プロテオーム解析受託サービス選定のヒント 網羅性と再現性に優れたSomaScan®の特徴

プロテオーム解析受託サービス選定のヒント 網羅性と再現性に優れたSomaScan®の特徴

プロテオーム解析の受託サービスが、昨今注目を集めています。

プロテオーム解析は医学研究を含めたさまざまな研究分野で画期的な成果につながる可能性を秘めているものの、自施設で解析を行うとなると設備投資や高度な専門知識が要求されます。

フォーネスライフでは、機器導入の必要なく利用できるタンパク質測定受託サービス「SomaScan®Assay」を提供しています。本記事では、その実績や受託サービスの特徴について解説します。

プロテオミクスとプロテオーム解析のトレンド

プロテオミクスは世界的にも大きな注目を浴びており、これまで治療が不可能だった疾患に対して画期的な治療法の開発に貢献する可能性があります。2025年においても、プロテオミクスに関するニュースが多くありました。

例えば、アルツハイマー病を含む神経変性疾患は2019年時点で世界で5700万人以上が罹患しており、今後20年ごとに倍増すると予測されています*1。しかし、進行性疾患であることに加えて病態が多様であることから疾患メカニズムの解明は遅れており、根本的な治療法だけでなく有用なバイオマーカーすら確立されていません。

こうした現状を打破するため、官民パートナーシップであるGlobal Neurodegeneration Proteomics Consortium(GNPC)が設立されました。設立にあたり、製薬会社のジョンソン・エンド・ジョンソンとビル・ゲイツ氏がコア資金提供パートナーとなっています。

GNPCは2025年7月に、23のパートナー機関から提供された40,000以上のサンプル(血漿、血清、脳脊髄液)に対してプロテオーム解析を行い、約3億件のタンパク質測定値からなるデータセットを作成、公開しました(Nat Med. 2025 Aug;31(8):2556-2566.)。

このように、世界規模の研究においてもプロテオミクスが導入されており、プロテオーム解析は大きなトレンドになっています。

老化研究でのSomaScan®Assayの使用例

世界的な研究トレンドの一つとなっているのが老化・長寿研究で、この分野においてもプロテオーム解析が行われています。

老化研究では、老化細胞とよばれる細胞の存在が注目されています。老化細胞は、細胞分裂が停止しながらも細胞死を迎えることがない細胞で、炎症性サイトカイン、成長因子、プロテアーゼの産生増加を伴う老化関連分泌表現型(SASP)を示します。非ヒトモデルではSASPが組織の機能不全や老化の病理学的影響に寄与することが示されており、老化細胞の除去が寿命を延伸させる実験結果もあります。

ある研究では、2つのヒトコホート研究の参加者1,200名の血漿サンプルを対象にプロテオーム解析を行ったところ、28種類のSASPタンパク質が年齢と有意に関連し、GDF-15、IGFBP-2、シスタチンCは炎症マーカーと身体機能の指標(握力と歩行速度)と有意に関連することが示されました(J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2024 Mar 1;79(3):glad265.)。この報告ではプロテオーム解析として、アプタマーベースのSomaScan®Assayが使用されています。

シンガポールの大規模コホート研究でSomaScan®Assayを採用

プロテオーム解析は、単にタンパク質発現の変動を捉えるだけでなく、細胞や組織における包括的な理解や、さらにはバイオマーカーや創薬ターゲットの探索、疾患リスクの予測にも貢献します。

2023年1月、シンガポール人約10万人を対象にしたコホート調査「PRECISE-SG100K」がスタートしました。このプログラムでは、アジア人ゲノムの知見を通じて医療レベルの向上を狙うものであり、長期的な健康アウトカムをモニタリングし、糖尿病、高血圧、がんなどの疾患に関連する環境要因、生活習慣、遺伝的要因を特定します。この血漿サンプルのプロテオーム解析においてSomaScan®Assayが使われることが2025年8月に発表されました。

今後数十年にわたる追跡調査とゲノム解析、プロテオーム解析の結果を組み合わせることで、さまざまな疾患の新規の遺伝的関連性やバイオマーカーの発見につながることが期待されます。

その他、SomaScan®Assayを用いたプロテオーム解析の研究や活用事例については、以下の記事もご覧ください。

プロテオミクスの現在地——プロテオーム解析の未来を作るSomaScan®の技術 - lala a live(ララアライブ)│フォーネスライフ

SomaScan®Assayで必要なのは凍結サンプルのみ

自身の研究室でプロテオーム解析のための設備を用意するには、高額な費用が必要です。また、生データを解析するためには高度な専門知識も要求されます。

そこで、プロテオーム解析を得意とする外部機関に解析を委託する選択肢があります。

フォーネスライフが提供するSomaScan®Assayは、最大約11,000種類のタンパク質を検出します。検出手段には、一本鎖DNAからなるアプタマーを使用。独自の修飾アプタマーであるSOMAmer®(Slow Off-rate Modified Aptamer)を使用することでアフィニティと特異性の高さを実現しています。

