糖尿病を患うと、心筋梗塞になるリスクが高まるという話を聞いたことはありませんか? 実は、糖尿病と心筋梗塞には深い関係があります。
本記事では、心筋梗塞が発症する仕組みや、糖尿病が心筋梗塞の発症リスクを高める理由を解説します。心筋梗塞の対策についても紹介するので、心臓の状態が気がかりな人はぜひ読んでみてください。
こんな人におすすめ
- 心臓の状態が気がかりで、心筋梗塞を不安に思っている人
- 糖尿病を患っており、心筋梗塞のリスクを知りたい人
- 自分や身近な人に気になる症状があるので詳しく調べたい人
心筋梗塞とは
心筋梗塞は、冠動脈(心臓に栄養分や酸素を送る動脈)が細くなって詰まり、心筋(心臓を動かす筋肉)に血液が流れなくなる病気です。激しい胸痛、呼吸困難、顔面蒼白、冷や汗、手足の冷え、ニトログリセリン(狭心症の人が発作時に使う薬)*1が効かない、といった症状が出ます。
心筋梗塞は、主に動脈硬化が原因で起こります。動脈硬化とは、糖尿病や高血圧などの要因で、血管が柔軟性を失い硬くなることです。
動脈硬化が進行すると、冠動脈の壁にプラーク(脂質のこぶ)が発生します。プラークが傷つくと、できた血栓が大きくなり冠動脈がふさがります。
その結果、血液が流れなくなり、心筋梗塞になるのです*2。
糖尿病が心筋梗塞のリスクを高める理由
糖尿病は、心筋梗塞の主な原因となる動脈硬化を引き起こします。そのため、糖尿病にかかると心筋梗塞のリスクが高まるといわれています。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリン(血糖を下げる働きをするホルモン)が十分に作用しなくなり、血糖値が高くなる病気です。糖尿病の管理が不十分だと、心臓の血管のプラークが増えたり、大きくなったりして、心筋梗塞に至る可能性が高くなります。
狭くなった血管を広げるカテーテル治療を行ったとしても、問題のある個所全てを治療できるとは限りません。糖尿病は心筋梗塞の発症だけでなく再発の要因にもなるため、注意が必要です。
心筋梗塞への対策
ここでは、心筋梗塞の予防を考える上で知っておきたい対策について紹介します。
糖尿病の治療をする
糖尿病によって引き起こされる合併症を防ぐためにも、まずは糖尿病の治療を行うことが大切です。
具体的には、食事療法や運動療法によって、血糖値をコントロールします。飲み薬や注射薬で薬物治療を行うこともあります。
それぞれ簡単に解説します。
食事療法
食事療法とは、体内に取り込まれる糖やエネルギーを、適正な量に調整することです。主食(米、パン、めんなど)、タンパク質を含むおかず(魚、大豆、卵、肉など)、野菜やきのこ、海藻類、乳製品、果物などを組み合わせて食べましょう。1日を通して、さまざまな食品を摂取すれば、バランスがよくなります。
適正なエネルギー量は人それぞれなので、医師と相談して決めましょう。
運動療法
運動して筋肉が増えれば、インスリンが効果を発揮しやすくなり、血糖値が改善されます。血糖値を下げるには、有酸素運動と筋力トレーニングが有効です*3。
薬物療法
糖尿病の薬には、飲み薬と注射薬があります*4。役割は以下の通りです。
飲み薬の役割 | インスリンの分泌や効きを良くする 食事で摂取した糖の分解・吸収を緩やかにする 糖の吸収や排泄を調整する |
注射薬の役割 | インスリンの分泌を促進する インスリンそのものを補う |
禁煙する
たばこの煙に含まれる有害化学物質には、血管を収縮させたり炎症反応を起こしたりする作用があり、動脈硬化や血栓の形成につながります。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞のリスクが高まります*5。
禁煙のきっかけとして、喫煙したくなったら水を飲む、顔を洗う、歯磨きをする、といった行動を取り、気を紛らわせましょう*6。
飲酒や塩分摂取を控える
過度な飲酒や塩分摂取は血圧を上げる要因となり、動脈硬化を引き起こしやすくなります*7。
飲酒をすると、塩分の多いおつまみを食べたくなるので注意しましょう。塩分は1日8g未満、高血圧のある方は6g未満が目安です。漬物や梅干しを減らす、ラーメンやうどんの汁を飲まない、といった工夫が有効です*8。
減塩を意識した食事作りについては、下記の記事も参考にしてみてください。
