オリーブオイルが認知症対策につながる? 研究データと摂取量の目安を解説

オリーブオイルが認知症対策につながる? 研究データと摂取量の目安を解説

「認知症対策にはオリーブオイルが良いらしい」と聞いたことはありませんか? 最新の研究によって、オリーブオイルが認知機能の低下を軽減する可能性が示されています。本記事では、オリーブオイルの摂取が認知症対策とどのような関係があるのか、そのメカニズムとともに、健康な生活を送るための摂取量の目安についても詳しく解説します。

(監修者)佐治直樹 先生

国立長寿医療研究センター もの忘れセンター 客員研究員
「もの忘れセンター」にて認知症の危険因子に関する研究を行うかたわら、もの忘れ外来担当医として、認知症の臨床現場でも活動中。2021年には、東北大学、久留米大学、株式会社テクノスルガ・ラボとの共同研究にて、日本食の食事パターンと腸内細菌、および認知症との関連を発見。研究結果等に関する講演活動にも、積極的に取り組んでいる。

こんな人におすすめ

  • 認知症とオリーブオイルの関連を知りたい人
  • 認知症対策のために、食生活を改善したい人
  • 家族の認知症発症リスクに不安を感じている人

オリーブオイルは認知症対策に効果がある?

オリーブオイルが認知症対策につながる? 研究データと摂取量の目安を解説

オリーブオイルは、地中海食(イタリアやスペインなど地中海沿岸の国々で見られる食習慣)の中心的な食材の一つであり、おいしさと健康への利点で、長く愛されているオイルです。最近の研究では、オリーブオイルが認知症対策にも効果があるとして注目を集めています。

・ハーバード公衆衛生大学院の研究
ハーバード公衆衛生大学院の研究チームが発表した研究結果*1によると、1日大さじ2分の1杯(約7.5ml)のオリーブオイルを定期的に摂取していた人は、それ以外の人たちと比べ、認知症で死亡するリスクが28%低いことが分かりました。

・エクストラバージンオリーブオイルの研究
2022年に発表された動物実験の研究*2では、エクストラバージンオリーブオイルを摂取することで、血液脳関門(けつえきのうかんもん)の機能向上・記憶力の改善や、アルツハイマー型認知症の原因になる異常なタンパク質・アミロイドβの減少が認められたことが証明されています。これらは認知症の進行を遅らせる重要な因子と考えられています。

※ 血液脳関門:血液と脳組織の間に存在するバリアで、脳を守る重要な役割を果たしています。このバリアは、必要な栄養素が脳に入ることを助け、有害な物質や病原体が入るのを防ぎます。

これらの研究結果によって、オリーブオイルは認知症対策に有用であることが示されました。ただし、定期的に摂取したからといって、それだけでは認知症対策が万全とは言い切れません。オリーブオイルなどの健康的な食材を取り入れながら、バランスの良い食生活を送ることが重要です。

オリーブオイルの優れた働きとは

オリーブオイルが認知症対策につながる? 研究データと摂取量の目安を解説

オリーブオイルに含まれる抗酸化物質は、細胞の酸化ストレスを減らし、認知機能障害のリスクを低下させる働きがあります。WHOのガイドライン*3でも、オリーブオイルを多く使う地中海食が認知症対策に効果的であるとされています。

オリーブオイルに含まれる健康に良い成分

オリーブオイルは、主成分である「オレイン酸」をはじめ、多くの健康成分が含まれており、高く評価されています。健康に良いとされている主要な成分は下記のとおりです。

・オレイン酸
オリーブオイルに最も豊富に含まれている成分で、不飽和脂肪酸の一種です。血中の悪玉コレステロール(LDL)を低下させる効果があります*4

・リノール酸とリノレン酸
多価不飽和脂肪酸の一種です。これらは人間の体内で生成されない「必須脂肪酸」として知られ、適切な量を食事から摂取する必要があります。細胞膜の健康を促進し、免疫機能と炎症反応を正常に保つのに役立ちます*5

・ビタミンE
ビタミンEには強力な抗酸化作用があります。体内の脂質が酸化するのを防ぐ働きがあり、老化を遅らせる効果があるとされています*6

・ポリフェノール
強力な抗炎症作用を持ち、心血管の健康を支え、慢性疾患のリスクを低下させます。ポリフェノールについては、下記の記事も参考にしてみてください。

👉ポリフェノールと認知症の関連は? 豊富に含む飲料や食材を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

1日の摂取量目安は大さじ2杯程度

オリーブオイルの摂取量の目安は、1日あたり大さじ1〜2杯程度です。健康に良いとは言っても脂質にあたるので、過剰摂取に注意して、この目安を守りましょう。

食生活に取り入れる方法として、サラダにドレッシングとしてかけたり、調理で使うサラダ油をオリーブオイルに置き換えたりすることから実践してみましょう。そのほか、ペペロンチーノやアヒージョ、カルパッチョ、焼き野菜のオリーブオイル和えなど、オリーブオイルを使った料理はたくさんありますので、ぜひ調べてみてください。

オリーブオイル以外にも、認知症対策への効果が期待できる食材はあります。こちらの記事で詳しく解説しています。
👉認知症予防に効果的な食べ物は? 最適な食事方法や食材を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

オリーブオイルをきっかけに、食生活の面から認知症対策を

オリーブオイルが認知症対策につながる可能性と、健康に良いことが分かりました。本記事をきっかけにオリーブオイルを取り入れた食事に興味が湧いたという方は、食生活全体を見直す機会にすると良いかもしれません。

また、食生活だけでなく、生活習慣の改善について詳しく知りたい方は、下記の記事を参考にしてください。
👉認知症になりやすい人の特徴は? 注意したい生活習慣、予防策を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
👉認知症対策は何をすればいい? 日常生活でできる予防法を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト


「食生活の改善方法が分からない」「一人では健康的な食生活を続けられる自信がない」という人は、プロに頼ってみてもいいかもしれません。

フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」では、20年・5年以内(※5年以内は65歳以上が対象)の認知症をはじめとした各種疾病のリスクを予測できます。さらに、結果に応じてコンシェルジュ(保健師)が生活習慣改善方法をご提案するので、自分に合った食事内容の改善ができます。

※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。

認知症のリスク、調べてみませんか?

認知症になる可能性は、
発症前に予測できる時代に