タンパク質測定サービス(SomaScan®Assay) | 約11,000種のタンパク質を測定し結果をお届けします。医薬品開発・疾病研究などにご活用いただけます。

アプタマーとSOMAmer®
アプタマーとSOMAmer®

SomaScan®Assayをフォーネスライフに委託する場合、必要なのは凍結サンプルのみです。サンプルを処理した後、アプタマーと反応させます。そして、アプタマーと相補的配列を持つDNAチップ(マイクロアレイ)を用い、相対蛍光値として定量します。

SomaScan®Assayの測定技術
SomaScan®Assayの測定技術

サンプルの種類や解析対象とするタンパク質の数に応じて、国内のフォーネスライフと米国SomaLogic社のどちらかで解析することになりますが、ヒト血清、血漿の場合は国内ラボでの対応が可能ですので、サンプルが国外に出ることはありません。基本的な費用は国内外どちらで解析しても同額で、サンプル発送からデータ納品までの期間は6〜8週程度です。

またオプションとして、変動したタンパク質がどのパスウェイに関わるものかを分析するサービスも別途提供しています。

アカデミアでの基礎研究、製薬企業、食品業界における活用

SomaScan®Assayは研究機関に限らず、医療業界や製薬会社など、さまざまな領域で利用されています。

基礎研究の分野では、ある生命現象がどのようにして起きているのか、タンパク質レベルで生物学的プロセスを解明できます。ゲノムやトランスクリプトーム、メタボロームを組み合わせたマルチオミックス解析を行うことで生命現象を包括的に解析できるでしょう。その発見の中には、疾患の原因やバイオマーカーとなりえる分子も含まれるかもしれません。

製薬企業においては、創薬ターゲットの探索や、薬剤の効果を検証するためにプロテオーム解析が有効です。検査会社においても、疾患の予後予測に活用できるバイオマーカーを確立できれば、検査キットの販売や検査の受託という事業につなげることができるはずです。

医療分野以外においては、食事習慣や特定のサプリメントの効果をプロテオーム解析で評価することが可能です。

例えば、米国国立衛生研究所(NIH)のがん研究グループは、脂質を主なエネルギー源とするケトジェニック食と、完全菜食主義のヴィーガン食を2週間摂取した参加者に対して多次元フローサイトメトリー、トランスクリプトーム解析、SomaScan®Assayによるプロテオーム解析、メタボローム解析、メタゲノムデータを含むマルチオミックス解析を試み、ケトジェニック食は獲得免疫系に、ヴィーガン食は抗ウイルス免疫と自然免疫系に関連するパスウェイの活性化に関連することを明らかにしています(Nat Med. 2024 Feb;30(2):560-572.)。

SomaScan®Assayはコストパフォーマンスに優れている

プロテオーム解析を委託する場合に懸念となるのは費用でしょう。同じバインディングアッセイである抗体ベースと、アプタマーベースのSomaScan®Assayとでは、単純比較すると抗体ベースの方が安価な傾向にあります。

しかし、SomaScan®Assayは抗体ベースの技術の2倍以上のタンパク質の種類を検出できます。さらには再現性が高いことからサンプル数が少なくても信頼できる結果を得られるので、コストパフォーマンスが高いといえるでしょう。

特に臨床試験など、入手できるサンプル数が限られる場合にSomaScan®Assayは有力な選択肢となります。

プロテオーム解析の委託は信頼性の高いSomaScan®Assayに

プロテオーム解析は基礎研究だけでなく医学研究や大規模コホートでも行われており、生命現象の解明や疾患研究において欠かせない技術となっています。

SomaScan®Assayは親和性の高いアプタマーを用いることで、最大約11,000種類のタンパク質を検出でき、高い再現性で少ないサンプル数でも信頼できる結果を得られます。医学研究において、創薬ターゲットの発見やバイオマーカー探索に貢献できる性能を有しているといえます。

SomaScan®Assayは国内のフォーネスライフまたは米国SomaLogic社でアッセイを行いますが、国内についてはGCP準拠の施設が整っており、治験において信頼できるデータを提供できます。

プロテオーム解析の受託サービスをお探しなら、ぜひSomaScan®Assayを選択肢の一つとしてご検討ください。

構成:島田祥輔
編集:はてな編集部

タンパク質測定受託サービス「SomaScan®Assay」は、機器導入の必要なくご利用可能で、最大約11,000種類の血中タンパク質をアプタマーにより測定します。医薬品開発・疾病研究などにご活用いただけます。

サービス詳細や資料請求・お問い合わせなど、詳しくは下記のページからどうぞ。検体の数量、研究の規模に関わらず、お気軽にお問い合わせください。

タンパク質測定サービス(SomaScan®Assay) | 約11,000種のタンパク質を測定し結果をお届けします。医薬品開発・疾病研究などにご活用いただけます。