健康診断・検診を受ける意味って何? フカザワナオコさんに受診メリットと結果の活用法を聞いた

健康診断(健診)や、がんなどの病気を調べる検診、毎年ちゃんと受けていますか? 「自分はまだ大丈夫」「受診した方が良さそうに思うけど、なんとなく面倒」とつい後回しにしてしまう人も少なくないはず。また、受診していても「その結果をどう活用すればいいのか分からない」という人もいるかもしれません。

今回お話を聞いたのはマンガ家のフカザワナオコさん。フリーランスのため、自治体が実施する健康診断・検診を毎年活用してきました。50代を迎え、以前よりも体の不調を感じる中、自分の体の状況を健診で定期的にチェックすることで、日ごろの生活に良い影響があるといいます。

健診・検診を受けるようになったきっかけ、その結果を踏まえての日々の「健康への習慣づくり」、さらには50代に突入して実感している体調の変化と「病気」に対する意識の変化についてを、フカザワさんにお聞きしました。

フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」では、各種疾病の発症リスクを予測することができ、結果に応じてコンシェルジュ(保健師)が、ご自身に合った生活習慣改善方法をご提案します。

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フカザワナオコさん
フカザワナオコさん

1973年生まれ、愛知県在住のイラストレーター&マンガ家。独身、彼ナシ、金ナシの楽しくも切ない毎日をつづったコミックエッセイ『毎日がおひとりさま。』がシリーズ化される。以後継続して雑誌やWebサイトなどにイラストやマンガ、コラムなどを執筆している。2015年に結婚。最新刊は『もうすぐ50歳、調子のいい日がほとんどありません』(幻冬舎)。日常のちょっとした発見を描く絵日記ブログ「ひとこま作者」を日々更新中。

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健康診断の結果が、悪い生活習慣の「抑止力」になる

──イラストや漫画を描くお仕事は、一般的に「体を動かす機会が少ない」「不規則な生活になりやすい」といった悩みがあるとよく聞きます。フカザワさんは、もともとご自身の健康についてどんな悩みを感じていましたか?

フカザワナオコさん(以下、フカザワ):おっしゃるとおり一日中座っている「座業」なので、体への悪影響はずっと課題に感じていました。「座りっぱなしは寿命を縮める」なんて記事もよく見かけますけど、締め切り前で忙しいときは、10時間以上座りっぱなしのこともあって……。こんな生活、絶対良くありませんよね。

その上、45歳を過ぎたくらいから更年期が始まって細々した不調が出やすくなり、膝や股関節の痛みなども感じるようになっていました。

※ 更年期 … 閉経前の5年間と閉経後の5年間を併せた10年間。女性ホルモン(エストロゲン)が大きくゆらぎながら低下し、「更年期症状」「更年期障害」と呼ばれるさまざまな不調が起きやすくなる。更年期障害:日本産科婦人科学会

──会社員と違って、フリーランスは自分で受けようとしないと健康診断などの機会を逃してしまいますよね。でも、フカザワさんは毎年きちんと健康診断を受けていらっしゃると伺いました。

フカザワ:健診はもちろん、30代に入って一人暮らしを始めて以来、年齢に応じて案内される自治体の検診は、毎年全て受診するようにしています。胃がんや大腸がん、子宮頸がん、乳がんといった各種がん検診や血液検査などを、指定された各病院で受けるものですね。

人間ドックよりもリーズナブルだし、フリーランスだと健康を確認する機会がまったくないので、少しの時間とお金で自分の体の状態が分かるのはいいなと思って。根が貧乏性なので、安く受けられるものは全て活用したいという気持ちもあります(笑)。

※ 健診 … 健康診断あるいは健康診査の略語。全身の健康状態を検査する目的で行われる。健診:e-ヘルスネット(厚生労働省)

※ 検診 … がんなど、ある特定の疾患を発見するために行われる臨床的な検査。検診:e-ヘルスネット(厚生労働省)

(「ひとこま作者(https://hitokomasakusya.blog.jp)」より)

──でも、特別大きな体の不調や病気の経験がない場合、つい面倒で受診を先延ばしにしてしまう方も少なくないと思います。

フカザワ:私も検診のお知らせハガキが届いてから、期限ぎりぎりまではつい放置してしまうこともありますね。

でも、うまくスケジュールを組めば、全ての検診を3日くらいで終えることができるんです。例えば○日に近所のクリニックで血液検査、胃の検査、肺の検査、大腸の検査を受けて、△日には婦人科で子宮頸がん検診を受けて、また別の日には外科で乳がん検診を受けて……という感じです。

年3日ならなんとかなると思いませんか? 日にちも順番も全て決まっていて、ぱっと行くだけでOKな会社員の方に比べるとちょっと手間ではありますが……。フリーランスこそ体が資本ですから。

──受診を習慣付けるために工夫していることはありますか?

