認知症になる確率はどれくらい? 発症者数は増加傾向でも、予防法を知れば対策可能

認知症になる確率はどれくらい? 発症者数は増加傾向でも、予防法を知れば対策可能

生涯で認知症になる人はどのくらいいるのか、気になる方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、認知症患者数の推計を元に、認知症を発症する確率や割合を年代別・種類別に紹介します。また、早めの対策で認知症を予防しようという考え方も広がっています。認知症にならないための生活習慣改善についても併せて知っておきましょう。
(監修者)矢島隆二 先生

総合リハビリテーションセンター みどり病院 副院長 認知症疾患医療センター 副センター長

脳神経内科・認知症・総合内科等専門医。新潟大学医学部卒業後、高度急性期医療から地域の総合病院まで幅広く臨床経験を積み重ね、新潟大学附属脳研究所で認知症の研究を行い、医学博士号を取得。現在は認知症や神経難病を中心に、リハビリテーションにも重点を置いた神経内科の臨床現場で活動中。認知症や神経難病などの治験も行うかたわら、講演や執筆にも精力的に取り組む。

こんな人におすすめ

  • 認知症を発症する確率がどのくらいあるのかを知りたい人
  • 家族や自分の認知症発症を危惧している人
  • 認知症発症の確率を知り、認知症にならないように努めたい人

認知症の発症者数は上昇傾向。誰でもなる可能性がある

認知症という病気が社会的な課題として取り上げられることが増え、情報を見聞きすることも多くなった今、「自分や家族が認知症になるのではないか」という不安を持っている人も少なくないでしょう。実際のところ、認知症の発症率はどのくらいなのでしょうか。これまでの研究で分かっている発症率や、患者数に占める年代、認知症の種類別の発症割合などを紹介します。

日本の高齢化率はどのくらい?

2020年の統計で28.6%であった65歳以上の高齢者の割合は、団塊のジュニア世代が65歳となる2040年に約35%、2070年には約39%になることが予測されています*1。超高齢社会を迎える日本では、必要以上に若手世代に頼らず、高齢者自身が疾病予防に努め、長く現役でいることが大切です。

中でも高齢者にとって気になるのが認知症。自分が認知症になる可能性はどのくらいあるのでしょうか。

2025年には5人に1人が認知症になる?

日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究[PDF](平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)によると、日本の認知症患者数は2025年に約650〜700万人、2040年に約800〜950万人、2060年に850〜1150万人となることが推計されています。これは、2025年には65歳以上の高齢者のうち約20%、つまり5人に1人が認知症患者となることを意味しています。

上記の研究からも分かるとおり、認知症はもはや特殊な病ではなく、誰でも発症する可能性があるといえます。

年代別の発症数や種類ごとの割合は?

認知症になる確率はどれくらい? 発症者数は増加傾向でも、予防法を知れば対策可能

「65歳以上の5人に1人が認知症になる」といっても、発症する年齢は人によって異なります。また、認知症にもいくつかの種類があります。ここでは年代別や種類ごとの発症状況について見てみましょう。

年代別の認知症発症数

厚生労働省老健局による「認知症施策の総合的な推進について」では、年代別の認知症発症率を公表しています。

これによると、65〜69歳の認知症有症率は1.5%と少数ですが、75〜79歳では10.4%、80〜84歳では22.4%、85〜89歳では44.3%にまで跳ね上がります。90歳以上になると、半数を優に超えた64.2%が認知症を発症するとされています(2012年時点)。

認知症の種類ごとの割合

認知症の原因となる疾患は数多く知られています。その原因となる疾患別の割合は研究報告によって差異があるものの、中でも特に割合の多い4つは、4大認知症と呼ばれています。4大認知症の具体的な病名は、アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症です。

認知症施策の総合的な推進について」によれば、最も多いアルツハイマー型認知症が67.6%、続く脳血管性認知症が19.5%、レビー小体型認知症が4.3%、前頭側頭型認知症が1.0%。これをみると、アルツハイマー型認知症になる人が全体の7割弱を占めることになります。最も発症する割合の大きいアルツハイマー型認知症を中心に、認知症を発症するリスクをできるだけ下げるための予防が非常に重要なのです。

認知症の種類別の特徴などについて、詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
👉 認知症の4つの種類とは? それぞれの原因、症状の違いを解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

認知症発症の確率を下げるには、生活習慣の改善が有効

認知症になる確率はどれくらい? 発症者数は増加傾向でも、予防法を知れば対策可能

近年の研究により、認知症発症には生活習慣などが関わることが分かってきています。バランスのよい食事を3食きちんととる、適度な運動を取り入れる、睡眠のリズムを整える、喫煙や飲酒を控えるといった生活習慣改善によって、認知症になりにくくなると考えられています*2

そのほか、社会活動や芸術活動などを通じた人との交流、積極的な外出なども認知症の予防につながるとされています*3。まずは身近なところから取り組んでみてはいかがでしょうか。

認知症の予防について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
👉 認知症対策は何をすればいい? 日常生活でできる予防法を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

誰にでもかかる可能性がある認知症、生活習慣改善で対策を

「自分や家族は大丈夫」と思わず、将来的な認知症の発症リスクを知って予防に努めましょう。予防に有効なのは、規則正しい生活習慣です。心身ともに健康で長生きできるよう、家族や友人と一緒に取り組んでみましょう。

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト


フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」では、20年・5年以内(※5年以内は65歳以上が対象)の認知症をはじめとした各種疾病の将来の発症リスクを予測できるので、自分が将来病気になるかどうかが気になったら、こうしたサービスを利用してもよいでしょう。さらに結果を踏まえて、コンシェルジュ(保健師)がご自身に合った生活習慣改善方法を提案。自分では難しい食生活や運動習慣の改善をプロと一緒に進められますよ。

※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。

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*1:参考:厚生労働省「我が国の人口について

*2:参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」 [PDF]

*3:参考:国立研究開発法人国立長寿医療研究センター「あたまとからだを元気にするMCIハンドブック」 [PDF]