脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりして細胞が死んでしまう病気です。本記事では、脳卒中のタイプや死亡率、日頃からできる脳卒中の対策方法について解説します。
また脳卒中は発症してからの早めの処置が、死亡率や後遺症に関わります。症状がある場合はすぐに医師の診断を受けるようにしましょう。
こんな人におすすめ
- 脳卒中のリスクが高いと言われてしまった、もしくは周囲にそのような人がいて、発症してしまったときの死亡率を知りたい人
- 万が一発症してしまったらどうすればよいのか、予防のためにできることは何か知りたい人
脳卒中とは
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりしてその先に栄養が行き届かなくなり、脳細胞が死んでしまう病気です。脳卒中は以下のように、血管が詰まるタイプと血管が破れるタイプの2つに分けられます。
- 血管が詰まるタイプ:脳梗塞
- 血管が破れるタイプ:脳出血・くも膜下出血
「脳梗塞」は、脳卒中の中でも過半数を占める病気で、発症すると半身麻痺などの症状が出ます。血管の詰まり方によってさらに「ラクナ梗塞」と「アテローム血栓性脳梗塞」、「心原性脳梗塞」に分類されます*1。
これら3つの違いについては、下記の記事で詳しく解説しています。
👉脳梗塞の原因は?日常生活で意識できる予防のヒントについても解説 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ
脳内出血とも呼ばれる「脳出血」は、脳内の細い動脈が破れて出血する病気です。突然発症し、半身の運動麻痺や感覚障害といった症状が出ます*2。
「くも膜下出血」は、脳の外側にある血管が破れ、脳と、脳を覆う組織であるくも膜下のすき間に出血する病気です。症状はさまざまで、頭痛や吐き気などの軽度なものから意識障害や心肺停止といった重度のものまであります。
くも膜下出血の死亡率は5割以上ともいわれ、助かったとしても再出血を起こす場合も多く、早期発見と早期治療が重要な病気です。
脳卒中の死亡率
死亡率とは、ある年に「その病気が原因で死亡した人がどのくらいいるか」を示した割合です*3。脳梗塞と脳内出血、くも膜下出血それぞれの死亡率と、都道府県別の死亡率を見ていきましょう。
病気ごとに見る死亡率
2022年(令和4年)の厚生労働省のデータによると、脳卒中を含む脳血管疾患の死亡数は107,481人で、死亡率は88.1です。死亡総数に占める割合は6.9%となっており、国内の死因としては4番目に多い病気です。病気ごとの死亡数と死亡率は、以下のとおりです。
病気 | 死亡数 | 死亡率 |
脳梗塞 | 59,363人 | 48.6 |
脳出血(脳内出血) | 33,483人 | 27.4 |
くも膜下出血 | 11,468人 | 9.4 |
脳卒中は、かつて日本人の死因で1番多い病気でした。現在4位なのは、患者数は多いものの緊急医療の充実や治療法の進歩により、亡くなる患者さんが少なくなったためと推測されます。
参考:厚生労働省「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況|第6表 性別に見た死因順位(第10位まで)別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合」|第7表 死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率(人工10万対)」
都道府県別での死亡率
都道府県別での死亡率は、都道府県の人口10万人あたりで死亡した人数の割合を示しています。2020年(令和2年)における脳血管疾患の年齢調整死亡率(年齢構成の異なる集団について、死亡状況の比較ができるように年齢構成を調整した死亡率)が高い都道府県、低い都道府県は、以下のとおりです。死亡率が高い都道府県 | 死亡率が低い都道府県 | |
男性 | 岩手や秋田、栃木など | 滋賀や奈良、大阪など |
女性 | 岩手や秋田、福島など | 大阪や奈良、京都など |
また脳内血管疾患の中で、脳梗塞の年齢調整死亡率が高い都道府県、低い都道府県は以下のとおりです。
死亡率が高い都道府県 | 死亡率が低い都道府県 | |
男性 | 岩手や青森、山形など | 滋賀や神奈川、大阪など |
女性 | 山形や岩手、福島など | 沖縄や京都、神奈川など |
参考:厚生労働省「令和2年都道府県別年齢調整死亡率の概況|4.主な死因の都道府県別年齢調整死亡率の推移」
都道府県によって死亡率が異なる理由は、医療施設へのアクセスや地域の年齢構成、食生活や運動週間をはじめとした生活習慣が異なるためです。
自身が住んでいる都道府県の死亡率はどのくらいなのかを知れば、「なぜ格差があるのか」「どの部分を重点的に取り組むべきなのか」を考えるきっかけになります。
また性別によって差が出る理由としては、ホルモンや基礎代謝量の違いなどが考えられます。
早めの処置が死亡率・後遺症に影響する
2022年(令和4年)の『「要介護者等」の性・年齢階級別構成割合』のデータ*4を見てみると、介護が必要となった主な原因の19.0%が脳血管疾患によるものです。脳卒中を発症した場合、後遺症で要介護となる人もいることが分かります。
脳梗塞は発症後、4〜5時間以内の患者にのみ処置できる治療も存在します。このような治療は早ければ早いほど効果があり、後遺症を軽くできる可能性があります。
脳卒中の主な症状には、以下のようなものがあります。
- 脳障害部の反対側の手足が上がらない(麻痺)
- ろれつが回らない
- ふらふらする
- 視野の一部が欠ける
- 激しい頭痛
- 吐き気
- 意識を失う
- 言葉が理解できない
- けいれん など
脳卒中の症状を知り、症状が現れた場合は直ちに医師の診察を受けるようにしてください*5。
日頃からできる脳卒中の対策方法
脳卒中の最大の危険因子は加齢と高血圧で、そのほかにも糖尿病や脂質異常症、不整脈、喫煙、飲酒などが挙げられます。脳卒中の対策は、この危険因子を減らすことが重要です。
- 高血圧や糖尿病などの病気の治療をする
- 禁煙をする
- 飲酒は適量にとどめる
- 塩分や糖分を控える
- 適度な運動をする など
脳卒中の対策方法をまとめたものに、公益社団法人日本脳卒中協会が作成した「脳卒中予防十か条」があります。脳卒中予防十か条は、脳卒中の主要危険因子に対しての注意を喚起し、予防を勧め、発症した場合の救急対応の必要性を謳ったものです。
危険因子に注意することで、脳卒中を起こすリスク低減が期待できます。日本脳卒中協会のサイトで公開されているので、ぜひ参考にしてください。
脳卒中は早めの処置が重要。日頃から対策を
脳卒中は脳の血管が詰まったり破れたりすることで脳内に十分な栄養が届かず、脳細胞が死んでしまう病気です。2022年時点の国内の死因で4番目に高い病気で、早めの処置が死亡率や後遺症に関わってきます。脳卒中の症状に気がついたら、可能な限り早めに病院で受診しましょう。
脳卒中の対策方法は、原因となる病気の治療や禁煙、過度な飲酒を避けるなど、生活習慣を改善することです。本記事で紹介した方法を参考に、日頃から実践することをおすすめします。
編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド
フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、4年以内の脳卒中・心筋梗塞をはじめとした重大な疾病の将来の発症リスクを予測することができます。脳卒中・心筋梗塞については、4年以内の再発リスクも知ることができます。
加えて、保健師の資格を持つコンシェルジュから予測の結果を踏まえた生活習慣改善のアドバイスを受けることも可能です。その提案を実践し生活習慣が改善されれば、脳卒中・心筋梗塞などの各種疾病リスクへの対策にもつながるでしょう。
※フォーネスビジュアス検査は、医療機関の医師を通じて提供します。
脳卒中・心筋梗塞のリスク、調べてみませんか?