
免疫は私たちの健康を守る最前線の防衛システムです。免疫力は日々の生活習慣やストレス、睡眠、栄養状態などと関わっています。日々の生活習慣を整えることは、免疫機能の維持や体調管理に役立ちます。
本記事では、免疫機能の維持に関わる要素や、日常生活で意識したい習慣をわかりやすく解説します。本記事の内容を、日々の体調管理の参考にしてみてください。
免疫力を高めるために必要な要素

免疫力を高めるために、必要ないくつかの要素があります。ここでは、免疫力を高める要素を5つ紹介します。ぜひご自身の日常生活に取り入れて、免疫力アップにつなげましょう。
▼免疫力を高める要素5つ
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● 自律神経のバランス ● 体温 ● 腸内環境 ● 栄養バランス ● 睡眠 |
自律神経のバランス
自律神経は呼吸や内臓、血管といった、生きる上で必要な機能をコントロールしている神経です。さらには、免疫に関する細胞もコントロールしています。
自律神経は、交感神経と副交感神経の2種類からなっています。交感神経は体を活発に動かす際に働き、副交感神経は休息を取る際に働きます。
睡眠不足やストレスの蓄積、栄養の偏った食事などによって、交感神経と副交感神経のバランスが崩れると、自律神経の乱れにつながってしまいます。
さらに、自律神経が乱れる事によって、免疫力の低下につながります。
リラックスする時間を確保したり、質の良い睡眠を取ることで、副交感神経を優位に働かせ、免疫力を高めましょう。
体温
体温が上がり、血流が良くなることで白血球の動きが活性化され、免疫力が上がると言われています。
体温が1℃上がると、免疫力は最大5〜6倍(※)上がると言われ、反対に体温が1℃下がると免疫力は30%下がるとも言われています。
低体温になると、免疫細胞の働きは不活発になり、免疫力が低下します。体温を上げることで免疫細胞の働きを活発化させ、免疫力アップにもつながります。
※ 「免疫力アップには体温 アップが効果的!」公立学校共済組合
腸内環境
腸内環境と免疫力にも密接な関わりがあります。腸には多くの免疫細胞が集まっており、腸内環境は体調管理と深く関わります。
免疫細胞は体内に侵入したウイルスや細菌に対する抗体を生成しています。腸内環境が乱れることで、腸のバリア機能は低下し、そこからウイルスの侵入を許してしまう事につながります。
免疫細胞を活発に働かせ、免疫力を向上させることで、腸内環境を良好に保つことができます。食物繊維や発酵食品などを積極的に摂取し、腸内環境を整えることを心掛けましょう。
栄養バランス
免疫細胞の生成や働きを活発にさせるには、バランスの良い食事を取ることが重要です。
肉や魚などのタンパク質豊富な食材、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な緑黄色野菜や海藻類を積極的に摂取するなど、バランスの良い食事を心掛けましょう。
睡眠
毎日の睡眠も免疫と大きく結びついています。
免疫細胞は睡眠中に生成・回復するため、睡眠不足や睡眠の質が低いと、免疫力の低下につながります。
免疫細胞を活発化させ、免疫力を高めるためには、年齢や個人差に応じて必要な睡眠時間を確保し、睡眠の質を意識することが大切です。
免疫力をアップさせるための生活習慣

生活習慣は免疫力アップとも密接に関係しています。生活習慣は、日ごろから意識をすることで変える事が可能です。
ここでは、免疫機能の維持に役立つ生活習慣を紹介します。紹介する内容を参考に生活習慣を改善し、免疫力の向上を目指しましょう。
▼免疫力アップのための生活習慣
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● 1. 栄養バランスの取れた食事 ● 2. 適度な運動 ● 3. 十分な睡眠 ● 4. ストレスを溜めない |
1. 栄養バランスの取れた食事
先ほど紹介した通り、栄養バランスのよい食事を取ることで、免疫力の向上が期待できます。重要となる栄養素である、タンパク質やビタミン、ミネラルなどの効果や摂取できる食材は以下の通りです。
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タンパク質 |
免疫細胞の主要な成分(肉、魚、卵、大豆製品など)。 |
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ビタミン |
ビタミンA |
粘膜を強化し、ウイルスなどの侵入を防ぐ (緑黄色野菜、レバーなど)。 |
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ビタミンC |
抗酸化作用があり、免疫細胞の働きを助ける (柑橘類、イチゴなど)。 |
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ビタミンD |
免疫細胞の働きを調整する (魚、きのこなど)。 |
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ビタミンE |
抗酸化作用があり、免疫細胞を守る (ナッツ、植物油など)。 |
