最近受けた健康診断の結果などから、自身の血圧に不安を感じ始めていませんか? 高血圧になると体によくないということは聞いたことがあっても、実際にどんな変化があるのかまではよく知らない、という方もいるでしょう。高血圧によって影響を受ける器官の代表例として「腎臓」が挙げられます。本記事では、高血圧による腎臓への影響、その対策法について解説します。
こんな人におすすめ
- 自身の血圧の高さに不安を感じている人
- 高血圧と腎機能の関連について知りたい人
- 高血圧の改善策を把握しておきたい人
血圧と腎臓は、密接に関わっている
高血圧、つまり血液が増加した状態は、腎臓への負担を増やす要因の1つです。腎臓への負担が増えれば、結果として腎機能そのものの低下に直結することも。そして、腎機能が低下することで、余分な塩分や水分を尿から排出する機能が衰えて血液量が増加し、血圧が上昇します。
つまり、ひとたび高血圧になれば、腎機能が悪化してさらに血圧が上がって……といった、悪循環を引き起こす可能性があるのです*1。このように、血圧と腎臓には明確な相関性があるため、高血圧改善は腎機能を守る策の一つになり得る、と言えるでしょう。
腎機能が低下する要因については、下記の記事もお読みください。
👉腎機能が低下する原因は? 進行による病気のリスクや対策を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
血圧と相関性のある腎臓の働きとは?
続いて、血圧と関連の深い腎臓の機能について、押さえておくべきポイントを3つ紹介します。
余分な塩分と水分を排出する機能
腎臓には、食事による不要な塩分や水分を尿とともに体の外に排出する「ろ過機能」があります。これは、腎臓の中にある糸球体(細い血管が毛糸の球のように丸まってできているもの)の働きによるもの。糸球体は「ふるい」にも似た構造をしており、心臓から腎臓に流れてきた血液の中身を選別し、老廃物を身体の外に出してくれているのです*2。
老廃物を排出することは、全身の血圧を一定に保つために欠かせない機能です。そのため、腎機能が低下すると血液量が増え、結果的に高血圧を招いてしまいます。
血圧調整ホルモンを生産する機能
他にも、腎臓には血圧を調節するホルモンの1つである「レニン」を分泌する機能もあります。レニンは、血圧上昇作用を持つ「アンジオテンシンⅡ」という物質を作ります。
腎臓の動脈が狭くなると腎臓への血流が低下し、レニンが過剰に分泌されてしまうため、やがて高血圧を招いてしまうかもしれません*3。
末梢血管の働きを正常にする機能
腎臓内にある細い血管である「末梢血管」の流れは、腎臓によるろ過機能によって正常に保たれています。この働きが悪くなると末梢血管が硬くなり、血液が流れにくくなってしまうでしょう。こういったことでも、高血圧を招く可能性があるのです。
腎臓の働きを守るために血圧を管理しよう
ここまで見てきた通り、血圧と腎臓には、明らかな相関性があります。つまり、腎臓の働きを守るには、高血圧を改善することが何より重要。改善のためには、生活習慣を見直すことも一つの策になり得ます。ここからは、生活習慣を改善するために気をつけたい2つのポイントを見ていきましょう。
食塩の摂取量を減らす
食塩の摂取量を減らすことで、高血圧改善につながる可能性があります。食塩に含まれるナトリウムを控えることで、血液中の水分が減り、血圧低下効果が期待できるためです。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食塩の摂取量の目安は成人1人1日あたり男性7.5g未満、女性では6.5g未満。また、腎臓病の重症化を予防したい場合は、男女ともに1日当たり6.0gまで制限する必要がある、とされています。
しかし、和食をよく食べる日本人は、漬物や味噌汁などの塩分が多量に含まれがちなメニューを摂るケースが多いもの。実際に、日本人の食塩の1日あたりの平均摂取量は男性11g、女性9g程度といわれています*4。初めのうちはなかなか難しいかもしれませんが、減塩のみそを取り入れるなど、できることから始めてみましょう。
1点、頭の片隅に入れておくべきなのは「腎機能が低下している人の場合は、急に食塩の摂取を制限することが、逆に腎疾患のリスクを上げる可能性がある」ということ。少しでも不安を感じた方は、医師に相談の上で、減塩に取り組んでみてください。
禁煙する
喫煙は、腎臓の保護機能を低下させるほか、血管への悪影響を招く可能性もあります*5。たばこの煙に含まれるニコチンは動脈硬化の要因となり、脳卒中(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞)や心筋梗塞などを引き起こします。禁煙によるメリットは大きいので、喫煙者の方は優先的に取り組みましょう。
血圧と腎機能は表裏一体。高血圧改善には生活習慣の見直しが必要
高血圧は、腎機能を低下させる一因です。血圧の数値改善には、まずは生活習慣を見直してみるのがよいでしょう。食塩量を検討する場合は、かかりつけ医や管理栄養士と相談の上で取り組んでみてください。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
将来、高血圧などによる腎機能低下に不安がある方は、生活習慣の見直しなど早めの対策を講じるとよいでしょう。そのために、フォーネスビジュアスによる将来の疾病リスク予測と生活習慣の改善提案を利用してみるのも手。
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*1:参考:「腎疾患と高血圧|人工透析研究会会誌」
*2:参考:「腎臓の構造と働き|一般社団法人 日本腎臓学会」
*3:参考:「腎臓の構造と働き|一般社団法人 日本腎臓学会」
*4:参考:「ナトリウム|e-ヘルスネット 厚生労働省」