腎臓病は初期症状が分かりにくく気づかないうちに進行することが多い病気のため、早い段階で兆候を見つけ、対策することが大切です。
この記事では、日常生活で見逃しがちな腎臓病の初期症状や慢性腎臓病(CKD)の原因、さらには合併症について詳しく解説します。
こんな人におすすめ
- 自分の症状が腎臓病によるものなのか気になっている人
- 腎臓病になるとどんな初期症状があるのか知りたい人
腎臓病の初期症状チェックリスト
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腎臓病には慢性腎臓病や急性腎不全、慢性腎不全などの種類があり、原因や症状も異なります。
腎臓病が進行して腎臓の働きが弱くなると腎不全といわれる状態になります。腎不全には2種類あり、急激に腎臓の機能が低下する急性腎不全と、数か月から数十年の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなる慢性腎不全があります。
また、慢性腎臓病は慢性に経過する全ての腎臓病を指し、生活習慣病やメタボリックシンドロームなどが原因で発症する病気です。
腎臓病は初期段階では症状が現れにくいため、気づかずに進行してしまうことがあります。しかし、早期発見ができれば、適切な対策を講じることで進行を抑えられるかもしれません。
以下のチェックリストを使用して、確認してみましょう。
- 就寝中にトイレで起きる回数が増えた
- 尿の色に変化がある
- 血尿が出る
- 尿の量や回数が変わった
- 以前より血圧が高くなった
- 健康診断の尿タンパクの項目が「1+」、または「2+」と判定された
- 健康診断にてメタボリックシンドロームまたは肥満と判定された
- 顔にむくみがある
- だるさがあり疲れやすい
- 原因不明の発熱が続く
もし上記の項目のいくつかに当てはまったり、日常生活で気になっていることがあったりする場合は、医療機関での詳しい検査の検討や相談することをおすすめします。
代表的な症状
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腎臓病が進行すると、さまざまな症状が現れてきます。ここでは、腎臓病の代表的な症状について説明します*1。
むくみ
むくみは、皮膚の下にある組織の水分(組織間液)が異常にたまることで起こります。腎臓病が原因でむくみが生じる理由として、慢性腎臓病(CKD)やネフローゼ症候群、急性糸球体腎炎などが考えられます*2。
ネフローゼ症候群とは、尿から大量のタンパクが漏れ出し、血液中のタンパク質が減ったことでむくみが発生する疾患です。急性糸球体腎炎は腎臓が炎症を起こし、尿タンパクや血尿が出る病気を総称する疾患を指します*3。
腎臓病のむくみは脚部に見られます。左右対称に現れるのが特徴で、むくんだ部分を5秒以上指で押すと、指の跡が残ったままになります。
腎臓とむくみの関係については、下記の記事もあわせてお読みください。
👉むくみの原因は腎臓にある? その関係と今すぐできる対策法を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
頻尿
頻尿とは、尿の回数が多いことを指し、具体的には「朝起きてから寝るまでの排尿の回数が8回以上」である状態をいいます。腎機能が低下すると、尿の濃縮能力が低下し、尿の量が増えるため、頻尿の症状が現れやすくなります。
特に夜間に頻繁にトイレに行くようになる「夜間頻尿」は、腎機能低下の一つのサインです。腎機能が低下すると、摂取したナトリウムを日中に排泄できず、夜間に血圧を上げてナトリウムを排泄しようとします。
これをきっかけに、膀胱の萎縮や前立腺肥大、膀胱炎などに伴う排尿障害や、眠りが浅くなって日中同様に尿意を感じる睡眠障害などにつながる恐れがあります。
尿の泡立ち
尿の泡立ちは、腎臓から異常にタンパク質が漏れ出すことによって生じる症状です。
また、体内の水分が不足すると尿が濃くなり泡立つ場合もあります。このような場合、基本的には水分を摂取することで解消されることが多いです。汗をかきやすい暑い夏や、運動後に皮膚から体の水分が蒸発し乾燥しやすい冬などはより注意が必要です。
しかし持続する場合、慢性腎臓病(CKD)、腎臓の炎症、糖尿病性腎症などの腎臓疾患の兆候である可能性があるため、注意が必要です*4。
便秘
慢性腎臓病になると、便秘になりやすくなるといわれています。腎臓の機能が低下することで腸内細菌のバランスが崩れることや、腸管への負荷が増加することが原因です。腸内には善玉菌と悪玉菌が存在し、健康な状態ではバランスが保たれていますが、慢性腎臓病により腎機能が低下すると、このバランスが崩れやすくなります。
理由としては、カリウム制限による食物繊維の摂取量減少や、腎臓病の薬の影響などがあるとされています*5。
だるさ
だるさは、腎機能低下が進行するとよく見られる症状の一つです。腎臓は体内の老廃物や不要な毒素を尿として排泄する役割を果たしていますが、腎機能が低下すると、この排泄機能が十分に働かなくなります。その結果、老廃物や毒素が体内に蓄積され、尿毒症の症状として疲れやすさやだるさが現れることがあります。
尿毒症の症状とは、体内に蓄積された毒素が原因で起こるさまざまな症状の総称です。尿毒症の症状には、だるさや疲労感だけでなく、吐き気や頭痛、集中力の低下なども含まれます。腎機能が低下していると、これらの症状が慢性的に続くことがあり、日常生活に大きな影響を与えることがあるでしょう*6。
貧血
腎臓は、赤血球を作る働きを促進する「エリスロポエチン」というホルモンを分泌しています。腎臓の機能が低下すると腎臓がエリスロポエチンを十分に分泌させることができなくなることで赤血球の産生能力が低下し、貧血につながります。
貧血が進行すると、心臓が酸素を供給するために通常以上に働かなければならなくなり、心不全やその他の心臓疾患のリスクを高めるため注意が必要です。
慢性腎臓病とは?