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ミネラル |
亜鉛、セレン、鉄などは免疫細胞の働きに不可欠 (貝類、海藻など)。 |
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食物繊維 |
腸内環境を整え、免疫細胞の活性化を促す (野菜、果物、海藻など)。 |
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発酵食品 |
腸内細菌のバランスを整え、免疫力を高める (ヨーグルト、納豆、味噌など)。 |
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厚生労働省のデータでは、日本人の理想の栄養バランスとして、1日に必要なエネルギーをタンパク質から13〜20%、脂質から20〜30%、炭水化物から50〜65%を摂取することを推奨しています。
タンパク質は、免疫抗体の材料となります。また、ビタミンやミネラルは免疫力を活発に働かせるために役立ちます。
誰しもが毎日の生活で欠かせない食事ですから、ぜひ栄養バランスを心掛けてみてください。
2. 適度な運動
免疫力アップには、適度な運動も必要です。
運動することで、血行促進、ストレス軽減が見込まれます。血行促進による免疫細胞の活性化、ストレス軽減による自律神経の回復が、免疫力向上につながるためです。
また、運動と言っても、日常生活で簡単に取り入れられる軽い運動でも効果があります。ウォーキングやジョギング、ヨガといったものを取り入れるのも良いでしょう。
継続して運動を行う事が重要なため、無理のない範囲で定期的に行うよう心掛けましょう。目安として1日30分(※)の運動を目標とすることがおすすめです。
※「適度な運動を無理なく続けて、免疫力アップを目指そう」茨城県県民生活環境部スポーツ推進課
3. 十分な睡眠
しっかりとした睡眠を取ることも免疫力向上につながります。
ウイルスや細菌に対する免疫は、睡眠中に生成・回復されます。そのため、睡眠が不足すると、免疫細胞は十分に生成・回復することができず、結果的に免疫力の低下につながります。
厚生労働省のデータによると、こどもは9〜12時間、中高生は8〜10時間を睡眠の目安として推奨されています。成人は6時間以上、高齢者は8時間を目安とされています。
また、寝る前にカフェインを摂取したり、スマホやPC どのブルーライトを浴びることは睡眠を妨げる可能性が高いです。できる限り、寝る前には避けることをおすすめします。
4. ストレスを溜めない
ストレスの蓄積も免疫力低下の大きな要因の一つです。ストレスの蓄積によって、自律神経のバランスが崩れ、免疫力の低下を引き起こします。
質の良い睡眠を取ることで精神的疲労の回復や、ストレスレベルの低下にもつながります。また、趣味やリフレッシュ、リラックスできる時間を持つなど、ストレスを解消する方法を見つけましょう。
免疫を構成する「粘膜免疫」と「全身免疫」

ここまでは免疫力を向上させる方法について解説してきました。ただ、この免疫力向上のためには、「免疫」そのものに対して深い理解をしておくべきです。
なぜなら、体には、侵入しようとするウイルスや細菌などの病原体から身を守るために、2段階の仕組みが備わっています。
第1段階は、病原体の最初の侵入口となる鼻や口、喉などの粘膜において病原体の侵入を防ぐ「粘膜免疫」。粘膜免疫は、IgAという抗体を産生するなどの免疫応答によって、感染症やアレルギーを防ぐのに貢献します。つまり、病原体の侵入口である粘膜免疫が低下しないよう維持することが重要と考えられます。
「粘膜免疫」を突破して体内に病原体が侵入すると、第2段階の「全身免疫」が働きます。さらに、全身免疫は「自然免疫」と「獲得免疫」で構成されています。自然免疫は生まれつき備わっているのに対して、獲得免疫は適切な生活習慣などによって高めることができるからです。
これらの点について、より解像度を高めておくことで「免疫力アップのための生活習慣」という点に納得感を持つことができるでしょう。
▼免疫を構成する「粘膜免疫」と「全身免疫」
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粘膜免疫
「粘膜免疫」は目や鼻、口、腸管などの粘膜でウイルスや病原体、花粉などの異物の侵入を防ぐ役割をし、さまざまな感染症やアレルギー反応を防いでくれます。
粘膜から侵入してこようとする病原体などの異物を捕まえて、体内に入らないように防ぐ役割を果たすのが IgA と呼ばれる抗体です。
IgAは抗体の一種で、血液や体液中に含まれます。 抗体は侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体にくっつくことで無力化し、私たちの健康を守ってくれるのです。
IgA の量が少なくなるなど免疫力が低下してくると、病気にかかりやすくなったり、疲労感が出やすくなったりします。
全身免疫
「粘膜免疫」を突破して体内に入り込んだ病原体などが侵入すると、侵入した異物に対して「全身免疫」が働きます。
