親族に腎臓病になったことがある人がいて、「もしかしたら将来、私も腎臓病にかかる可能性があるかもしれない」と不安になったことはありませんか。本記事では、腎臓病は遺伝する病気なのかどうか、そして、やがて訪れるかもしれない腎臓病に対し、今からできる対策方法などについて、分かりやすく解説します。
こんな人におすすめ
- 親族に腎臓病の人がいて、自身のリスクについて気になってきた人
- 遺伝以外の、腎臓病の要因について知りたい人
- 腎臓病の対策方法を把握しておきたい人
腎臓病は遺伝する?
腎臓病が遺伝することは「あまりない」とされています。ただし、一部の腎疾患の中には、遺伝が原因となるものもある……というのが実情です*1。まずは、遺伝によって起こる可能性がある、2つの腎臓病について詳しく紹介します。
アルポート症候群
「進行性の遺伝性腎炎に、難聴を伴う症候群」のことを指します*2。幼少期より、難聴のほかに血尿も見られ、男性に多いとされる遺伝性の腎臓病です。家族の腎臓病の有無や腎生検(背中から針を刺して腎臓の組織を取る検査)で診断されます。
多発性嚢胞腎
多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)とは「腎臓に水が溜まった袋(嚢胞)ができ、腎機能が徐々に低下する遺伝性の病気」です。症状別に、下記の2つに分けられます。
- 常染色体優性多発性嚢胞腎(Autosomal Dominant Polycystic Kidney Disease:ADPKD)
- 常染色体劣性多発性嚢胞腎(Autosomal Recessive Polycystic Kidney Disease:ARPKD)*3
「ADPKD」は、両親どちらかからの遺伝により発症します。初期の頃は無症状ですが、次第に嚢胞が増えることでお腹が張ってきたり、血尿が認められたり、嚢胞に感染が起こったりといった症状が現れます。さらには、一般の方よりも高血圧やくも膜下出血になる頻度が高いといわれています。
一方「ARPKD」は、両親が発症因子となる変異した遺伝子を持ち、それらが合わさって発症するケースがメイン。両親は無症状のため、実際にその子どもが発症するまでは、リスクに気づきにくいのが特徴です。
発症すると腎機能の低下に伴い、透析や腎臓の移植が必要になったり、胆管炎や食道静脈瘤などのトリガーになったりする可能性があります。
腎臓病の原因となる高血圧や肥満は遺伝することも
ここまで取り上げてきた遺伝性の腎臓病は、あくまで少数派。では、遺伝性ではない腎臓病の対策のためには、何から取り組むべきなのでしょうか。
対策方法の1つとしては、「生活習慣の改善」が挙げられます。なぜなら、腎臓病の原因の多くは肥満や高血圧といわれており*4、その2つはいずれも「体質」として遺伝するケースがあるためです*5。
つまり、腎臓病にかかるかどうか不安なのであれば、まずは生活習慣の改善に向け、できることから少しずつ取り組んでいくことが大切と言えるでしょう。
生活習慣改善のためにできること
最後に、腎臓病の原因となり得る生活習慣を改善するための取り組みについて、3つのポイントを紹介します。参考にしたい他の記事もピックアップしていますので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
生活習慣改善方法1:適度な運動を心がける
生活習慣を改善するためには、とにもかくにも適度な運動。消費エネルギーと摂取エネルギーのバランスを保ち、あらゆる生活習慣病の元凶といわれる肥満を遠ざけましょう。
例えば、下記のような運動*6を取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 家の近くを散歩する
- 自転車や徒歩で通勤する
- 休日に家族や友人と外出する
- 地域のスポーツイベントに参加する
こういった運動に取り組むことで肥満の予防・改善にアプローチできるほか、高血圧や糖尿病にも良い影響が期待できます。健康診断の結果で「血圧」「血糖値」「中性脂肪」「LDL-コレステロール」「BMI」「腹囲」などの項目が基準値を上回っている場合は、とくに意識してみてください。
生活習慣改善方法2:飲酒量を適度に
生活習慣改善のためには、飲酒量にも注意を払ってみましょう。
過度の飲酒を避けるため、適切な摂取量を知っておきましょう。適度な飲酒は「1日平均純アルコールで約20g程度」とされており、実際のお酒の量としては下記のようになります。
- ビール:500ml(中びん1本)
- 日本酒:180ml(1合)*7
アルコールの影響に関しては、下記の記事もお読みください。
👉アルコールは腎臓によくない? 腎機能への影響と種類ごとの適正量を解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
生活習慣改善方法3:塩分量を減らす
過度な塩分の摂取は、高血圧を招き、腎臓に負担をかける恐れがあります。食塩に含まれるナトリウムを多く摂取すると、血液中の水分量が増し、結果として体内を循環する血液量が増え血圧が上がってしまうためです*8。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食塩の摂取量の目安は成人1人1日当たり男性7.5g未満、女性では6.5g未満とされています。また、腎臓病の重症化を予防したい場合は、男女ともに1日当たり6.0gまで制限する必要があるようです。
血圧管理の方法をさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。
👉高血圧が腎臓に与える影響は? その関連性と対策法を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
👉何が加藤茶の心を動かしたのか。妻・綾菜さんの「健康意識を高める秘策」とは- lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
生活習慣を改善して、腎臓病の対策につなげよう
遺伝しやすい腎臓病は決して多くはありません。その一方で、腎臓病の原因になり得る生活習慣は、適度な運動を心がけたり飲酒量を減らしたりすることで、改善が期待できます。腎臓病に備えたい方は、まずは自身の生活習慣を見直すところから始めてみましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
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*1:参考:「遺伝性腎疾患外来|KOMPAS 慶應義塾大学病院」
*2:参考:「アルポート症候群 診療ガイドライン|日本小児腎臓病学会」
*4:参考:「腎臓病|国立研究開発法人 国立循環器病研究センター」
*5:参考:「生活習慣病|文部科学省」
*6:参考:「アクティブガイド|厚生労働省」
*7:参考:「アルコール|厚生労働省」
*8:参考:「腎疾患と高血圧|人工透析研究会会誌」