腎臓の機能を良好に保つためには、どのような食事を心がければ良いのでしょうか。本記事では、腎臓の健康を維持するために推奨される食事と、避けるべき食事について詳しく解説します。腎臓疾患の対策をしたい方、そして腎臓の健康を維持したい方はぜひ参考にしてみてください。
こんな人におすすめ
- 腎臓の状態を改善したい人
- 腎臓疾患を予防したい人
- 腎臓の機能を良好に保つ食事について知りたい人
腎臓の働きを助ける食事とは?
腎臓は体内のフィルターのような役割を果たしており、1日に150〜200Lもの血液をろ過しています*1。この過程で尿を作り出し、体内の老廃物や余分な水分を排出します。さらに、ミネラルのバランス調整や血液を作り出すホルモンの分泌など、多くの重要な機能を担っている臓器です*2。
腎臓の機能が低下すると、これらの重要なプロセスがうまく行われなくなり、体内に有害物質が溜まってしまいます。そのため、日常的に腎臓を健康に保つための生活習慣が非常に重要です。特に食事は、腎臓の健康維持において大きな役割を果たします。
ここからは、腎臓の健康をサポートしてくれる食材を紹介します。
※ 特定の食品成分が多く含まれる食品やその含有量については、文部科学省の「食品成分データベース」やその「食品成分ランキング」を参考にした。
オメガ3脂肪酸を含む食材
オメガ3脂肪酸は、人間の体内でほとんど作り出すことのできない必須脂肪酸で、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)はその一種です。これらは血液中の中性脂肪を下げる作用があり*3、特に、血液を循環させる役割を担っている腎臓にとっては重要です。腎臓の健康を維持するためには、オメガ3脂肪酸が豊富な食材を積極的に摂取することをおすすめします。
オメガ3脂肪酸が豊富な食材としては、下記のものがあります。
- 魚類:マグロ、サバ、アユ、サンマ、イワシ、ブリなど
- ナッツ類:チアシード、クルミ、ピスタチオ、落花生など
- 油脂類:えごま油、あまに油など
これらの食材を日常的に取り入れることで、腎臓の健康をサポートします。
DHAについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
👉認知症対策にDHAは効果がある? 豊富に含まれる食材を紹介 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
カリウムが豊富な野菜や果物
ミネラルの一種であるカリウムは、特に野菜や果物、海藻に多く含まれています。カリウムは、老廃物の排出や血圧コントロールに有用であり、腎臓疾患の対策に効果的です*4。下記のような食材を食事に取り入れることをおすすめします。
- 野菜類:ブロッコリー、ほうれん草、おかひじき、にんじんなど
- 藻類:昆布、わかめ、ひじきなど
- 果実類:ドライマンゴー、干しぶどう、アボカド、バナナなど
ただし、すでに腎機能が低下した状態でカリウムを積極的に摂取してしまうと、うまくカリウムを排出できなくなり、結果として心臓に負担がかかってしまうため注意が必要です。あくまでも腎機能が正常な方が健康を維持するための対策として、カリウムの適量な摂取を心がけましょう。
同様に、腎機能が低下している可能性のある方は、カリウム摂取の制限が必要になる場合があるため、必ず医師に相談してください。
逆に、腎臓に悪影響を及ぼす食事とは?
腎臓に悪影響を及ぼす食事について解説します。
塩分の多い食事
塩分の取り過ぎは、腎臓に大きな負担をかけます。塩分過多は高血圧を引き起こし、腎臓の負担を増大させる原因の一つです。日本高血圧学会では、1日に摂取してよい食塩量として「6g未満」を推奨しています*5。しかし、多くの人がこの推奨量を超えて塩分を摂取しているのが実情です。
毎日の食事から塩分を減らすためのコツとしては、下記のような方法があります
- だしや酢の活用
- だしや酢にはうまみ成分が含まれているので、塩分が減ることで生じる物足りなさを補いながらおいしい料理が作れます。
- 調味料の見直し
- スパイスの辛みや香りが、塩分が減って物足りなくなった料理の味を引き締めてくれます。
- ラーメンのスープは飲み干さない
- スープには多くの塩分が含まれているため、飲み干さずに残すようにしましょう。
過剰にタンパク質を摂取する
腎機能が低下している場合は、タンパク質の摂取量にも注意が必要です。過剰なタンパク質の摂取は腎臓に負担をかけ、腎機能の低下を加速させる可能性があります。
腎機能が正常な成人の場合、1日あたりのタンパク質の摂取推奨量は下記の通りです*6。摂取の際の参考にしてください。
- 男性:18〜64歳は65g、65歳以上は60g
- 女性:18歳以上は50g(高齢でも推奨量は同じ)
【具体的な食材ごとのタンパク質含有量の例】
- 肉類
- 若どり むね 皮なし(焼き):100gあたり約38.8g
- 魚介類
- ごまさば(生):1切れ(100g)あたり約23g
- 鶏卵
- 全卵(ゆで):1個(Mサイズ殻付・約69g)あたり約8.6g
すでに腎疾患を抱えている場合、腎機能の低下によってタンパク質が代謝されてできる老廃物が体内に蓄積する恐れがあります。上記の摂取量の目安以下の食生活を心がける必要があるため、医師と相談してください*7。適切なタンパク質の摂取量を守ることで、腎臓への負担を軽減し、腎機能の維持を図りましょう。
バランスの良い食生活を心がけよう
腎臓の健康を維持するためには、栄養バランスの良い食生活を続けることが何よりも大切です。日常の食事において、腎臓の働きを助ける食材を積極的に取り入れ、悪影響を及ぼす食材の摂取を控える工夫が求められます。
日本腎臓学会のガイドライン*8にも記載されているように、必要な食事療法は個人によって異なります。各人の健康状態や生活習慣に合わせた食事プランを立てる必要があるため、特に腎臓疾患を抱えている場合は、医師や栄養士と相談しながら適切な食事管理を行うことが推奨されます。
腎臓だけに焦点を当てるのではなく、総合的な健康状態を見て食生活を組み立てることが求められます。バランスの良い食事を心がけ、適度な運動やストレス管理を含めたライフスタイル全体を見直すことで、腎臓を含む全身の健康を守りましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
腎臓疾患に不安のある方は、食生活をはじめとした生活習慣の見直しから始めましょう。
フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」では、4年以内の慢性腎不全をはじめとした各種疾病における、将来的な発症リスクの予測ができるほか、保健師の資格を持つコンシェルジュから予測の結果と体の状態を踏まえた生活習慣の改善提案も受けられます。生活習慣についてアドバイスを受け、それを実践することで、腎臓病などの各種疾病リスクへの対策にもつながるでしょう。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。慢性腎不全のリスク、調べてみませんか?
*1:参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「CKD/慢性腎臓病」
*2:参考:日本腎臓学会「1.腎臓の構造と働き」
*3:参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」[PDF]
*4:参考:公益財団法人 長寿科学新興財団 健康長寿ネット「カリウムの働きと1日の摂取量」
*5:参考:日本高血圧学会 減塩・栄養委員会「高血圧の予防のためにも食塩制限を」
*6:参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」[PDF]
*7:参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「『健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023』情報シート:身体活動とエネルギー・栄養素」
*8:参考:日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準(2014年版)」[PDF]