心筋梗塞の症状として、胸の強い痛みが長時間続くことが挙げられます。
本記事では、心筋梗塞が疑われる痛みがどのようなものか、また痛む部位がどこなのかについて解説します。
狭心症との違いや原因、検査方法についても載せていますので、ご活用ください。
こんな人におすすめ
- 自身や家族に気になる胸の痛みがあって、心筋梗塞なのか知りたい
- 心筋梗塞と狭心症の違いを知りたい
心筋梗塞は心筋が壊死する病気
心筋梗塞は、心臓の血管が詰まって心筋に血液が届かず、酸素と栄養が不足して壊死する病気です。がんや脳卒中と並んで3大死亡原因の一つとされるほど、よく見られる病気で、日本人の死因の第2位となっています*1。
発症しやすい年齢は、男性では30代後半〜40代から増加し、60代がピーク、女性は閉経後に増加し、70代がピークといわれています*2。
心臓全体に血液や酸素を運んでいる冠動脈と呼ばれる血管の内側にコレステロールなどが沈着し、さらに血管にたまったコレステロールを排除しようとして免疫細胞や他の細胞が入り込み、プラークと呼ばれるこぶ(粥腫)ができます。すると冠動脈がふさがり、血液の流れが悪くなります。やがてプラークが破裂して血栓ができると、血管が詰まってしまいます*3。
血管が詰まると心筋は酸素不足となり、心筋細胞が壊死を起こします。一度壊死した心筋細胞は元には戻らないので、迅速な処置が必要です。
冠動脈は3本あり、詰まる本数が多ければ多いほど重篤な状態になります。また、本数は少なくても危険な不整脈など命にかかわる病気を引き起こすこともあります。
狭心症との違い
心筋梗塞と似た病気に狭心症があります。心筋梗塞は、冠動脈が完全にふさがり血流がなくなった状態ですが、狭心症は冠動脈が狭くなったものの少なからず血流がある状態という違いがあります。
どちらも締め付けられるような胸の痛みがありますが、狭心症の痛みは1~5分程度、長くても15分以内でおさまる一時的なもので、心筋梗塞の痛みは20分以上と長い時間続きます。また、心筋梗塞の場合は安静にしても薬を飲んでも治まらないのが特徴です*4。
また、狭心症は心筋梗塞の前触れとして起こることもあるので、発作が起こったら、まずは医療機関で受診しましょう。
心筋梗塞が疑われる痛みの種類と痛む部位
心筋梗塞が疑われる痛みには、締め付けられるような激しい胸の痛みが挙げられます。焼いた火箸で刺されたような痛みや石で胸をつぶされるような痛みと表現されることもあります。痛みは20分以上続くのが特徴です。このような痛みが続く場合、速やかに医療機関で受診しましょう。
人によっては前胸部や心臓付近といった胸に近い部分だけでなく、左肩・首・下顎・喉・頬・みぞおちなどにも痛みを伴うことがあります。
さらに、痛みのほかに冷や汗や吐き気、息切れ、不安感、めまいなどの症状が伴うこともあります。
数時間経って痛みがなくなった場合は、症状がよくなったのではなく、壊死が始まり痛みの感覚がなくなったことを意味します。壊死した細胞は回復しないため、心筋梗塞は早急な処置が必要なのです。
一方、重度の冠動脈狭窄(冠動脈が狭くなっている状態)があるものの、全く痛みの症状が出ない、無症候性心筋虚血(Silent Myocardial Ischemia)と呼ばれる病気の人もいるため注意が必要です。
心筋梗塞の原因
心筋梗塞の原因の多くは、冠動脈の動脈硬化です。動脈硬化は、動脈の内側にコレステロールがたまり、血管が詰まったり固くなったりする現象で、加齢や高血圧、糖尿病、脂質の過剰摂取などによって起こりやすくなります*5。
動脈硬化になる原因は生活習慣の乱れ
動脈硬化を引き起こす原因としては、生活習慣の乱れが考えられます。生活習慣の乱れがもたらすリスクには次のようなものが挙げられます。
- 高血圧
- 肥満
- 高脂血症
- 糖尿病
- 高尿酸血症
- 喫煙
- ストレス
特に、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙は4大冠危険因子とされています。そのほか、家族歴や加齢、気候なども心筋梗塞を引き起こすリスクとして挙げられます*6。
心筋梗塞の検査方法
心筋梗塞の検査方法にはさまざまなものがありますが、早急な治療が必要になるため、検査も迅速に行われます。心筋梗塞の主な検査方法について解説します。
血液検査
血液検査で、心筋のダメージの程度を評価します。治療後も経過を評価するために繰り返し実施されます。
心筋梗塞が起こると、心筋細胞から以下のような酵素が検出されます。これらの数値を総合的に見て、発症からの経過時間や進行の度合いなどを推定します。
- クレアチンフォスフォキナーゼ(CPK)
- CK-MB
- トロポニン
- 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
心電図
心電図は、患者の胸に電極をつけて心臓の電気的な動きを波型のグラフとして記録する検査です。
心筋梗塞が起こると、特徴的な波型の心電図となり、壊死が起こっている場所や範囲を特定しやすくなります。
心臓超音波検査
超音波検査は、超音波で心臓の動きや機能を調査する検査です。
心臓の動きを観察することで、どの冠動脈が閉塞しているかが予測できます。ベッドに横になりながらなど体に負担をかけずに検査できるため、救急搬送時にも行われています。
冠動脈造影検査
冠動脈造影検査は、局所麻酔をしてから手首や肘、大腿の付根の動脈から細い管を入れ、冠動脈まで到達させ、造影剤を注入して冠動脈の状態を調べる検査です。撮影した画像から、冠動脈のどの部分が閉塞しているか、どの程度詰まっているかなどを把握できます。
心筋梗塞が疑われたらすぐに病院へ
心筋梗塞は、心臓の心筋に血液が届かず、酸素不足になって壊死する病気です。痛みがすぐに治まる狭心症とは異なり、心筋梗塞は強い胸の痛みが20分以上続きます。
心筋梗塞の主な原因は、生活習慣の乱れによる動脈硬化です。心筋梗塞の対策には、動脈硬化を起こさないよう生活習慣を改善し、高血圧、高脂血症、糖尿病、喫煙といったリスクを低減することが大切です。
強い胸の痛みが持続する場合は(特に上記リスクがある方)、速やかに医療機関で受診しましょう。医療機関を受診すべきか、救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合はかかりつけの病院や「救急安心センター事業(♯7119)」に電話し、症状や状況を伝えて判断をあおぐのがいいでしょう。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド
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さらに、保健師の資格を持つコンシェルジュから予測の結果を踏まえた生活習慣改善のアドバイスを受けることも可能です。その提案を実践し生活習慣が改善されれば、心筋梗塞・脳卒中などの各種疾病リスクへの対策にもつながるでしょう。自分に合った対策方法が分からない場合は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
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