ハードなトレーニングも笑顔で指南!!パーソナルトレーナー永窪健太さんが支持されるワケ


運動をした方が良いことはわかっているけれど、いきなり大変なことはできないし、何から始めれば良いのかわからない……「そんな方は、まずは足踏みから始めると良いですよ」とはちきれんばかりの笑顔で教えてくれたのはパーソナルトレーナーの永窪健太さん。

永窪さんは大手スポーツクラブの社員を経て、現在はご自身でパーソナルトレーニングジム「FUNRISE」を開設し、指導を行っています。永窪さんのレッスンは楽しみながらモチベーションも維持することができると、学生からお年寄りまで、幅広い世代に人気です。今回は永窪さんが日々トレーナーとして心がけていること、そしておすすめの健康改善グッズなどについてもお聞きしました。

永窪健太さん

永窪健太さん

1984年12月18日、宮城県仙台市出身。パーソナルトレーナー。中・高・大と10年間ハンドボール競技に熱を注ぐ。スポーツクラブ業界大手セントラルスポーツにて8年間のキャリアを経て独立。現在は横浜市南区にてエクササイズスタジオ「FUNRISE」を運営。慶應義塾大学SFCの体育非常勤講師も務める。座右の銘は「意志あれば道あり」。

動くのが嫌いな少年が、ハンドボールとの出会いでスポーツマンに

──現在の永窪さんはどこから見ても「運動神経抜群のスポーツマン」のようですが、子供のころから運動が好きだったのですか?

永窪健太さん(以下、永窪):子供の頃は全然ですね。食べるのが大好きで、動くことは嫌いでした(笑)。だから小学校4年生からどんどん太り始めて。大好きなポテトチップスをいつも1人で1袋食べていましたね。小学校の卒業アルバムは顔もパンパンです。

運動が好きになった大きな転換点は中学校の部活で出会ったハンドボールです。体験入部で先輩に「ゴールキーパーやってみてよ」と言われ、ルールも何もわからないままゴールに立たされてシュートを打たれました。それで正面のシュートを2,3本止めたら、先輩が「センスあるよ!」と凄く褒めてくれたんです。そのまま半ば騙される形でハンドボール部にゴールキーパーとして入部しました。練習がハードで良く走る部活だったので必然的に足が速くなり、春先に行われた2km走で陸上部に勝っちゃったんです。その結果、駅伝部に駆り出されて練習参加したりして、中学1年生の夏にはもう別人のように痩せていましたね。なかなかハードな生活でしたけど、「体動かすのって楽しいな」と気付いたのはその頃ですね。

──それから永窪さんにとって運動はずっと「楽しい」ものですか?

永窪:いえ、苦しいこともありましたね。おかげさまで中学は県大会で2位、中学3年生時に宮城県選抜にも選ばれ、スポーツ推薦で高校へ行ったのですが、そこの練習がまさに「人生の地獄」でしたね。何回「もう辞めたい」と思ったか(笑)。一番キツかったのは夏休みの対外試合ですね。関東や東北から30校くらいチームが集まって練習試合をするんです。1本25分の試合を15試合位やるんですが、ようやく最後の試合だと思ったら顧問が「この試合負けたら別の学校にお願いしてもう1試合やるぞ。」と。結局勝てなくて、ラスト1試合を6回やりました。めちゃくちゃしんどかったですね。終わった後の晩御飯がハンバーグカレー。全然食べられませんでした。でも、これでかなり体力はつきましたし、団結力や精神力が向上しました。「ここで勝てないと終われないぞ」という。

──大変なご経験をされていますね…でも、お話を聞いていると「大きな挫折」はなさそうですね。

永窪:いえ、そんなことはないです。高校・大学の最終学年では自分よりも背が高くて、上手なゴールキーパーが入ってきたことでスタメンから外されてしまったんです。努力はしたものの実力が伴わなくて、とても悔しい思いをしました。そうした経験も今の自分を突き動かす原動力の1つになっていると思います。仕事で大変なことがあったり、ボディメイクの大会出場に向けて減量がきつい時も「あの時のような悔しさを味わいたくないから頑張ろう」と思えます。また、こうした挫折経験によって人の痛みが分かるようになったことは、今のトレーナーの仕事にも活きているように思えますね。

「グループレッスン」でトレーナーの楽しさに目覚める

──トレーナーという進路に進んだのはどのような経緯だったのでしょうか。

永窪:大学までずっとハンドボール一本でやってきて、将来を考えた時に、「ハンドボールにはプロチームがないから食べていくのは難しいな……」と悩みました。そこで、教員免許を取ることにして、大学4年生の時に母校に教育実習に行きました。それと並行してスポーツクラブのアルバイトもやっていたのですが、そちらの方が楽しくなってしまって。