全身免疫は異物を攻撃する「自然免疫」と、侵入した異物の特徴を情報源として、その異物に対してより正確に攻撃する「獲得免疫」の2段構えで対抗します。
1. 自然免疫
自然免疫は人間の体に生まれつき備わっている、初期段階の防御システムです。
免疫細胞が体内に侵入したウイルスや細菌をいち早く発見し、それらを攻撃することで体内に侵入した異物を排除しています。
自然免疫は最初から人間が備えているものです。以下に自然免疫の主な特徴と仕組みについて詳しく説明します。
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特徴 |
詳細 |
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反応速度 |
非常に速く、病原体侵入後すぐに反応 |
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特異性 |
病原体に共通するパターンを認識するため、非特異的 |
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主要な免疫細胞 |
好中球、マクロファージ、樹状細胞など |
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認識機構 |
パターン認識受容体(TLRなど)による病原体パターン認識 |
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効果 |
病原体の貪食、殺菌、炎症反応の誘導、獲得免疫への情報伝達 |
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記憶 |
特定の病原体に対する記憶能力なし |
「基本免疫と獲得免疫」日本医科大学微生物学・免疫学教室より作成
また、自然免疫には、好中球、マクロファージ、樹状細胞、NK細胞など、さまざまな細胞が関わり、以下のような役割をしています。
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細胞の種類 |
特徴 |
役割 |
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樹状細胞 |
情報伝達の中心的役割 |
侵入した異物の情報を獲得免疫系に伝える |
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γδT細胞 |
様々な抗原を交差認識 |
異物に対して迅速に反応し、殺菌作用を持つ |
「基本免疫と獲得免疫」日本医科大学微生物学・免疫学教室より作成
こうしたいくつもの細胞がそれぞれの役割を果たしながら結託することで、体内に侵入した異物を攻撃し、排除を行い、健康が保たれています。
2. 獲得免疫
先ほど紹介した自然免疫は、血液中に混入した小さな病原体や、細胞内に入った病原体への対処は苦手とされています。そこに代わって登場するのが獲得免疫です。
獲得免疫は、一度侵入した異物を記憶し、次に同じ異物が侵入してきた際に素早く対応する、高度な防御システムです。
それぞれ、B細胞が産生する抗体による体液性免疫と、T細胞による細胞性免疫の2つの経路で構成されています。
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特徴 |
体液性免疫 |
細胞性免疫 |
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主な担い手 |
B細胞 |
T細胞 |
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攻撃対象 |
体液中の病原体(細菌、ウイルスなど) |
感染細胞 |
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作用機序 |
抗体を産生し、病原体を中和したり、食細胞による貪食を促進する |
感染細胞を直接攻撃したり、他の免疫細胞を活性化する |
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効果発現までの時間 |
比較的遅い |
比較的早い |
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免疫記憶 |
B細胞の一部がメモリーB細胞となり、再感染時に迅速な抗体産生が可能 |
T細胞の一部がメモリーT細胞となり、再感染時に迅速な反応が可能 |
「基本免疫と獲得免疫」日本医科大学微生物学・免疫学教室より作成
自然免疫同様、獲得免疫も様々な細胞が連携することで、細菌やウイルスといった異物から体を守っています。
まとめ

健康な体を維持するために必要不可欠な免疫力。
免疫力の増減は、日常生活の中の様々な行動と結びついています。
本記事では、免疫力をアップさせるために必要な要素や、免疫力アップにつながる生活習慣をご紹介しました。
ぜひ本記事の内容を基に、無理のない範囲で免疫力アップにつながる生活習慣を取り入れ、ご自身の健康維持のための参考にしてみてください。