喫煙は、脳卒中や心臓病、慢性的な肺疾患、糖尿病、慢性腎臓病といった生活習慣病のほか、多くのがんの発症原因になります。さらに、認知症の発症リスクとの関連も。タバコと認知症にはどんな関係があるのか、現在分かっている範囲で解説します。
こんな人におすすめ
- 喫煙(タバコ)と認知症の関連に興味がある人
- 認知症対策のために、禁煙すべきか悩んでいる人
- 家族の喫煙と認知症発症リスクについて不安を感じている人
喫煙がもたらす認知症発症リスクとは
喫煙は、アルツハイマー型認知症や血管性認知症を含む、認知症全般の発症に関連があると考えられています。ある研究では、喫煙者は非喫煙者に比べて1.79倍、アルツハイマー型認知症の要因となるアルツハイマー病になりやすいと報告されています*1。また、喫煙をする人はしない人よりも認知症発症リスクが2〜3倍になるという研究*2も。特に喫煙量が多く、喫煙していた期間が長いほど、認知機能が低下する可能性があります*3。また、喫煙は脳卒中や糖尿病などの生活習慣病*4、歯周病などを発症するリスクも高い*5とされています。生活習慣病や歯周病は認知症発症リスクを高めると指摘されているため*6、可能な限り喫煙を控えたほうがよいでしょう。
「ニコチンがアルツハイマー予防になる」の通説に根拠はない
かつて、「ニコチンがアルツハイマー病を予防する」という説が発表されたことがありました。しかし全国保険医団体連合会によれば、この通説は既に覆っており*7、喫煙は認知症予防にはならず、反対に認知症のリスクになるという説が優位となっています。認知症の対策のためにぜひ禁煙を
禁煙をすると、認知症の発症リスクを下げることが指摘されています。できるだけ早くから禁煙し、禁煙している期間を長くすることで、より認知症になりにくくなるとのこと。認知症をはじめとする疾患リスクを下げるためにも、ぜひ禁煙することをおすすめします。
さらに、喫煙を含めた生活習慣の改善が認知症対策につながるとも考えられています。認知症の対策につながる生活習慣の改善について詳しく知りたい方は、下記の記事などを参考にしてみてください。
👉認知症になりやすい人の特徴は? 注意したい生活習慣、予防策を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
👉認知症対策は何をすればいい? 日常生活でできる予防法を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
喫煙を含めた生活習慣の見直しが認知症対策の第一歩
喫煙は、認知症や生活習慣病のリスクを高めます。ぜひ禁煙して、認知症対策に努めましょう。認知機能の低下防止のためには、生活習慣の改善も大切。自らの食生活や運動習慣、睡眠習慣を見つめ直し、認知症になりにくい生活を心がけてみてはいかがでしょうか。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
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*1:参考:Anstey KJ, et al: Smoking as a risk factor for dementia and cognitive decline: a meta-analysis of prospective studies. Am J Epidemiology, 166(4): 367-378, 2007
*2:参考:厚生労働省/スマート・ライフ・プロジェクト「『喫煙と健康』禁煙して心身の健康を取り戻そう」
*3:参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」[PDF]
*4:参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」[PDF]
*5:参考:特定非営利活動法人日本臨床歯周病学会「歯周病と煙草の関係」
*6:参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」[PDF]
*7:参考:全国保険医団体連合会「脱タバコ社会を見据えて② 喫煙の害 ― 能動喫煙と受動喫煙」