性があります。
アプリ・スマートウォッチの活用
最近では、スマートフォンアプリやスマートウォッチを活用して、体力の指標を簡単に可視化できます。
種類によっても異なりますが、心拍数や歩数、消費カロリーなどのデータを記録し、自分の体力レベルを客観的に把握できます。
このような数値の変化をこまめに確認することは、モチベーションの維持にもつながります。
記録することが継続の第一歩
体力作りを継続する上で、日々の行動や体調を記録することは非常に重要です。運動や食事、睡眠時間、体調の変化などを記録することで、小さな変化に気付きやすくなり、やる気もキープできます。
記録方法は紙のノートでもGoogle スプレッドシートでも構いません。前項で紹介したアプリやウェアラブル端末を組み合わせるのもおすすめです。自分が無理なく続けられる方法を探してみましょう。
下記の記事では、ブロガーの骨しゃぶりさんが、あらゆる生活習慣のデータを記録して可視化する様子を紹介しています。
👉食事記録、睡眠データから歯磨き時間まで。健康維持のため徹底的に記録する、骨しゃぶりさんの技術 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
体力をつけるために欠かせない3本柱:運動・食事・休息
体力を高めるには「運動・食事・休息」の3つの柱が不可欠です。どれか1つだけに偏らず、バランスよく取り入れることで、無理なく持続可能な体力アップを目指せます。
- 運動習慣をつける
- 食事で「エネルギーが持続する体」を作る
- 良質な睡眠と休息
運動習慣をつける
体力を高めるには、日常に無理のない範囲で運動習慣を取り入れることが大切です。まずは、気軽に始められる有酸素運動からチャレンジしてみてはいかがでしょうか。ウォーキングやジョギング、踏み台昇降などを、週3〜4回、1回20〜30分を目安に行いましょう。
有酸素運動と並行して、筋トレも習慣化するのがおすすめです。スクワット、プランク、腹筋など、自重でできる種目から始めて、週2〜3回の頻度で実施するのが理想です。同じ部位ばかりを鍛えるのではなく、日によって部位を変えることで、効果的に全身の筋力を向上させられます。
さらに、お風呂上がりにストレッチを行うことで、柔軟性が高まります。血行がよくなり、疲労回復や睡眠の質向上にもつながります。
いずれも「できる日だけでもOK」の気軽な気持ちで始めてみること、無理をしないことが長く続けるコツです。まずは習慣をつけ、最終的にはウォーキングは週に150分以上(週5回×30分など)、ジョギングなど強度が高めの場合は週75分以上を目標にすると、健康維持や持久力向上の効果がさらに得やすくなります。
食事で「エネルギーが持続する体」を作る
食事は、体力の土台を支える重要な要素です。筋力の維持・回復には、タンパク質*2が欠かせません。卵、鶏肉、納豆など、身近な食材を毎食に取り入れましょう。
主食からの炭水化物(糖質)*3も体のエネルギー源として重要です。玄米や雑穀米、全粒粉パンなど、血糖値を緩やかに上げる食品を積極的に摂りましょう。
また、鉄分*4とビタミンB群*5は、エネルギー代謝を助け、疲労を溜めにくくしてくれます。レバー、ほうれん草、豚肉などを意識して摂りましょう。
例えば、以下のメニューのような簡単な組み合わせでも、必要な栄養素をバランスよく摂取できます。
- 卵かけご飯、納豆、わかめと豆腐の味噌汁、ほうれん草のおひたし
- 雑穀ご飯、鶏むね肉のソテー、野菜スープ
良質な睡眠と休息
良質な睡眠は、体力を回復し、日中のパフォーマンスを高めるカギです。特に眠り始めの90分*6に深い睡眠を確保することで、成長ホルモンの分泌が促され、筋肉や細胞の修復が進むと考えられます。
睡眠の質を上げるためには、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、就寝前のスマホ操作を避けるのがおすすめです。また、休日に寝だめをするよりも、平日の睡眠リズムを整えることの方が効果的です。
さらに、軽い散歩やゆるいジョギングなど「アクティブレスト(積極的休養)」を取り入れることで、血流が促進され疲労回復もスムーズに進みやすくなります。気持ちよく体を動かして、心身をリフレッシュしましょう。
挫折しない! 体力作りを続けるための習慣化メソッド
体力作りは、続けることが何よりも大切です。無理なく続けられる工夫や習慣化のコツを取り入れることで、三日坊主にならずに日常に定着していけるでしょう
- 三日坊主で終わらない「続けるコツ」
- ゲーム感覚で楽しむ仕組み
- 誰かと共有するのも強力
三日坊主で終わらない「続けるコツ」