最初はマシンの清掃しか担当していなかったのが徐々に出来ることが増えていって、教育実習が終わる頃にはスタジオでレッスンを持つようになっていました。音楽に合わせて筋力トレーニングをしたりシャドウボクシングをしたり、実際に生徒さんと向き合って指導も担当できるようになったのが新鮮で嬉しかったんです。グループレッスンでは自分なりに生徒さんが楽しめるような工夫をこらして「レッスン中1回でもいいから笑わせてやろう!」なんて思いながら無駄に歌ってみたりして。そうしたら生徒さんが笑ってくれたり、次のレッスンでは人が増えていたりして、そんなところに快感とやりがいを感じていましたね。そこで教員ではなく、スポーツクラブの社員の道を選びました。


──その後、8年ほど勤務された後にスポーツクラブを退職し、独立したのですよね。

永窪:はい。5年目には主任クラスに昇格したのですが、昇格するとお客様に直接指導する機会は減ってしまうんです。ずっとデスクワークで、入会者数を増やすためにはどんな戦略が良いか考えたり、スタッフのシフトを管理したり。そんな業務ばかり担当しているうちにストレスと運動不足で徐々に太ってきてしまったんです。自分はお客様を健康にするためにスポーツクラブに入社したのに、お客様だけでなく自分自信も健康じゃなくなってしまっているな、と。

そんなモヤモヤがあった頃、「社員は全員、パーソナルの資格を取るように」という指示がありました。かなり太っていたこともあり、当時は「筋トレなんかめんどくさい」とまで思っていたのですが、渋々週に1日のパーソナル養成講座を受講することに。ところが養成講座を受講するうちに自分の身体がどんどん変わっていって、やっぱり筋トレはおもしろいなと改めて実感したんです。資格取得後はお客様に対してパーソナルトレーニングの指導も担当するようになったのですが、スポーツクラブの社員だとどうしても担当できるお客様の数が限られていました。もっと多くの人と関わることができないかな、と葛藤を感じていた時に妻から「独立したら?」と言われて。31歳の時に独立を決意しました。

最初は社員として勤務していたスポーツクラブで「グループレッスン1本でいくら」という契約で複数の店舗を担当していました。独立したばかりの社員と契約してくれるなんて、なんて懐が深い会社なんだろうと思いましたね。その後、ありがたいことにパーソナルのお客様がたくさんついてくださって、パーソナルトレーナーとしての技術も向上してきた頃、物件に空きが見つかったのでFUNRISEをオープンしました。

自分も大会を目指すことでお客様と同じ気持ちを持つことができる


──永窪さんはサマースタイルアワード2020横浜大会で優勝されていますが、大会にはなぜ出場しようと考えたのでしょうか。

永窪:永窪:独立後は自分自身にブランド力があった方がいいと思っていたのですが、ラーメンとお酒が好きなこともあり、当時はキューピーみたいな体型で(笑)。そんな体型でパーソナルトレーナーを名乗っても説得力がないのではないかと悩んでいました。その頃、私とほぼ同時に独立した友人がボディメイクの大会に出て、体がめっちゃバキバキになって優勝していて。そんな姿を目の当たりにして自分もチャレンジしてみようと考えたのがきっかけです。

最初の大会では15キロ痩せることができたものの、見た目はガリガリで予選落ち。それが悔しくて、より一層食事のことなども含め身体づくりについて勉強するようになりました。努力の甲斐あって2020年に初めて入賞することができたのですが、徐々に自分の身体も説得力のあるビジュアルになって、お客様からも褒めて頂けるようになりましたね。

パーソナルトレーナーとしても良い効果がありました。自分も実際に大会を目指して身体づくりを行うことで、お客様のダイエット中の辛さと同じ気持ちを共有できるのです。同じ辛さを体験しているからこそ、リアルなアドバイスができるようになりましたね。たとえば「1週間で1日3食×7日間で21食のうち20食頑張ったら、1食は好きなもの食べても大丈夫ですよ」とお伝えしています。「その1食のために今日は有酸素運動をちょっと頑張ってみましょう」といったプランも取り入れるなどして、ダイエット中のモチベーションを保つことも大切だと考えているからです。そう思えるようになったのも、自分が大会を目指して自分の体で実践するようになったからこそ。だから、今後も1年に1回は大会を目指していこうと考えています。

──パーソナルトレーナーとしてやりがいを感じる時はどのような時でしょうか。

永窪:毎日ですね!トレーニングが終わった時、お客様に「お疲れ様でした」って言うと、お客様は「ありがとうございました」って言ってくれるんですが、いつも「ありがとうございましたを言いたいのは私のほうだよ!」と思っています。実際そういう風にお伝えすることもあるんですけど。

ほかにも「ダイエットを達成できたのは永窪さんのおかげです!」と言って頂けることもあるのですが、努力をしたのはお客様のほうで私はそれをアドバイスしただけ。アドバイスするのは私の仕事なので当たり前のことだと思っています。言葉よりも、お客様がどんどん変わっていく姿を見るのが本当に嬉しいし、お客様が目指している体型に近づけたのは私のアドバイスとトレーニングが合っていたんだな、とやりがいを感じますね。

──永窪さんのパーソナルトレーナーとしての強みは何だと考えていますか?

