健康寿命を伸ばすためにできる3つのポイント

健康寿命を伸ばすためにできる3つのポイント

近年、日本では平均寿命が延伸し続ける中、健康な時間を長く過ごすことも人生を豊かにするためにはとても重要になってきています。その「健康寿命」について、「平均寿命」との違いや「健康寿命」を伸ばすために今からでもできることを紹介します。

健康寿命とは

健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。つまり、0歳からの平均余命を意味する平均寿命から、寝たきりや認知症などによる要介護期間を引いた期間が健康寿命です。
※世界保健機関(WHO)が提唱した指標です

厚生労働省が発表した「令和元年(2019年)簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は男性が81.41年、女性が87.45年と過去最高を更新。健康寿命は男性が72.68歳、女性は75.38歳でした。平均寿命から健康寿命を引いた男性8.7年、女性12.07年は、日常生活に制限のある期間ということになります。

医療技術の進歩や健康意識の高まりを考えると、今後も平均寿命は伸び続けると考えられます。そこで注目されるのが健康寿命です。いかに健康で自立した生活を長く送れるか、政府や医療機関なども健康寿命を伸ばすために必要な予防行動や提言を発表するなど、さまざまな取り組みが行われています。

健康寿命を伸ばすポイント1:食生活を見直す

生きるうえで大切な食事は、健康寿命にも大きく関わっています。日本人の食生活は、欧米化が進むにつれ動物性タンパク質や脂質を多く摂取するように変化しました。その結果、糖尿病や高血圧、脂質異常症といった生活習慣病が増加したとも考えられます。日々の食生活を上手にコントロールできれば、さまざまな病気のリスクが下がり、健康寿命を伸ばすことにつながります。意識したい食生活のポイントは以下です。

野菜や果物を積極的にとる

野菜は1日350グラム以上、果物は200グラム以上の摂取が目標です。厚生労働省の「平成30年(2018年)国民健康・栄養調査」によると、野菜類の平均摂取量は成人男性が約290グラム、女性は約270グラムと推奨される量を下回っています。食事の際は野菜や果物を多く摂るように意識しましょう。

野菜や果物にはビタミンやミネラル、食物繊維が多く含まれています。ビタミンは炭水化物をエネルギーに変える手助けをし、ミネラルの一種カリウムは、日本人が摂りすぎている傾向にあるナトリウム(塩分)を排出する作用があります。食物繊維は、糖質や脂質の吸収を低下させる働きがあるため、脳卒中や心筋梗塞のリスクを下げる効果があるといいます。また、最初に野菜を食べると、糖の吸収は緩やかになります。

肉より魚を心がける

肉や魚は5大栄養素のひとつであるタンパク質を多く含む食材ですが、牛や豚などの肉や加工肉は飽和脂肪酸が多く、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やす働きがあります。そのため、動脈硬化につながる恐れがあります。一方、DHAやEPAなど魚に含まれる多価不飽和脂肪酸は、動脈硬化や血栓を防ぎ、血圧を下げるほか、LDLコレステロールを減らすなど、さまざまな良い作用を持っています。肉類中心の食を送っているようであれば、魚料理を取り入れるように心がけましょう。

主食・主菜・副菜の揃った食事を意識する

偏った食材、同じメニューばかり食べていると、お腹は満たされても必要な栄養素が不足してしまいます。いろいろな食材を取り入れるよう意識すると良いでしょう。間食は控えめにして1日3食しっかり食べることや、単品よりも主食、主菜、副菜をそろえた定食スタイルを心がければ、細かく栄養素を考えなくても栄養バランスが整った食事になります。

お酒はほどほどに

適切な飲酒による適量のアルコール摂取は糖尿病の発生を抑えると考えられています。具体的には1日あたり20g程度のアルコール摂取が目安とされ、ビールなら中ビン1本、日本酒1合、ワインはグラス2杯弱の量となります。しかし、それを超えた飲酒量では、肝臓に蓄積した脂肪への影響や、すい臓からのインスリン分泌を抑える影響から、逆に血糖値を上昇させる可能性があります。高齢者の場合は、飲酒量が増えると脳が萎縮して認知機能の低下につながることもあります。

健康寿命を伸ばすポイント2:心と体を健やかに保つ

適度な運動習慣は健康寿命を伸ばすためには欠かせません。特に最近では在宅勤務が増えて、体を動かす機会が減っている人も多いのではないでしょうか。運動不足によって筋力が低下すると肥満になりやすく、生活習慣病へとつながります。また、ストレスも健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。まずは無理なく手軽にできることから始めてみましょう。

