脳卒中の再発率とは?再発防止の対策についても解説

脳卒中の再発率とは?再発防止の対策についても解説

脳卒中は、再発する可能性がある病気として知られています。それでも、本人の取り組み次第では再発を防止できる可能性があります。

本記事では、脳卒中の再発率と再発防止対策について解説します。生活習慣を見直して、脳卒中対策に努めましょう。

(監修者)臼井亮介 先生

株式会社レノプロテクト 代表取締役

医師、医学博士。日本内科学会や日本腎臓学会の専門医・指導医などの資格を持つ。基幹病院で腎臓病診療に取り組む過程で、「腎臓外来にたどり着かないようにする・たどり着くまでの時間を延ばすためのサポート」への思いが募り、医師20年目の2022年に株式会社レノプロテクトを設立、代表取締役に就任する。慢性腎臓病は健康寿命を縮める大血管症(心筋梗塞や脳梗塞)の重要なリスクファクターであり、大血管症予防の観点からも腎臓について知ってほしいと講演活動等を行っている。日本内科学会・日本腎臓学会・日本透析医学会・日本糖尿病学会に所属。

こんな人におすすめ

  • 自分または周囲の人が過去に脳卒中を起こしていて、今後の再発率について知りたい人
  • 脳卒中の再発を防止するにはどうしたらよいのか知りたい人

脳卒中の再発率

脳卒中の再発率とは?再発防止の対策についても解説

脳卒中の累積再発率(特定の時間における再発の発生率を表す指標)は、初回の発作後1年間で約12%。5年で35.3%、10年で51.3%となっており、再発率が高い傾向にあります。また脳卒中には、脳の血管が破れるくも膜下出血と脳出血、脳の血管が詰まる脳梗塞があり、それぞれの再発率は10年間で見ると、くも膜下出血70%、脳出血55.6%、脳梗塞49.7%です*1*2

そして脳卒中の中でも特に脳梗塞の場合は、再発すると新たな後遺症が起こりやすいことから、発作を繰り返すと後遺症が重くなっていく傾向があります。

脳卒中は再発しやすい病気ではありますが、服薬や生活習慣の改善によって再発リスクを低減させられる可能性があります。従って、日々の生活習慣を見直すことが大変重要です*3

脳卒中の再発を防止するための対策

脳卒中の再発率とは?再発防止の対策についても解説

脳卒中の発症や再発を防ぐために取り組む対策について紹介します。

高血圧・糖尿病の治療

高血圧や糖尿病を患っていると、脳卒中の再発リスクが高まります。

特に脳卒中の原因として多く挙げられるのが、高血圧です。そのため、発症・再発リスクの軽減のためには、血圧管理をはじめとした健康管理が欠かせません*4

血圧は、繰り返し測定した際に、診察室血圧で最高が140mmHg以上、もしくは最低が90mmHg以上だと高血圧症とされます*5。ただし、血圧は測るときの状況によって著しく変化するため、自宅で計測する際はなるべく同じ状態や方法で測定するように心がけ、可能であれば毎日かかさず測るようにしましょう。

また、医療機関受診時に医師に見せられるよう、記録を取っておくこともおすすめします。

血圧を下げる薬を服薬している場合は、医師の指示に従って服薬を続け、自己判断で調整や中止をしないように注意してください。

糖尿病に関しては、血糖値や過去1〜2カ月の平均血糖値を示す検査指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を目標値に維持できるよう定期的に検査を受けながら、服薬治療や生活習慣の見直しを行います*6

喫煙とアルコールを控える

喫煙すると、脳梗塞の発症リスクは初回・再発にかかわらず1.9倍、くも膜下出血は2.9倍に増えるとされています*7。そのため、脳卒中対策としては「たばこは吸わない」が原則となります。

もし、自力で禁煙するのが難しいと感じる場合は、禁煙外来の受診も検討しましょう。

アルコールは飲み過ぎると高血圧や糖尿病、動脈硬化といったさまざまな病気を誘発します。飲酒量は、肝臓に問題がない人で日本酒1合程度(ビールであれば中瓶1本)に留めておくのがよいでしょう。