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慢性腎臓病(CKD)は「Chronic Kidney Disease」の頭文字を取ったもので、原疾患によらず慢性的に進行するすべての腎臓病を指します。腎臓の機能が徐々に低下していくこの病気は、早期には自覚症状がほとんどないため、気づかれにくいことが特徴です。
CKDの診断基準では以下のいずれか、もしくは両方が3カ月以上持続した場合に該当します*7。
- 腎障害を示唆する所見
(特に0.15g/gCr以上の尿タンパク、もしくは30mg/gCr以上のアルブミン尿がある)
- 糸球体ろ過量(GFR)が60ml/分/1.73m²未満
慢性腎臓病の原因は
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慢性腎臓病の原因としては、糖尿病や高血圧症などのさまざまな疾患や遺伝性の病気などが挙げられます。ここでは、慢性腎臓病の原因となる代表的な例を紹介します。
糖尿病
糖尿病は、慢性腎臓病(CKD)の一種である「腎不全」の主要な原因の一つです。糖尿病によって血液内の糖分が増えることで、腎臓の中の毛細血管がダメージを受け、腎臓の機能が低下します。また、糖尿病性腎症の初期はほとんど自覚症状がありませんが、進行するとむくみや貧血、高血圧症などの症状を伴い、さらに進行すると人工透析が必要になることがあります。また、進行が非常に早く、合併症が多く起こりやすいのも特徴です。
なお、日本では、人工透析を必要とする方の約半分弱は糖尿病性腎症が原因とされています*8。
糖尿病については、下記の記事もあわせてお読みください。
👉糖尿病が腎臓に与える影響とは? 詳しい症状、対策法について解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
高血圧症
高血圧症は、「腎硬化症」を引き起こします。腎硬化症は、血液透析が必要な末期腎不全の原因として、糖尿病性腎症の次に多い腎臓病です。
高血圧症が長く続くと、腎臓の糸球体へ血液を送る細動脈に圧力がかかり続けることで血管の内腔が狭くなる「細動脈硬化」を引き起こし、腎臓に障害をもたらします。
従来は、高齢者の疾患でしたが、昨今ではメタボリックシンドロームに代表されるような働き盛りの若い人にも増えてきました*9。
免疫・遺伝性の病気
免疫の異常によって発生する「IgA腎症」という病気や「多発性嚢胞腎」などの遺伝性による病気などによって腎臓がダメージを受けることがあります。IgA腎症は慢性糸球体腎炎の一種で、免疫の異常によって発症します。IgA腎症に罹患していた場合、尿タンパク1g以上の状態を10年放置すると、約30%が慢性腎不全に進行する病気です。
慢性糸球体腎炎にはほかにも、膜性腎症、膜性増殖性糸球体腎炎、微小変化型ネフローゼ症候群などといった疾患があります。
多発性嚢胞腎は、腎臓に嚢胞と呼ばれる水がたまった袋が多数でき、腎臓の働きが徐々に低下していく遺伝性の病気です*10。
慢性腎臓病の代表的な合併症
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慢性腎臓病が進行すると、骨や筋肉、心臓、歯周病、認知症、尿毒症などの合併症が現れることがあります。ここでは、その代表的な合併症について紹介します*11。
骨や筋肉の健康に対する問題
腎臓は筋肉や骨と密接に関わっており、慢性腎臓病になるとさまざまな理由から筋肉が衰え、健康な人に比べて身体機能が7割程度まで低下するといわれています。
また、腎臓のカルシウムやリンのバランス調整機能が低下し、骨の健康が損なわれ、骨粗しょう症や骨折のリスクが高まる恐れがあります。
心臓病
慢性腎臓病は心臓にも負担をかけ、心臓の病気につながりやすいのが特徴です。
この関連性を心腎連関(しんじんれんかん)と呼びます。代表的なメカニズムとしては神経・ホルモンの影響、腎静脈の圧の上昇、腎血流の低下などがあり、慢性腎臓病の進行が進めば進むほど、心臓への負担が大きくなり病気になるリスクも高まります。
歯周病
慢性腎臓病の患者は、そうでない患者に比べて歯周病になる率が1.7倍高いという調査結果もあり、歯周病の炎症面積が大きいと腎機能の低下が進むことが報告されています。