👉加藤綾菜による加藤茶の健康改善策がすごい - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
ストレスを溜めない
ストレスは、心筋梗塞の原因として大きく関わっていることが明らかになっています*9。
ストレス解消には、適度な運動がおすすめです。運動は、ストレス軽減になるだけでなく、生活習慣病などの改善にも効果的と考えられています。ウォーキングなどの軽い運動から始めてみましょう。
定期的に検査をする
既に病院にかかっている場合は、体の調子が安定しているからといって、自己判断で通院をやめてはいけません。自覚症状がない、一時的に血糖値やグリコヘモグロビン値(HbA1c)※1が正常に戻った、などのケースでも、医師の判断を仰ぐことが重要です。
※1 赤血球が血管の中を循環し、赤血球とグルコースが結合する糖化を利用して検査する値。約1〜2カ月前から現在までの平均的な血糖値を知る指標となる*10。
入浴時には長湯をしない
入浴時の急激な血圧の変化や脱水は、心臓に負担をかけ、心筋梗塞のきっかけになることがあります*11。
そのため、入浴は10分程度が目安となります。冬場は、風呂場と脱衣場の温度差を少なくするために、脱衣場を暖めておくなどの工夫をしましょう。
糖尿病が原因で心筋梗塞にならないために
糖尿病は動脈硬化を引き起こしやすく、心筋梗塞のリスクを高めます。心筋梗塞になると、心筋に血液が流れなくなり、激しい胸痛や呼吸困難といった症状が現れます。適度な運動や禁煙を心がけ、糖尿病から心筋梗塞へとつながらないよう対策を講じましょう。
既に糖尿病を患っている人は、まずは適切な治療を受けることが大切です。自己判断で治療を中断してはいけません。定期的に医師の診断を仰ぎましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド
フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、4年以内の心筋梗塞・脳卒中をはじめとした重大な疾病の将来の発症リスクを予測することができます。また、「糖尿病の原因となる要素を持っているか」の基準の一つである「耐糖能」の値も分かります。
加えて、保健師の資格を持つコンシェルジュから予測の結果を踏まえた生活習慣改善のアドバイスを受けることも可能です。その提案を実践し生活習慣が改善されれば、心筋梗塞・脳卒中などの各種疾病リスクへの対策にもつながるでしょう。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
心筋梗塞のリスク、調べてみませんか?
*1:参考:公益財団法人 心臓血管研究所 附属病院「狭心症の薬の原料はダイナマイトと同じ?ニトログリセリンの特徴と作用について」
*2:参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「狭心症・心筋梗塞などの心臓病(虚血性心疾患)」
*3:参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「糖尿病を改善するための運動」
*4:参考:国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター「糖尿病の治療ってどんなものがあるの?」
*5:参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「喫煙と循環器疾患」
*6:参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》」
*7:参考:公益財団法人 宮崎県健康づくり協会「からだに優しいお酒の付き合い方」[PDF]
*9:参考:厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト e-ヘルスネット「心筋梗塞発症の危険因子」
*10:参考:東邦大学医療センター大森病院 臨床検査部「あなたの生活習慣はヘモグロビンA1cとグリコアルブミンが知っている!」
*11:参考:公益財団法人 心臓血管研究所 附属病院「心臓にやさしい入浴の仕方は?」