体力作りを習慣化するには、日常動作に運動を紐づける方法がおすすめです。たとえば「朝の歯磨き後にストレッチ」「お風呂前にスクワット」など、毎日行うことと運動をセットにすることで、自然と続けやすくなります。
また、「If-Thenプランニング」も有効です。「帰宅したら5分だけ筋トレ」「雨なら室内で踏み台昇降」といった、パターン別のルールをあらかじめ決めておくことで、行動に迷いがなくなります。
ゲーム感覚で楽しむ仕組み
体力作りがやらなければいけない義務になってしまうと、継続は難しくなります。そこで、ゲーム感覚で楽しむ工夫を取り入れるのがおすすめです。
たとえば、スマホアプリで運動の達成度をレベルアップ式に記録したり、歩数や運動時間を可視化したりすれば、自然とモチベーションが上がりやすくなります。
アナログ派の人は、運動した日はカレンダーにシールを貼ったり、色ペンで囲んだりするだけでも達成感が得られます。小さな成功体験の積み重ねが、楽しさとやる気を生み出してくれるでしょう。
誰かと共有するのも強力
一人だと続けにくいことも、誰かと一緒なら楽しく続けられるかもしれません。家族や友人と一緒に散歩をする、ラジオ体操を一緒にやる、など気軽なものから始めてみましょう。
また、SNSやアプリで運動記録を発信することも有効です。他者から共感や応援してもらうことで、モチベーションの維持につながります。
自分に合った「続ける環境」を自ら作ることが、体力習慣の定着には欠かせません。
年代・性別・ライフスタイル別の実践プラン
体力作りの方法は、ライフスタイルや年齢によって適した形が異なります。自分の生活にフィットする方法を選ぶことで、無理なく続けられるでしょう。
タイプ | 主な悩み | おすすめ対策 |
---|---|---|
20〜30代デスクワーカー | 座りっぱなしでだるい・眠い | 通勤を早歩き+デスクストレッチ+朝食習慣 |
30代育児中ママ | 寝不足・運動不足・疲労蓄積 | 子どもと一緒にラジオ体操+鉄分豊富な時短レシピ |
40代会社員(男女) | 肩こり・腰痛・疲れが取れない | 週2回の自重筋トレ+夜はストレッチ+高タンパク夕食 |
50代以降の男女 | 持久力低下・代謝落ちる | 踏み台昇降+軽い散歩+間食にプロテインバー |
アクティブシニア | 趣味を元気に続けたい | ヨガ+ウォーキング+栄養摂取(良質なタンパク質、オメガ3系脂肪酸など) |
体力は“才能”じゃない。生活に根付く「選択」で変えられる
体力はもともと持っている才能ではなく、毎日の小さな積み重ねでいくらでも伸ばしていけるものです。無理なく継続することが重要で、「いきなり完璧」を目指す必要はありません。
まずは、エレベーターではなく階段を使う、朝食に卵を1つ足してタンパク質を摂取するなど、今日できることから始めてみましょう。小さな行動の積み重ねが、理想の「疲れにくく動ける体」作りにつながるはずです。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド
体力作りには、運動・食事・睡眠を3本柱とした、日々の生活習慣の見直しが欠かせません。
近年、自分の健康状態を見える化して分析できるサービスが登場しています。自身の現在の体力について把握し改善をしていく上では、こうしたテクノロジーを取り入れてみるのも一つの方法です。
👉フォーネスビジュアス|病気になる前にわかる(NECグループ発)フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、体力を可視化する「心肺持久力」や食事量と運動量の手がかりになる「安静時代謝量」など、従来とは異なる形で体の状態を把握することができるサービスです。さらには将来の疾病リスクを可視化し、専門資格を持つコンシェルジュから生活習慣に関するアドバイスが受けられます。運動をはじめ、自分に合った食事や睡眠習慣などについても、専門的な視点から知ることができます。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
*1:参考:一般社団法人熊本市スポーツ財団「スポーツ医科学コーナー. トレーニング方法紹介」
*2:参考:厚生労働省 生活習慣病などの情報「たんぱく質(たんぱくしつ)」
*3:参考:厚生労働省 生活習慣病などの情報「炭水化物 / 糖質(たんすいかぶつ / とうしつ)」
*5:参考:厚生労働省 生活習慣病などの情報「ビタミン(びたみん)」
*6:参考:lala a live「忙しい中でも「質の良い睡眠」を目指すには? 『スタンフォード式 最高の睡眠』著者の西野精治教授に聞いた」