家族が心筋梗塞を発症した場合、遺伝的なリスクについて気になるケースも少なくないでしょう。自分や他の家族も発症するのではないかと、不安に思うかもしれません。
本記事では、心筋梗塞には遺伝性があるのかについて解説。さらには心筋梗塞の原因となる生活習慣病とその遺伝性についてや、発症リスクを下げるためにできる対策方法についても紹介します。
こんな人におすすめ
- 身内が心筋梗塞を発症し、遺伝的要素が気になる人
- 自分が心筋梗塞を発症し、子どもに遺伝しないか心配な人
- 心筋梗塞の発症リスクを知りたい人
心筋梗塞は遺伝する?
心筋梗塞の発症には、本人の生活習慣などの環境要因が影響していると考えられています。心筋梗塞自体の遺伝性は現時点でははっきりと認められていませんが、研究は進められています。
例えば疫学研究により心筋梗塞・冠動脈疾患の発症には遺伝因子が40~50%関与しているという研究結果があるほか、2017年の三重大学先端科学研究支援センターなどの共同研究では、心筋梗塞の発症に強く関連する遺伝子が発見されたという報告も*1。今後さらに研究が進むことで、新たな治療法の開発などに応用できる可能性もあるとのことです。
心筋梗塞を引き起こしやすい疾患
心筋梗塞の原因は冠動脈の動脈硬化です。動脈硬化とは動脈が硬くなって弾力性が失われた状態で、血管壁にプラーク(コレステロールなどによってできた粥状物質)が付着して血管内が狭くなり、血栓が生じるなどして血管が詰まりやすくなってしまいます。
「糖尿病」「高血圧症」「高尿酸血症」「脂質異常症」「肥満症」などが動脈硬化を引き起こす原因となるほか、このような生活習慣に起因する危険因子の一部には遺伝性の関与があると考えられています。心筋梗塞の対策には、生活習慣の見直しによって危険因子を十分に管理していくことが重要です。
心筋梗塞の治療方法
心筋梗塞発症後は、できる限り早く確実に治療を開始することが重要です。
心筋梗塞を強く疑う症状が見られる場合や心筋梗塞と診断された場合は、冠動脈を広げたり血栓の形成を防いだりするための「薬物治療」のほか、冠動脈内の閉塞している部位を膨らませて拡張する「カテーテル治療」、カテーテル治療が困難な場合に閉塞した冠動脈に迂回路(バイパス)を作る「バイパス手術」などが行われます*2。
心筋梗塞の対策方法
心筋梗塞の原因となる動脈硬化には生活習慣が大きく関わるため、対策方法としては生活習慣の改善が大切です。
- バランスの良い食事
- 塩分・脂肪分を控えめにする
- ごはんなどの炭水化物や、甘いものを取り過ぎない
- タンパク質は肉よりも魚から取る(魚に含まれるDHAやEPAには、中性脂肪を減らし、血栓をできにくくする効果が期待できる)
- 野菜類や海藻類、大豆製品などからミネラルやビタミンを摂る
- 適度な運動
- ゆっくりとしたジョギング、自転車などの軽い運動を習慣化する
- エスカレーターやエレベーターを使わず、階段で上がる
- たばこをやめる*3
- たばこの煙に含まれるニコチンや一酸化炭素などの有害物質は動脈硬化や血栓の形成につながりやすいため、禁煙をする
心筋梗塞の原因には遺伝性があるが、対策は可能
遺伝的に心筋梗塞の危険因子を持ちやすい場合でも、生活習慣の見直しによって、対策できる可能性があります。不安がある場合は医師にも相談しながら、対策を進めていきましょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド
フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、4年以内の心筋梗塞・脳卒中をはじめとした重大な疾病の将来の発症リスクを予測することができます。
加えて、保健師の資格を持つコンシェルジュから予測の結果を踏まえた生活習慣改善のアドバイスを受けることも可能です。その提案を実践し生活習慣が改善されれば、心筋梗塞・脳卒中などの各種疾病リスクへの対策にもつながるでしょう。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
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