※本記事はあくまで一般的な公開情報をもとに作成しております。何か判断をされる場合は専門家の指示を仰ぐ必要性があります。
企業が従業員の健康管理に積極的に取り組むことは、生産性の向上や離職率の低下につながります。特に福利厚生による健康診断の実施は、法的な義務を満たすだけでなく、従業員の健康を維持するのに欠かせない要素です。
ここで「健康診断の費用は誰が負担すべき?」「税務上の扱いは?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
本記事では、企業が知っておくべき健康診断の法的義務や費用負担のルール、福利厚生としてのメリットについて詳しく解説します。適切な制度を導入し、従業員の健康と企業の成長を両立させるためのポイントを押さえておきましょう。
▼この記事でわかること
- 福利厚生としての健康診断の法的義務
- 福利厚生としての健康診断における費用と負担の割合
- 税務上の観点から見る福利厚生としての健康診断費用の取り扱い方
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福利厚生としての健康診断の法的義務
福利厚生としての健康診断の法的義務について、以下2つの観点から解説します。労働安全衛生法や特定の業種における特殊健康診断の必要性についてチェックしましょう。
▼福利厚生としての健康診断の法的義務
- 労働安全衛生法に基づく義務
- 特定業種における特殊健康診断の必要性
労働安全衛生法に基づく義務
労働安全衛生法では、企業に対して従業員の健康診断を実施する義務が明確に定められています。特に常時使用する労働者に対しては、雇入れ時および定期的な健康診断の実施が必要です。
従業員を雇い入れた時の健康診断では、以下の項目が行われます。
- 既往歴
- 自覚症状の確認
- 身長・体重・視力・聴力の測定
- 血圧測定
- 胸部エックス線検査
- 血液検査(貧血、肝機能、血中脂質、血糖)
- 尿検査
- 心電図検査など
従業員の入社後は、定期健康診断を1年以内ごとに1回実施しなければなりません。
基本的な検査項目は雇入れ時と同様ですが、年齢や医師の判断により一部の検査項目が省略されることもあります。
健康診断を適切に実施しない場合、労働安全衛生法第120条に基づき、50万円以下の罰金が科される可能性があります。企業には法令を遵守しつつ、従業員の健康管理を徹底する姿勢が求められます。
アルバイトなど非正規の社員でも、「常時使用する労働者」の条件に該当する場合は、健康診断を受けさせる義務が発生します。
特定業種における特殊健康診断の必要性
労働安全衛生法*1では、特定の有害業務に従事する労働者に対し、通常の健康診断に加えて特殊健康診断を実施することが義務付けられています。
特定の有害業務には、以下の業務が含まれます。
- 塗料や接着剤の製造・使用に伴い有機溶剤を扱う作業を行う「有機溶剤業務」
- 鉛やその化合物を含む製品の製造・加工・取り扱いを行う「鉛業務」
- ベンゼンやアスベストなど特定の有害化学物質を扱う作業を行う「特定化学物質業務」
- 潜水作業や高圧室内での作業を行う「高気圧業務」
- 放射線を使用する医療機関や研究施設での作業を行う「放射線業務」
上記に該当する業務を行う労働者には、定期的な特殊健康診断を受けてもらうことが法律で義務付けられています。
例を挙げると、有機溶剤業務に従事する場合、6ヶ月以内ごとに1回の健康診断が必要です。
また鉛業務では、血液中の鉛濃度や尿中のデルタアミノレブリン酸の測定など、特定の検査項目が定められています。
特殊健康診断の結果、従業員に健康障害の兆候が認められた場合、雇用主は作業環境の改善や作業内容の変更といった適切な措置を講じなければなりません。
上記の対応を怠ると、労働者の健康被害だけでなく、法的な罰則の対象となる可能性があります。
事業者は該当する業務に従事する労働者に対し、適切な特殊健康診断を実施し、その結果に基づいて必要な対策を講じることが大切です。労働者の健康を守り、安全な労働環境を維持することを心がけましょう。
福利厚生としての健康診断の費用と負担
ここでは、福利厚生としての健康診断にかかる費用や負担について解説します。健康診断にかかる費用の内訳や企業の負担すべき額、税務上の取り扱いや控除について押さえておきましょう。
▼福利厚生としての健康診断の費用と負担
- 健康診断の費用構成と企業負担
- 税務上の取り扱いと控除の可能性
健康診断の費用構成と企業負担
企業が従業員に実施する定期健康診断の費用は、一般的に10,000円から15,000円程度とされており、検査項目の内容や地域、医療機関によって異なります。
