認知症の症状の1つに「物忘れ」があります。探しものばかりしているという行動は、どこに何を置いたか分からないという物忘れの一環だと考えられます。
身近な人が探しものばかりしていると、認知症ではないかと不安になりますよね。本記事では、探しものが増えることが認知症の症状なのかどうか、認知症の人の行動(初期症状)と併せて解説します。こんな人におすすめ
- 家族や身近な人が探しものばかりしていることに気づき、認知症の不安を感じている人
- 認知症の初期症状について知りたい人
認知症の「物忘れ」ってどんな症状?
年齢を重ねると、だんだんと物忘れが生じやすくなり、それに伴って探しものをする機会も増えます。物忘れが多くなってくると、「もしかして認知症?」と不安を抱くこともあるでしょう。加齢による物忘れと認知症にはどのような違いがあるのでしょうか。
加齢による物忘れ
加齢による物忘れの特徴は、本人に忘れた自覚があることです。例えば「朝ごはんを食べたことは覚えているが、メニューが思い出せない」「用事があったことは覚えているけど内容が思い出せない」などです。もし何か探しものがある場合、「最後に使ったのはどこだっけ」「置き忘れやすい場所は?」などと筋道立てて考え、自分で努力して見つけようとします。この場合、日常生活への支障はほとんどありませんし、物忘れは極めてゆっくり進行します*1。
認知症の症状としての物忘れ(記憶障害)
一方で認知症の場合は、「忘れたことすら忘れている」状態だといえます。朝ごはんを食べたこと自体を忘れてしまってまた食べようとしたり、誰かと約束したこと自体を忘れてしまったりします*2。認知症の症状としての物忘れが原因で探しものをしている場合、ひたすら「ない」ことに執着し、工夫して見つけようとはしません。また、「誰かが盗った、隠した」など、他人のせいにすることがあります。こうした認知症による物忘れがひどくなると、日常生活に支障をきたすようになります*3。
加齢による物忘れと認知症の違いについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
👉認知症と物忘れの違いは? 症状の比較と対処法を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
探しものが多い……もしかして認知症?

認知症の初期にもみられる記憶障害では、同じことを何度も言う、蛇口の閉め忘れが多いなどの行動のほか、しばしば置き忘れやしまい忘れがみられます*4。対策を何もしないでいると認知症は進行していくので、それに伴って記憶障害もひどくなっていき、置き忘れやしまい忘れによる探しものが増えていくことが考えられます。
身近な人が急に探しものばかりするようになった、探しているものが何かを答えられない、見つからないのを他人のせいにする、などの症状に気づいたら、早めに専門医に相談しましょう。
探しものばかりしている人への対処法
認知症の人への接し方には気をつけたいポイントがあります*5。親や家族など、年齢を重ねて探しものばかりしている人がいたら、下記のようなことに注意して接しましょう。- プライドを傷つけないよう、「また探してるの」、「どうして置き忘れるの」などの否定するような話しかけ方を控える
- 何を探しているのか答えられないことがあるので、しつこく聞かずに見守る
- 探しものをしているときには急かさずにゆっくり待つ
- 声をかけるときには難しい言葉を使わず、理解しやすいように1つ1つ話す
ここで大事なことは、「本人も口には出さないものの、健康な時とは何か違うことにうすうす気づいている」場合が多いということです。不安な気持ちを抱える一方で、認知機能の低下を認めたくない気持ちも強くなっているため、周囲からの指摘に過敏になることもあります。 あまり刺激し過ぎずに本人の気持ちに寄り添い、受け入れながら対処していくような接し方が求められるのです。
認知症の人への接し方については、以下の記事でも詳しく紹介していますので、ご覧ください。
👉認知症になると顔つきが変わることがある? その原因と対策について解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
そのほかの認知症の初期症状
認知症には、記憶障害のほか、さまざまな症状が生じます*6。特に認知症の初期に現れる症状について解説していきましょう。こうした症状に思い当たることがあれば、早めに医療機関に相談してみることをおすすめします。
時間や場所の感覚が分からなくなる(見当識障害)
日付が言えなくなる、よく知っている道でも迷うなど、時間や場所の感覚が分からなくなることも認知症の初期症状の1つ。昔の出来事を最近のことと認識することもあります。集中力・判断力の低下
話していることやテレビ番組の内容が理解できなかったり、これまで分かっていた料理手順や簡単な計算、お金の管理などが困難になったりした場合、認知症の初期症状である可能性があります。意欲低下・強い不安感
認知機能の低下に伴い、精神的に落ち込んで意欲の低下や強い不安感を生じることがあります。主な症状として、人付き合いを避けるようになったり、好きだった趣味に興味がなくなったり、孤独感が強くなったりすることなどが挙げられます。人格の変化
もともとの性格とは関係なく、急に怒りっぽくなったり、ずぼらになって身なりに構わなくなったり、内向的になったりといった人格・性格の変化が生じることがあります。認知症の初期症状について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。
👉認知症の初期症状とは? 兆候を見極めるポイントを紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
認知症には、早めに適切な対処を
認知症を発症したら改善させることは困難なケースが多いため、できるだけ早く発見し、進行を抑制 することが大切です。探しものの頻度が増えるなど、「おかしいな?」と思ったら、迷わずに専門医のいる医療機関で受診し、相談してみましょう。また、もっと早い段階から認知症を発症しにくい生活を送ることも重要です。日々の生活習慣の改善が、認知症対策につながると考えられています。バランスのとれた食生活、適度な運動習慣、適切な睡眠習慣などを心がけ、認知症になりにくい生活を送りましょう。
認知症の対策につながる生活習慣の改善について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
👉認知症になりやすい人の特徴は? 注意したい生活習慣、予防策を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
👉認知症対策は何をすればいい? 日常生活でできる予防法を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」では、20年・5年以内(※5年以内は65歳以上が対象)の認知症をはじめとした各種疾病の将来の発症リスクを予測できます。予測した結果を踏まえ、コンシェルジュ(保健師)がご自身に合った生活習慣改善方法をご提案しますので、自分では難しい食生活や運動習慣の改善をプロと一緒に進められます。認知症になりにくい生活習慣に向け、今からできることを始めましょう。
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*1:参考:政府広報オンライン「認知症を知ろう!~ご自身や家族の認知症が不安な方へ~」
*2:参考:政府広報オンライン「認知症を知ろう!~ご自身や家族の認知症が不安な方へ~」
*3:参考:政府広報オンライン「認知症を知ろう!~ご自身や家族の認知症が不安な方へ~」
*4:参考:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」[PDF]
*5:参考:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」[PDF]
*6:参考:厚生労働省「認知症ケア法-認知症の理解」[PDF]