狭心症の予防方法は?原因や治療法も紹介

狭心症の予防方法は? 原因や治療法も紹介

狭心症とは、心臓の筋肉に血液を送っている血管である「冠動脈」(冠状動脈)が詰まりかけたり細くなったりして、血液の流れが悪くなった状態のことをいいます。本記事では、狭心症の予防を考える上で知っておきたい対策方法を中心に、原因や治療法を併せて解説します。

(監修者)臼井亮介 先生

株式会社レノプロテクト 代表取締役

医師、医学博士。日本内科学会や日本腎臓学会の専門医・指導医などの資格を持つ。基幹病院で腎臓病診療に取り組む過程で、「腎臓外来にたどり着かないようにする・たどり着くまでの時間を延ばすためのサポート」への思いが募り、医師20年目の2022年に株式会社レノプロテクトを設立、代表取締役に就任する。慢性腎臓病は健康寿命を縮める大血管症(心筋梗塞や脳梗塞)の重要なリスクファクターであり、大血管症予防の観点からも腎臓について知ってほしいと講演活動等を行っている。日本内科学会・日本腎臓学会・日本透析医学会・日本糖尿病学会に所属。

こんな人におすすめ

  • 狭心症の対策方法について知りたい人
  • 狭心症という言葉を耳にし、どんな病気なのか不安に感じている人

狭心症とは、冠動脈の血液の流れが悪い状態

狭心症とは、心臓の筋肉「心筋」に血液を送る役割をしている冠動脈が詰まりかけたり細くなったりして、血液の流れが悪くなった状態を指します。心筋に送り込まれる血液が不足すると、心筋に必要な酸素が不足し、胸部に痛みや苦しさが生じます。

狭心症には大きく3つに分類されます*1

  • 労作性狭心症
  • 安静時狭心症(冠攣縮性狭心症(かんれんしゅくせいきょうしんしょう))
  • 不安定狭心症

狭心症とよく似た病気に心筋梗塞がありますが、心筋梗塞は継続して発作が起きるのに対し、狭心症は一過性です。狭心症を繰り返すと心筋梗塞に至るため、再発や心筋梗塞を防ぐためにも、発症した段階で対処することが重要です*2

狭心症の原因と治療法

狭心症が起きる原因と、その治療法について見ていきましょう。

狭心症の原因

狭心症の原因の多くは動脈硬化です。動脈硬化は、動脈の血管の弾力が失われて硬くなった状態のことをいいます。動脈硬化の発症リスクを高める危険因子には、以下のようなものがあります*3

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 高脂血症
  • 肥満
  • 喫煙
  • 運動不足
  • ストレス

いずれも生活習慣が大きく関わるため、動脈硬化の予防法を意識して生活することは、狭心症の対策につながります。

狭心症の治療法

狭心症の治療方法は、薬物治療、カテーテル治療(PCI)、冠動脈バイパス術(CABG)の3つに大きく分けられます*4

薬物治療は、発作が起きた際に舌下(舌の下に含んで溶かす)またはスプレーでニトログリセリンを服用します*5。症状がなく安定している場合は、血液をサラサラにする薬や、高脂血症、糖尿病、高血圧症の治療薬を併せて内服します*6

薬物治療だけでは症状が改善しない場合や、冠動脈の狭窄が強い場合、カテーテル治療や冠動脈バイパス術が検討されます。カテーテル治療は、手首にある橈骨動脈や足の付け根になる大腿動脈からカテーテルを挿入し、血管の中から冠動脈を治療する方法です*7。冠動脈バイパス術は、狭くなったり詰まったりした冠動脈の先に迂回路(バイパス)を作り、心筋の血管障害を改善する治療法です。

狭心症になる前に講じる対策は

狭心症を引き起こす原因となる動脈硬化の対策として、生活習慣の改善が大事になってきます。先述の通り、動脈硬化にはいくつかの危険因子が存在します。その中でも特に講じておきたい対策として、食事や運動、ストレス、禁煙について解説します。

バランスの良い食事を心がける

食事の内容の偏りや暴飲暴食は、肥満につながり、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の原因となりかねません。バランスの良い食事を心がけることが大切です。

また、以下の点に注意しましょう*8

・塩分、糖分、脂肪分を控える
・食物繊維を積極的に摂る
・1日3食、規則正しく食べる
・アルコールは適量を楽しむ(ビールは500ml、日本酒は1合など)*9

適度な運動を習慣づける

狭心症の対策には、会話ができる程度のウォーキングやスローペースのジョギングなどの運動が効果的です。1日30分程度の適度な運動を習慣づけ、週3〜4回程度行いましょう。運動には自律神経機能を改善させる効果もあります*10。運動後に疲労感が残る場合は、種類や時間、強度などを医師に確認してください。

ストレスを溜めない

ストレスを溜めると自律神経のバランスが乱れ、血圧が上がり、心拍数が増加して狭心症の発作が起こりやすくなります。休息や十分な睡眠を取るなど、ストレスを溜めない工夫をしましょう。過重なストレスがかかった状態になる前に、自分に適したストレス発散の方法を知っておくのも効果的です*11

禁煙する

喫煙でニコチンを摂取すると、交感神経が刺激され、血管を強力に収縮させて全身の血液の流れが悪くなります。また、心拍数と血圧の上昇により、心臓や血管の負担が増加します。喫煙期間が長い場合でも、禁煙を始めれば、その日から血圧上昇や動脈硬化につながるリスクを減らすことができます*12

生活習慣を改善して狭心症の予防につなげよう

狭心症は、心筋に血液を送る冠動脈の血液の流れが悪くなった状態で、その原因の多くは動脈硬化です。動脈硬化の対策は狭心症の対策にもつながります。バランスの良い食事、適度な運動、ストレスを溜めない工夫、禁煙などを日々実践し、生活習慣を改善して狭心症の対策をしていきましょう。

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド


フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、4年以内の心筋梗塞・脳卒中をはじめとした重大な疾病の将来の発症リスクを予測することができます。さらに、保健師の資格を持つコンシェルジュから、予測の結果を踏まえた生活習慣の改善提案も受けられます。

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*1:参考:公益財団法人 日本心臓財団「狭心症 | 疾患別解説 | 心臓病の知識

*2:参考:公益財団法人 日本心臓財団「狭心症 | 疾患別解説 | 心臓病の知識

*3:参考:公益財団法人 心臓血管研究所付属病院「心臓病予防-危険因子を知り生活習慣を見直そう!

*4:参考:公益財団法人 心臓血管研究所付属病院「治療法には、どんなものがあるのですか?

*5:参考:日本製薬工業協会「形などを工夫することで、より使いやすくなったくすりはありますか。

*6:参考:公益財団法人 日本心臓財団「安定している虚血性心疾患の患者さんの治療に欠かせない薬物治療を教えてください

*7:参考:国立循環器病研究センター「低侵襲PCI(経皮的冠動脈インターベンション)について

*8:参考:国立循環器病研究センター「食事療法について

*9:参考:e-健康づくりネット(厚生労働省) 「あなたの飲酒量はどのくらいでしょうか?」[PDF]

*10:参考:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「心臓病の運動療法とは

*11:参考:公益財団法人 日本心臓財団「ストレスと心臓病」[PDF]

*12:参考:国立循環器病研究センター「喫煙