腎臓は老廃物や毒素を排出する重要な臓器です。腎臓の健康状態を保つには、一定の水分量が必要だとされています。 では、腎臓が正常に働くための水分補給の目安はどれくらいなのでしょうか。本記事では、腎臓と水分の関係や水分不足による影響などについて、分かりやすく解説します。
こんな人におすすめ
- 腎臓と水分の関係を知りたい人
- 健康な腎臓を維持したいと考えている人
- 1日の適切な水分補給量の目安を知りたい人
腎臓と水分の関係とは?
腎臓の主な役割は体内の電解質や水分量を整えることであり、水分と腎臓には深い関わりがあります。
電解質とは、体液や血液に含まれるナトリウムやカリウムなどのことです。筋肉や神経の運動のほか、体内の水分バランスなどに関連しており、このバランスが崩れると「むくみ」「息苦しさ」など、さまざまな症状が現れます。
腎臓は、血流によって流れ込んだ余分な水分や老廃物を尿として排出しています。その一方で、必要な電解質や水分を再吸収することで体液の成分を一定に保っているのです。
このように、腎臓は水分や電解質のバランスを保ち、体の健康を維持するために重要な役割を果たしています。
水分補給が適切でないと腎臓にどんな影響がある?
腎臓の機能を正常に保つには、適切な水分補給が大切です。
体の水分が足りない場合、腎臓に負担をかけることになります。水分補給が適切ではないときの体への影響について見ていきましょう。
腎機能低下の恐れがある
水分補給を怠り、脱水状態が続くと腎臓に負担がかかってしまい、急激に機能が低下する「急性腎障害」を発症する可能性があります。機能が低下したままでは尿や老廃物をうまく排出できず、体内の水分量や電解質を調節できなくなってしまうので、注意しましょう*1。
腎結石の形成リスクがある
腎結石とは、腎臓の中で形成された結晶です。水分が不足すると尿が濃縮され、尿中のミネラルや老廃物が結晶化しやすくなるため、腎結石をはじめとした尿路結石が作られるリスクが高まります。腎結石は、結石が腎臓内にあるときは無症状ですが、それが尿管に移動すると脇腹や下腹部、腰の後ろ側などに刺すような痛みが起こります*2。
知っておきたい1日の水分補給量の目安
適度な水分の補給は、腎臓の健康維持のためにも重要です。
厚生労働省の資料によると1日の水分補給量の目安は、活動量が少ない人で2.3〜2.5L、活動量が多い人で3.3〜3.5Lとされています*3。ただし、水分は体内で生成されることや、食事から確保できることを踏まえると、飲み物で摂取する目安は約1.2Lとなります*4。
体内の水分不足の兆候は、「のどの渇き」「発汗の減少」「皮膚の弾力性の低下」などです。こうした状態にならないよう、自然なのどの渇きに応じて水分を取るようにし、汗をかくときはこまめに水分補給することを意識しましょう。
ただし、夏季の暑い日や発汗を伴う運動をした際にのどの渇きを感じた場合は、すでに脱水状態の可能性もあります。そのため、のどの渇きとは関係なく、こまめな水分補給が大切になります。
なお、腎臓の状態によっても水分補給の目安は異なります。尿を濃縮させる機能が低下している場合は、老廃物を排出するのにより多くの水分が必要となります。ただし、自分で腎臓の機能を評価することは難しいため、必要に応じて専門の医療機関や主治医へ相談しましょう。
腎臓を健康に保つためには適切な水分補給が大事
腎臓と水分の関わりは深く、水分が不足すると、腎機能が低下してさまざまな病気につながる可能性があります。
日常生活において、適切な量の水分を摂取し腎臓の負担を軽減することが、長期的な健康維持につながります。水分補給を習慣にし、腎臓の健康を守りましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社エクスライト
フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、腎臓機能が長期間にわたって低下し、発症に気付かず重症化しやすい「慢性腎不全」の4年以内の発症リスクなどを予測できます。
加えて、保健師の資格を持つコンシェルジュから予測の結果を踏まえた生活習慣の改善提案も受けられます。生活習慣についてアドバイスを受け、それを実践することで、腎臓病などの各種疾病対策にもつながるでしょう。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
慢性腎不全のリスク、調べてみませんか?
*1:参考:一般社団法人日本腎臓学会「腎臓の病気について調べる」
*2:参考:一般社団法人日本腎臓学会「腎臓を守るために 腎臓病患者のための完全ガイド」[PDF]
*3:参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会「日本人の食事摂取基準(2020年版)」[PDF]
*4:参考:国土交通省「健康のため水を飲もう」推進運動」