原因は完全には明らかになっていませんが、慢性腎臓病による免疫機能の低下やカルシウム吸収・骨代謝の異常などが一因になっているのではと考えられています*12。
認知症
腎臓の機能が低下すると、血清の尿素窒素濃度が上昇するとともに、血清アルブミン濃度が低下し低栄養状態となるため、認知症のリスクが高まります。そのほか、尿毒症性物質の蓄積が、認知機能の低下に関わっているとされています。
また、アルツハイマ―病の初期に起こる血液脳関門(BBB)の破綻は、タンパク質の不溶化が原因とされています。CKDになると、血液脳関門に不溶化タウタンパク質が蓄積されることが研究で発見されました。これにより、CKDが原因となってアルツハイマーに類似した認知症を発症するリスクがあるとされています*13。
尿毒症
尿毒症とは、腎臓の働きが極度に低下して起こる全身の変化で、急性または慢性の腎臓障害が進行した状態を指します。
尿毒症になると、だるさ、吐き気、食欲不振、頭痛などのほか、呼吸困難感、出血症状などが現れ、治療をしなければ、生命に関わる深刻な状態になる可能性があります*14。
貧血
腎臓の機能低下が進むと「腎臓貧血」と呼ばれる合併症を起こすことがあります。原因としては、腎臓で作られる造血ホルモン(エリスロポエチン)がうまく作れなくなることで起こるとされています。
早期発見・治療が大切
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腎臓病の対策としては、塩分を控えたバランスの良い食事・適度な運動・禁煙・こまめな水分摂取・適正血圧の維持・歯科通院による良好な口腔内環境の維持・肥満の解消などがおすすめです。
腎臓の機能は一度低下すると、改善することが難しいです。そのため、健康診断などの結果をしっかり確認し、早期に検知することを心がけることをおすすめします。それにより、未然に腎臓の機能低下を防げたり、遅らせたりできる可能性があります。
冒頭のチェックリストで当てはまるものが多かった方や、腎臓の状態が気になる方は早めに医療機関での診察を受けましょう。
初期症状が自覚しづらいからこそ、日頃から対策を
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腎臓病は初期段階では自覚症状が少ないため、血液検査や尿検査での早期発見が重要です。定期的に健康診断を受けることで、腎臓の状態を把握し、異常が見つかった場合には速やかに専門医の診察を受けましょう。
腎臓病は早期に発見し、適切な治療を行うことで進行を抑えられ、健康の維持につながる可能性があります。日頃からバランスの取れた食事や適度な運動を心がけ、腎臓の健康を守りましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド
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慢性腎不全のリスク、調べてみませんか?
*1:参考:一般社団法人 日本腎臓学会「腎臓が悪くなったときの症状」
*2:参考:一般社団法人 全国腎臓病協議会「腎臓病について」
*3:参考:東京女子医科大学病院 腎臓内科「ネフローゼ症候群」
*4:参考:東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科「尿に関するQ&A」
*5:参考:NPO法人腎臓サポート協会「腎臓教室Vol.122(2022年10月号)」
*7:参考:公益財団法人長寿科学振興財団「腎不全とCKDについて」
*8:参考:公益財団法人長寿科学振興財団「腎不全とCKDについて」
*10:参考:公益財団法人長寿科学振興財団「腎不全の原因」、一般社団法人 全国腎臓病協議会「腎臓病について」
*11:参考:一般社団法人 全国腎臓病協議会「合併症について」
*12:参考:地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター「歯周病とCKD(慢性腎臓病)の関連について[PDF]」
*13:参考:糖尿病リソースガイド「腎臓病が認知症の強力なリスク因子に 血液中に増えた尿素窒素が血液脳関門の機能異常に関与 東京医歯大」