むくみの原因の一つとして腎臓病が考えられるという話を聞いたことはありませんか? 本記事では、むくみのメカニズムや腎臓病との関連、今すぐできる対策などについて、分かりやすく解説します。
こんな人におすすめ
- むくみの原因に腎臓が関係あるのか知りたい人
- むくみについて知りたい人
- むくみの対策法を知りたい人
そもそもむくみとは?
「むくみ」は、医療用語で浮腫(ふしゅ)と呼ばれています。血液をろ過し、老廃物や余分な水分を尿として体外に排出する腎臓がうまく機能せず、余分な水分が体内に溜まってしまっている状態です*1。
体内の水分の割合は約60%だといわれています。そのうち2/3は細胞の中にある「細胞内液」、残りの1/3は血液を含む「細胞外液」です。このうち細胞外液が異常に増加して起こるのが、むくみです*2。
通常、酸素や栄養は血管内の血流により体のすみずみに届けられています。健康な人では、血管の内側と外側で水分やミネラルのバランスが保たれており、むくみは生じにくいです。しかし、腎臓や血管などに問題があると、このバランスが崩れ血液中の水分やミネラルが血管外に漏れ出して、むくみが起こりやすくなるのです。
腎臓病になると体がむくむ?
むくみは、腎臓病の症状として現れることがあります。腎臓病とは、腎臓で血液をろ過している糸球体や尿細管に障害が起こることで、腎臓の働きが悪くなる病気の総称です*3。
糸球体とは、腎臓内で老廃物や水分をろ過する役割を持つ組織です。0.1~0.2ミリほどの大きさで、一つの腎臓に約100万個の糸球体があるといわれています。
この糸球体に障害が起こると機能が低下し、老廃物や余分な水分が体外に排泄できずに、体に溜まることでむくみが起こるのです。腎臓病によるむくみの特徴としては、下記のようなものが挙げられます。
- 左右対称に現れる
- 重力により足からむくみやすい
- むくんだ部分を指で10秒以上押すと跡が残る
体に2~3kg分の水が溜まると足首からむくみ始め、5kg以上増えると全身に広がっていくといわれています*4。むくみの原因が腎臓病の場合、腎臓機能の低下が数カ月から数年にわたって持続する「慢性腎不全」になるおそれがあるため、注意しましょう*5。
腎臓病以外が原因の場合も
腎臓病以外にも、むくみの症状によって疑われる病気もあります。例えば、心臓や甲状腺の機能低下、下肢静脈瘤、リンパ浮腫などです*6。また、病気でなくても水分・塩分を多く取った場合や運動不足、長い時間同じ体勢でいる時でもむくみが出るため、生活習慣にも注意が必要です。
むくみの原因はさまざまであり、それによって対応も異なります。適切に対応するためにも、症状が出たときはかかりつけの医師や専門の医療機関へ相談しましょう。
今すぐできるむくみ対策
むくみの対策には何が有効なのでしょうか。今すぐできる方法のうち、主なものを紹介します。
運動習慣を取り入れる
むくみの対策には定期的な運動が効果的です。筋肉を動かすことで、血液循環を促し、水分バランスの改善が期待できます。運動の内容としては、ストレッチや徒歩移動、階段の利用といった日常的な軽いものでも問題ありません。また、座っている時間が長い人は、30分に一度は立ち上がり、足の曲げ伸ばしをするように心がけましょう*7。
塩分を取り過ぎないようにする
過剰な塩分摂取は体に水分を溜めるきっかけとなり、むくみにつながります。成人1人1日当たりの塩分摂取目標量*8の目安は、男性7.5g未満、女性では6.5g未満とされているため、塩分過多になりがちな場合は、減塩食品を選ぶようにしましょう。また、具体的な食べ物ごとの塩分量目安は下記のとおりです*9。- みそ汁1杯:1.5g
- 梅干し1個:1.9g
- 肉じゃが:3.0g
- かけうどん:7.1g
- ラーメン:8.7g
加えて、塩分を取り過ぎた場合は、カリウムの摂取も有効でしょう*10。バナナやほうれん草、わかめなどに多く含まれるカリウムは、ナトリウムを排出し、体内の水分バランスを整えるために欠かせないミネラルです。
ただし、腎機能が低下している場合、カリウムの摂取量が多すぎると心臓に負担をかけてしまうことがあるため、かかりつけの医師と相談する必要があります。
腎臓の健康を維持するために推奨される食事、避けるべき食事については下記の記事もお読みください。
👉腎臓に良い食事・悪い食事とは? 食生活で気をつけるポイントを解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
気になったらまずは相談を
むくみは腎臓病の一症状として現れることの多い症状ですが、心臓や甲状腺の機能低下など、他の病気が原因となっている可能性も考えられます。むくみの症状が続く場合は、かかりつけの医師に相談するようにしましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
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慢性腎不全のリスク、調べてみませんか?
*1:参考:一般社団法人日本腎臓学会「腎臓の病気について調べる|腎臓がわるくなったときの症状」
*4:参考:一般社団法人日本腎臓学会「腎臓の病気について調べる|腎臓がわるくなったときの症状」
*5:参考:一般社団法人日本腎臓学会「腎臓の病気について調べる|急性腎障害と慢性腎臓病」
*6:参考:一般社団法人日本腎臓学会「腎臓の病気について調べる|腎臓がわるくなったときの症状」
*7:参考:東京都保健医療局「気軽に実践!健康づくり応援ガイド」
*8:参考:「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」[PDF]
*9:参考:長野県食生活改善推進協議会佐久支部「塩分早見表|よく食べる料理の塩分量の目安」[PDF]
*10:参考:厚生労働省e-ヘルスネット「健康用語辞典|ナトリウム」