永窪:幅広い世代の方を担当していることだと思います。どうしてもパーソナルトレーナーという存在は「指導者」という感覚を持たれがちで、お客様も「教えてください」という姿勢になってしまいます。でも私は常に同じ目線で、お客様と一緒に伴走する存在でいたいと考えています。

年代で言うと、50~60代の方からも好評を頂くことが多いですね。もともと田舎の出身で、親戚のおじいちゃんおばあちゃんと接する機会が多かったからか、その世代の方とコミュニケーションを取ることが好きなんです。

以前スポーツクラブで水中エアロビクスのレッスンを担当したことがあったのですが、通常30~40人程度のクラスに100人ぐらい60代の生徒さんが集まってきてくれて。みんなすごく楽しそうに身体を動かしてくださった結果、レッスン終了後にはプールの水が半分近く減ってしまったということがありました(笑)。スポーツクラブ側からは「お前のせいで水道代が大変なことになった!」って怒られちゃったんですけど。

トレーニングで効果を上げてもらうために「笑顔できついことを」

──それだけ愛されているということですね!レッスンで心がけていることはありますか?

永窪:パーソナルトレーナーを始めたばかりの頃は、お客様が「きつい!」とおっしゃったら「今日はもうやらなくていいですよ」なんて言っちゃってたんです。でもそれでは全然効果が出なくて。もしかして接し方が間違っていたのかなと、自分のキャラクターを変えた瞬間がありました。

どう変えたかと言うと、きついトレーニングはお客様にしっかりやり切ってもらう。でも真剣な顔じゃなくて、笑顔で言うんです。「きついかもしれませんが、あと5回頑張りましょう!(笑顔)」という感じで。どうしてもパーソナルトレーニングなので時にはきついことも頑張らなければ効果は出ません。お客様も目指す目標を達成できないとわざわざお金を払っている意味がないわけです。でも、きついことを真顔で言ったら「この人めちゃめちゃ怖い」って思われてしまいますから、笑顔で言ってみようと思って。するとお客様も「もうやだー(笑)」とか言いながら頑張ってくれるんですね。そして結果が出る。「笑顔できついことをやらせる」は今の私のコミュニケーション手法の1つかもしれません。

もう1つは、絶対にネガティブなことは言わないこと。お客様が指示したトレーニングができなかったとしても「できていませんね」ではなく「伸びしろしかないですね」とお伝えします。できないのが当たり前で、だからパーソナルトレーニングに来ていただいてるわけですから。体重が増えてしまった場合も、「今週増えたなら来週は下がりますよ、頑張りましょう」とお伝えして、よりモチベーションが維持できるように意識しています。

永窪さんのパーソナルトレーニングの風景
永窪さんのパーソナルトレーニングの風景

パーソナルトレーナー推薦。自宅でできて効果的な”簡単トレーニング”

──パーソナルトレーニングにはなかなか通えないけれど、自宅でなにか健康に良いことをしたいという読者の方におすすめの健康グッズはありますか?

永窪:筋膜リリースの効果がある「ストレッチポール」です。ふくらはぎを乗せてコロコロするだけで筋膜がほぐれます。筋膜というのは筋肉を覆っている膜のことで頭のてっぺんから足の先まで1枚でつながっているのですが、固まってしまうと中にある筋肉も伸び縮みできなくなってしまって全体のバランスが崩れ、身体に様々な不調をもたらします。そのため日々ほぐしてあげることが大切なのですが、「ストレッチポール」はテレビなどを見ながらでもできるので、「トレーニングをしよう」とわざわざ時間をとらなくてもいいので取り組みやすいと思いますよ。

ストレッチポールの使い方を指南する永窪さん
パーソナルトレーナー永窪健太さん

──道具を使わずに自宅でできるおすすめのトレーニング方法はありますか?

永窪:「足踏み」です。ただなんとなく足踏みをするのではなく、腸腰筋(上半身と下半身をつなぐ筋肉)を使うことを意識して行うと効果があります。上半身をうごかさないように背筋を伸ばして、太ももをおへそまで上げるようにして足踏みをしてみてください。上半身がブレないように意識して行うことでつまずき防止にもなりますし、将来足が上がらなくなってしまうことも防げますよ。

──本日はありがとうございました!

足踏みのやり方をレクチャーする永窪さん
足踏みのやり方をレクチャーする永窪さん

取材・構成・編集・撮影:lala a live編集部

永窪さんが健康コンテンツを担当中!【フォーネスビジュアス】