適切な運動習慣を身につける

適切な運動習慣を身に着けることができれば、生活習慣病の予防につながります。ウォーキングや水中歩行など、軽く汗ばみ、少し息が早くなる程度の有酸素運動が効果的です。スポーツジムに通ったり新しくスポーツを始めたりするのも良いですが、ハードルが高いという人はせめて今より10分でも多く体を動かすように意識してみましょう。例えば、少し遠回りをして買い物に行く、最寄り駅から1駅手前で降りて歩くなど、日常生活で運動量を増やすように習慣づけましょう。

ストレッチで転ばない身体づくり

「健康寿命」を短くする原因の一つに「転倒による骨折」があります。活動量が減れば筋力も衰えますが、継続的にトレーニングを続ければ筋力を保つことができます。おすすめは筋肉を伸ばして柔軟性を高めるストレッチ。お尻の筋肉をはじめ下半身を鍛えるスクワットや、ふくらはぎにあるヒラメ筋に働きかけるかかとの上げ下げなど、簡単なストレッチで構いません。

ストレスを溜め込まない

心の健康は生活の質を大きく左右します。ストレスが溜まった状態が慢性化すると、メンタルに影響するだけでなく、飲酒や過食につながって生活習慣病のリスクが高まる恐れも。高齢者の場合は、社会からの孤立や配偶者の死による孤独、視覚や聴覚の衰えから感じる疎外感などでストレスが溜まりやすく、うつ病や自律神経失調症、高血圧といった病気につながりやすいといわれています。適度な運動や親しい友人との交流、趣味を持つなど、自分に合ったストレス解消をしていきましょう。

十分な睡眠を取る

慢性的な睡眠不足は注意力、やる気の低下につながるほか、食欲を高めるホルモンの分泌が増えて、肥満につながりやすくなります。そのほかにも、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の発症につながる可能性があるため、心身の健康には十分な睡眠時間と質の良い睡眠が不可欠です。

適切な睡眠時間について、人それぞれ個人差はありますが、おおよそ6~8時間が目安といわれています。

質の良い睡眠をとるには、規則正しい生活、適度な運動が重要です。朝起きてすぐに日光を浴びたり、朝食を食べたりすると体内時計がリセットされます。ほかにも就寝の2〜3時間前に入浴(38度のぬるめのお湯で約30分、42度の熱めのお湯なら5分程度)することで、体温が上昇し、寝付きへの効果があります。また、睡眠の改善に役立つサプリメントやスマホアプリを活用するのも有効です。例えば、2週間で利用者に合った睡眠習慣の定着を支援するフォーネスビジュアスの「NEC パーソナル睡眠コーチ」などがあります。気軽に取り組めますし、継続もしやすいためおすすめです。

健康寿命を伸ばすポイント3:健康診断を定期的に受ける

日常生活で健康に気を遣っていても、がんや心臓病を発症してしまう可能性があります。健康寿命にも関わる生活習慣病の予防には、定期的な健康診断や検診を受けることも必要です。

健康診断やがん検診で体の状態を知る

初期の生活習慣病は自覚症状がないことが多く、自分ではなかなか気付けません。定期的に健康診断やがん検診を受けていれば、早期発見につながるほか、自分の健康状態を把握することもできます。現在の体の状態がわかれば、改善するべき生活習慣のポイントがわかります。フォーネスビジュアス検査のような「将来の疾病リスク」を可視化できる検査もあります。

歯科検診で口腔ケア

噛む、飲み込む、話すに関係する口腔機能の衰えは健康寿命に大きく関係します。食べ物をしっかり噛めないと消化器に負担がかかりますし、脳の活動が低下して認知症にもつながると考えられています。口や舌が動かしにくくなればコミュニケーションに支障をきたします。また、歯周病が糖尿病、脳血管障害といった多くの病気を悪化させることも明らかになっています。

自分でできる予防策に毎食後の歯磨きやデンタルフロスがありますが、歯磨きだけでは取りきれない歯石や歯垢を取り除くために、歯科医院でのクリーニングを定期的に受けるようにしましょう。初期の虫歯や歯周病の発見、磨き残しが多い部分といったアドバイスも参考になります。

まとめ

健康寿命を伸ばし、1日でも長く豊かな人生を過ごせるように、今から継続できる趣味を見つけたり、食事や運動など生活スタイルの見直しを考えたりすることはとても大切です。

健康寿命の延伸を阻害する「将来の疾病リスク」を明らかにする検査もあります。少量の血液から約7,000種類のタンパク質を解析して「現在の体の状態」を知り、「将来の疾病リスク」を明らかにするフォーネスビジュアス検査は、取り扱い医療機関の医師を通して、受診することができますので検討してみてはいかがでしょうか。フォーネスビジュアスでは将来の疾病リスク検査だけではなく、保健師等の資格を持ったコンシェルジュから生活習慣改善の提案も行っており、生活習慣改善をワンストップでサポートしています。

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疾病リスク予測検査って?


監修者
東北大学 医学系研究科 客員教授
下川 宏明