企業が従業員の健康診断費用を負担する際、かかったお金を「福利厚生費」として経費計上することが可能です。
ただし、福利厚生費として認められるためには、一般的には以下の条件を満たす必要があると言われています。
- 従業員の中の対象者が同じ検査内容の健康診断を受けること
- 企業が医療機関に対して直接費用を支払うこと
- 費用が社会通念上適切な範囲内であること
上記の条件を満たさない場合、福利厚生費として計上できない可能性があります。企業は健康診断の実施にあたり、上記3つの条件を十分に考慮し、適切な経理処理を行うことが大切です。あくまで、正しい計上基準については税理士に確認してみてください。
また、健康診断は企業の義務として実施されるものであり、その受診時間は労働時間とみなされるため、賃金の支払いが求められます。
企業が従業員の健康診断を実施する際には、費用の負担や経理処理、賃金の取り扱いなど、さまざまな点に留意することが大切です。適切な対応を行うことで、従業員の健康管理と企業の法令遵守を両立できます。
また、従業員全体を対象とせず、経営幹部だけに健康診断を実施しようとすると、福利厚生の基本的な考え方である「すべての従業員に平等な機会を提供する」という原則から外れる可能性があることにも注意が必要です。
税務上の取り扱いと控除の可能性
福利厚生費として認められた費用は、法人税の課税所得から控除できるため、結果的に税負担の軽減につながります。
ただし、健康診断費用を福利厚生費として経費計上するためには上記にも記載した条件があり、条件に従わない場合、福利厚生費として認められない可能性があります。
企業は従業員の健康管理を促進しつつ、健康診断にかかった費用に対して、適切な税務処理を行うことが重要です。
福利厚生としての健康診断の制度と運用方法
企業は、従業員の健康維持と労働生産性の向上を目的として、法定の定期健康診断に加え、オプション検査や特別な健康診断を福利厚生として導入することが可能です。
基本的な検査項目に加え、がん検診や婦人科検診などのオプション検査を導入することで、従業員の疾病の早期発見・早期治療を促進し、健康リスクの低減につながります。オプション検査の費用負担については、企業が全額負担する代わりに従業員と費用を分担する仕組みを作ることも可能です。
企業がオプション検査の受診を指示した場合、その費用は企業負担となるものの、従業員が任意で追加した場合は自己負担となる傾向があります。
さらに従業員の役職や業務内容に応じて、特別な健康診断を実施することも重要です。管理職の従業員はストレスや長時間労働による健康リスクが高まる傾向があります。
従業員の役職や業務内容に応じて、メンタルヘルスチェックや生活習慣病予防のための特別健診など特別な健康診断を実施することも重要です。
また女性従業員向けに婦人科検診を実施することは、女性特有の健康課題に対応し、働きやすい職場環境の構築につながる大切な要素です。上記の健康診断の実施にあたっては、企業が医療機関に直接費用を支払うことで、福利厚生費として経費計上が可能となります。
ただし、従業員が一旦費用を立て替えて後から企業が精算する場合、費用が給与として扱われ課税対象となる場合があるため注意が必要です。健康診断の実施方法や費用負担のルールを明確に定め、従業員に周知を行いましょう。
まとめ|福利厚生としての健康診断の重要性
企業にとって健康診断は、単なる法的義務ではなく、従業員の健康を維持し、業務効率を向上させる重要な要素です。
定期健康診断を実施することで、疾病の早期発見・予防につながり、医療費の抑制や労働生産性の向上が期待できます。
がん検診や婦人科検診などのオプション検査、管理職向けの特別健診を導入することで、従業員一人ひとりに適した健康管理を行いやすい仕組みを作ることが可能です。
健康診断の費用を適切に経費として計上する場合、福利厚生費として経費処理でき、税務上のメリットも享受できます。
また、多くの企業では、従業員の健康診断結果を十分に活用できていません。従来の健診データだけでは、将来の健康リスクを予測し、効果的な対策を講じることが難しいのが現状です。
最近ではAIの活用事例も見受けられます。例えば、NECの健診結果予測シミュレーション があります。従業員の健診データから将来の健康状態や疾病リスクを予測し、一人ひとりに最適な生活習慣改善策を提案します。
導入メリットには以下の点があります。
- 従業員の健康増進による生産性向上
- 医療費削減
- 企業イメージ向上
- 従業員満足度向上
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