食生活に注意する

脳卒中リスクを高めるとされる高血圧や糖尿病を防ぐためには、日々の食生活に留意することも必要です。

食生活を見直す際には、まず減塩を心がけましょう。塩分を取り過ぎると、血液中のナトリウム濃度が高くなり、体内のナトリウムと水分量を調整しようと血液量が増えて、高血圧につながります。

厚生労働省で推奨されている1日の塩分摂取量は、男性で7.5g未満、女性で6.5g未満です。ただし、高血圧を患っている人に関しては男女問わず6g未満の摂取が推奨されていますので、推奨量を超えないよう塩分の取り過ぎに気をつけましょう*8

減塩以外では、脂肪分を多く含む食品や炭水化物の摂取を控えることも有効です。また、野菜や果物、海藻類を積極的に摂取したり、脂肪分の少ない肉や青魚をバランス良く食事に取り入れたりするのもよいでしょう*9

適度に運動をする

脳卒中の発症・再発の対策としては、適度な運動も効果的です。また、運動は発症の対策だけでなく、発症後の重症リスク軽減や、回復の早期化などにもつながります*10。血糖値や高血圧の改善も期待できるため、糖尿病や高血圧の人にも有効です。

運動を始める際は、ウォーキングなどの軽い有酸素運動から行うようにしましょう*11

ただし、その人の体力や病歴によって適切な運動の種類や量は異なります。不安がある場合は運動を始める前に、主治医に相談しておきましょう*12

定期的に診察を受ける

脳卒中のリスクとなる高血圧や糖尿病、高脂血症などは自覚症状のないまま進行することが多いため、定期的に医療機関へ受診することを心がけましょう。

定期受診が脳卒中の再発予防や早期発見・治療につながります*13

脳卒中の再発を防ぐには生活習慣の見直しを

脳卒中の再発率とは?再発防止の対策についても解説

脳卒中は、10年間で見ると5割以上が再発する病気*14で、再発を繰り返すと後遺症も重くなり、寝たきりになる危険もあります。

再発を防ぐには、日々の生活習慣の見直しを始め、既往症の高血圧や糖尿病の治療に取り組むことが大切です。また自身でも取り組めることとして、特に禁煙や食生活の改善、運動、医療機関での定期受診を心がけましょう。

編集:はてな編集部
編集協力:株式会社イングクラウド


フォーネスライフが提供する疾病リスク予測サービス「フォーネスビジュアス」は、4年以内の脳卒中・心筋梗塞をはじめとした重大な疾病の将来の発症リスクを予測することができます。脳卒中・心筋梗塞については、4年以内の再発リスクも知ることができます。

加えて、保健師の資格を持つコンシェルジュから予測の結果を踏まえた生活習慣改善のアドバイスを受けることも可能です。その提案を実践し生活習慣が改善されれば、脳卒中・心筋梗塞などの各種疾病リスクへの対策にもつながるでしょう。

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*1:参考:Hata J. et al.「Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study.

*2:参考:厚生労働省「脳卒中の回復期・維持期の診療提供体制の考え方(案)

*3:参考:京都大学医学部附属病院 脳卒中療養支援センター「脳卒中の再発予防

*4:参考:厚生労働省 e-ヘルスネット「脳血管障害・脳卒中

*5:参考:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター病院「高血圧

*6:参考:島根県「生活習慣を改善して脳卒中を予防しましょう

*7:参考:厚生労働省「くまもと県 脳卒中ノート改定第2版

*8:参考:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター病院「減塩食について

*9:参考:新潟市「脳卒中予防の食事

*10:参考:京都大学医学部附属病院 脳卒中療養支援センター「脳卒中の再発予防

*11:参考:厚生労働省e-ヘルスネット「脳血管障害・脳卒中

*12:参考:厚生労働省「身体活動・運動を安全に行うためのポイント

*13:参考:厚生労働省「脳梗塞・くも膜下出血・心筋梗塞・不整脈など 実はそれ循環器病なんです

*14:参考:Hata J. et al.「Ten year recurrence after first ever stroke in a Japanese community: the Hisayama study.