フカザワ:自分でしていることではないんですが、うちの自治体から送られてくる健康診断の一覧の紙には、受診すると病院が印鑑を押してくれる箇所があるんです。最初はたくさんあった空欄がだんだん埋まっていくと「健康のために頑張っているな」と思えるし、最後に一つか二つ空欄が残っているのはなんだか気持ち悪いから、ちゃんと全て受けようと思える。ちょっとしたことなんですが、スタンプラリーみたいでモチベーションを上げてくれているなと感じますね。

健康診断を一つのミッションと捉えて、達成したら何かご褒美を用意するなどの工夫を、個人でも取り入れてみるのはいいかもしれません。

──20年近く毎年健康診断を受けてきて、どんなメリットを感じていますか?

フカザワ健康診断の結果が、日々の生活で程よい“抑止力”になっているなと思います。

健康診断で大きな病気が見つかったことはないけれど、やっぱりちょこちょこ良くない結果が出てくることはあるんです。例えばお酒を飲む日が続いたあとに肝臓の数値が悪かったり、10年ぶりの胃カメラで、ストレスや免疫力低下からくる荒れや食道のカビが見つかったり。どちらも自覚症状がまったくなかったのでびっくりしましたが、やっぱりむちゃするのはいけないな、と反省しました。

体の状況を知ることで、普段の生活から「飲み過ぎないようにしておこう」「ストレスをためないようにしなくちゃ」などとちょっとした意識をするようになるのは、受診の大きなメリットだと思います。

(「ひとこま作者(https://hitokomasakusya.blog.jp)」より)

生活の延長線上で「ちょっとした工夫」を積み重ねる

──この数年は更年期に入り、新たな体の不調が出てきたとのお話がありました。具体的にどんな症状が出て、どんな対策をしていますか?

フカザワ:更年期の初めは、代表的な症状の一つでもある「不安感」が強く出ていました。ふとしたときに、妙な不安で胸がざわざわするんです。でも、更年期向けの漢方薬が自分にはうまく合ってくれて、服用を始めてからはだいぶ症状が落ち着きました。

ここ数年は、急に顔が熱くなったり汗が止まらなくなったりする「ほてり」や「ホットフラッシュ」が出てきていますね。

ただ、いずれもホルモンバランスによって中長期的に症状が継続しているので、基本的にはうまくやり過ごすしかありません。好きな香りのアロマオイルを楽しむなど、なるべく手軽にできて気分転換になる習慣を増やして、なんとか付き合っています。

──なるほど。膝や股関節の痛みなどに対しては、どのように対策していらっしゃいますか。

フカザワ:節々の痛みは運動不足が大きな要因かなと思うので、ネットで見つけたストレッチや散歩といった簡単な運動をするよう心がけていますね。

──運動を毎日続けるのも難しいですよね……。

フカザワ:そうですね。継続するポイントは、体力がなくても手軽にできる習慣を取り入れることだと思っています。

夫が運動好きでスポーツジムに通っていて、しばらく一緒に行ってみたこともあるんですが……。私は夏の暑さですぐに脱落してしまって(笑)。

私みたいにもともと運動が好きじゃないタイプは、気が向いたときにおうちですぐできるような体の動かし方を覚えておく方が効果的だと思います。

──例えばどういったことをしていますか。

フカザワ:最近気に入っているのは、机の下に足つぼマットを敷いて踏むことです。座って仕事をしながら踏むだけで、なんとなく足の裏から血行が良くなるような気がして。立って踏むのは痛過ぎるけど、座っているといい具合に力加減ができるんですよね。絵を描いたりリモート打ち合わせをしたりしているときでも足は暇なので、無理なく続けられています。

あとは、雑誌か何かで「運動が苦手な人は家事をちゃんとするだけでもいい運動になる」という記事を読んでから、家事を積極的にやるようになりました。掃除機がけ、買った食材の整理など、億劫(おっくう)だと感じていたことも「これが運動になる!」と思えば、面倒くさがらずにやれるようになるんですよね。

──意識を変えるだけで、気軽に運動が取り入れられるわけですね。お酒やジャンクフードもお好きだと聞いていますが、食生活で工夫していることはありますか?

フカザワ:好きなものを全てやめるのは難しいのでジャンクなものも一定は許しつつ、ときどきはノンアルコール飲料にしたり、家で作るときは減塩の調味料を取り入れたり、ささやかな工夫を積み重ねています

特に調味料は自分だけじゃなくて夫の食生活や健康にも影響するものだから、ドレッシングやマヨネーズはできるだけ脂質の少ないものを選んでいますね。

平日は自炊して、週1〜2回は魚のメニューを心がけています。毎日食べる食パンも6枚切りから8枚切りにして少しカロリーを減らしつつ、チーズを乗せたり野菜スープを加えたりして、食事の満足度を上げているんです。

──そういう日々の積み重ね、地味だけど大切ですよね……!

フカザワ:そのおかげか、血糖値や尿酸値など食事にまつわる数値は今のところそこまで悪くありませんね。

ただ、コレステロール値がちょっと高めだと言われたので、最近はおやつに気を付けています。一日中少しずつ何かをつまんでいたいタイプなので、つい総量が増えてしまいがちなんですけど、甘いお菓子は減らして、ミックスナッツなどを間食にとるようにしました。

──健康診断でのフィードバックをきちんと生かして、日常生活を改善しているのが素晴らしいですね。

フカザワ:仕事柄、家にいる時間が長いのもあって、「生活の延長線上でちょっと工夫する」のが得意なんだと思います。

健康にまつわるネットの記事を読むのも好きだし、SNSでもよく情報収集していて、まねできそうな手法はどんどん取り入れる。ネットの情報は玉石混交ですが、専門家の監修が入っているコンテンツなど、信頼できそうなものを参考にしています。

将来のリスクを知って、目の前の生活を見直したい

──これまで命に関わるような大きな病気はされていないとのことですが、年齢を重ねるにつれ、病気というものの捉え方や病気への不安感は変わってきていますか?

フカザワ:自分の周りの人たちから病気の話を聞くことも出てきて、特に女性特有の子宮系の病気や乳がんはやっぱり少し気になるようになってきました。

病気はなるときはなってしまう、誰でも平等になる可能性があるものなんだなと肌で感じています。だからこそ「できることがあるなら早めに対処したい」と意識するようになりました

──本メディアの運営元であるフォーネスライフでは「フォーネスビジュアス」という疾病リスクの予測サービスを提供しています。将来の疾病リスク(認知症、心筋梗塞、脳卒中、慢性腎不全、肺がん)を予測し、その結果を踏まえた生活習慣改善のアドバイスを受けられるサービスです。こういったサービスについてはどのように感じられますか?

フカザワ:そんなサービスがあるなんて知りませんでしたが、すごくいいですよね。

私は「今どんな健康状態で将来どんなリスクがあるのか」にすごく興味があります。自分では分からない病気のリスクと、生活習慣改善のアドバイスがセットで聞けたら、日ごろから気を付けていけるはず。

私が毎年の健診結果を悪い習慣のストッパーにしているように、受けると受けないとでは意識がぐっと変わる気がします。

──ご家族にも受けてもらいたいですか?

フカザワ:受けてもらって、相手のリスクも知っておきたいような、ちょっと怖いような……。でも、将来のリスクを怖がるのではなく、目の前の生活をちょっと見直して、健康を積み重ねていくためのヒントにできればいいですよね。

それに専門家から「お酒は1日何杯まで」「こういう食材がおすすめです」といった具体的なアドバイスがもらえたら、生活改善もしやすいなと思います。やっぱり、プロの意見って健康への近道になりますから。

──フカザワさんはご自身でいろいろ情報収集をし、すぐ実践する行動力がおありです。それでもプロのアドバイスには重きを置いていらっしゃるんですね。

フカザワ:実は先日こんなことがあったんです。

なんとなくおなかが痛いときがあって、ネットで調べたら胃腸の病気の症状に似ていて。それで、胃がん検診のときにお医者さんに相談してみたら「そのあたりは子宮かもしれないよ」とアドバイスをいただいて……。

子宮頸がん検診のついでに超音波で診てもらったら、卵巣がちょっと腫れているようでした。月経周期に合わせた検査が必要だったため、まだ明確な原因は分かっていないのですが。自分では「食べ過ぎたのかな?」とか全然違う原因だと思っていたのに、想像していなかった症状の可能性が出てきてびっくりしました。

自分の体のことなのに分からないことばかりなんだな、と。体のことって自己判断するのは怖いから、専門家の意見が大切だとあらためて思ったんですよね。生活習慣の改善についても同じで、プロの的確な意見を取り入れていく方がきっと効率的だと思っています。

(「ひとこま作者(https://hitokomasakusya.blog.jp)」より)

今回はフカザワナオコさんに健康診断(健診)・検診を受診し続けている理由や、健診の結果を受けての日常生活の改善について伺いました。

記事を読んで、自分の健康状態を把握して、食生活を含めた生活習慣の改善について「専門家に相談しながら取り組みたい」と思われた方に、フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」をご紹介します。

これは“今”と“将来”の健康状態と疾病リスクを分かりやすく可視化し、コンシェルジュ(保健師)から生活習慣改善のアドバイスを受けることができるサービスです。

下記の記事では、フォーネスライフの社長である江川尚人さん自らが生活習慣を改善した体験を、健康診断の結果が気になる地主恵亮さんに語っています。健康診断や遺伝子検査との違いについても説明していますので、こちらもあわせてお読みください。

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取材・構成:菅原さくら
編集:はてな編集部